19 / 72
免許更新
しおりを挟む
今日の客は飲み物やお菓子に一切手を付けようとしない。
真也はチョイスを間違えたかと肩を落とした。
「すみません。医者に甘い物は止められてるんです」
海部夏希は申し訳なさそうに真也に笑いかけた。
「早速話してもよろしいでしょうか。
先週、自動車免許の更新に行った時のことを聞いてください。
午前中に近場の交通センターに行きました。
いつもは建物の中に入って、書類を受け取ったり料金を支払ったりするのですが、入口前で係の人から
『一度に多くの人を入れられないので、二手に分かれてください』
という旨のアナウンスがありました。
そのまま建物に誘導される人とバスに乗り込む人。
私は建物に入れず、バスに乗せられました。
バスに乗り込む時、ハガキサイズの整理券を取りました。
私が乗り込むとバスは行き先を告げず走り出しました。
危ないので席に座ろうと後方に目を向けると、高校時代の同級生に再会しました。
『せっちゃん?』
せっちゃんは瀬戸という苗字から取ったあだ名で、雰囲気が大人っぽくなっていたけれど顔はあの頃のままでした。
『夏希!? 久しぶり!!』
大学進学で疎遠になっていた友人と会ったことで、不安は吹き飛びました。
せっちゃんは行き先を知っているようで、とても落ち着いていました。
『今は絵を描く仕事をやってるよ』
『えー、すごい! イラストレーターやってるのー?』
高校の時はせっちゃんが絵を描くのが上手とは知りませんでした。
しかし美術の授業を選択していたので、絵を描くことが好きだったのでしょう。
意外な仕事に就いていることに、私たちの会話は盛り上がりました。
じきにバスは目的地に着くらしく、乗客は立ち上がりました。
窓の外は、見知った駅のホームでした。
どうしてバスなのに、電車が停まる駅なんだろうと思いました。
この駅は終着駅で、ホームに降りるためには、進行方向の左側のドアを通る必要がありまづ。
右側は駐車場になっていて、ホームすら設置されていないのです。
しかし乗客たちは右側から降りようとしていました。
そもそもバスが停まる前に乗客が一斉に立ち上がるのも変ですし、バスの出入り口は左側にしかないはずです。
いくつかの矛盾を抱えながら、バスが停まり、せっちゃんと私は右側から降りました」
真也はチョイスを間違えたかと肩を落とした。
「すみません。医者に甘い物は止められてるんです」
海部夏希は申し訳なさそうに真也に笑いかけた。
「早速話してもよろしいでしょうか。
先週、自動車免許の更新に行った時のことを聞いてください。
午前中に近場の交通センターに行きました。
いつもは建物の中に入って、書類を受け取ったり料金を支払ったりするのですが、入口前で係の人から
『一度に多くの人を入れられないので、二手に分かれてください』
という旨のアナウンスがありました。
そのまま建物に誘導される人とバスに乗り込む人。
私は建物に入れず、バスに乗せられました。
バスに乗り込む時、ハガキサイズの整理券を取りました。
私が乗り込むとバスは行き先を告げず走り出しました。
危ないので席に座ろうと後方に目を向けると、高校時代の同級生に再会しました。
『せっちゃん?』
せっちゃんは瀬戸という苗字から取ったあだ名で、雰囲気が大人っぽくなっていたけれど顔はあの頃のままでした。
『夏希!? 久しぶり!!』
大学進学で疎遠になっていた友人と会ったことで、不安は吹き飛びました。
せっちゃんは行き先を知っているようで、とても落ち着いていました。
『今は絵を描く仕事をやってるよ』
『えー、すごい! イラストレーターやってるのー?』
高校の時はせっちゃんが絵を描くのが上手とは知りませんでした。
しかし美術の授業を選択していたので、絵を描くことが好きだったのでしょう。
意外な仕事に就いていることに、私たちの会話は盛り上がりました。
じきにバスは目的地に着くらしく、乗客は立ち上がりました。
窓の外は、見知った駅のホームでした。
どうしてバスなのに、電車が停まる駅なんだろうと思いました。
この駅は終着駅で、ホームに降りるためには、進行方向の左側のドアを通る必要がありまづ。
右側は駐車場になっていて、ホームすら設置されていないのです。
しかし乗客たちは右側から降りようとしていました。
そもそもバスが停まる前に乗客が一斉に立ち上がるのも変ですし、バスの出入り口は左側にしかないはずです。
いくつかの矛盾を抱えながら、バスが停まり、せっちゃんと私は右側から降りました」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は賑やかになった。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる