【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 〜面倒な侯爵子息に絡まれたので、どうにかしようと思います〜

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第一章:奔走する者と、機を待つ者。

第7話 グランの悪知恵(2)

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「ドレスが汚されるよりも前に、セシリア嬢がクラウンに無礼な事をした。そういう言い訳は周りに通用しそうか?」

 言い逃れができないのならば、責任を相手になすりつけるしかない。

 つまり「先に手を出したのは向こうだ」という事して、相手の自業自得感を演出する。
 そういう事だ。

 
 しかしそんなグランの一縷の望みを、やはりバエルは思い切り一刀両断する。

「少なくともドレスを汚すまでの間、お2人の間の会話と呼べるやりとりはありません。ですから強いインパクトを持つ元来の噂には、どうしても押し負けるでしょう」

 「実はそれ以前に2人に何らかの接点があった」という可能性は、すでにバエルの緻密な調査によって潰されている。
 
 この方法で対処するためには、少なくとも偽りの証人を立てる必要性があるが、そんな綱渡り、一体誰がするというのか。

 事は『王族案件』の可能性を秘めているのだ。
 そんなものに虚偽なんてもので関わりたい人間など、誰も居ないだろう。

 それに、下手にゴリ押しをして、もしも教唆を暴露されたりなんてしたら。
 モンテガーノ侯爵家の立場が一層悪くなるだろう事は間違いない。

 そのリスクを思えば、工作をしない方がいいのは明らかである。



 工作を諦め、グランは声を引きずるように「4つ目」と口にする。

「セシリア嬢が王族主催のパーティーで途中退出をした理由が例の『暗黙の了解』にある事は、社交界では既に通説なのか?」

 これは、クラウンの言葉を第三者が、そして当事者本人が、それぞれにどういう意味で受け取ったのかを確認するための物だった。

 もしもどちらかが「これを『暗黙の了解』と汲むには少し強引すぎる」と言いだせば、世論はグランが言い逃れできる方向に転がり始めるかもしれないそう思ったのだ。

(これは、ハマれば結構良い線をいくのではないか?)

 グランは自分の言葉にほくそ笑む。

 しかしそれも、所詮は空想。
 一瞬だけの白昼夢夢に終わる。

「現在において、他貴族達はその認識に違和感を抱いておりません。それにセシリア様サイドは、暗に『その認識である』という主旨の意思表示を当夜に既にされています」

 そう告げたバエルは、続けて当夜のセシリア達親子のやり取りについて、グランに話して聞かせた。


 その説明を全て聞き終わって、グランは悔しげに唸った。

 グランが聞いても、当夜の彼女達の言動は確かに『暗黙の了解』を示していると分かる。

 むしろ。

「彼女達の心象操作の結果なのか……?」

 そう思えてならない。

 まぁその予想が当たっていても、外れていても。
 残念ながら周りの意識は、グランにとって都合の悪い方向へと既に統一されてしまっている。

 そしてそれは、少なくとも現時点では容易く崩れそうにはない。

「……因みに、この件を子供同士の諍いとして納めることは出来ると思うか?」

 そうすれば、少なからず悪評は付くだろうが、家にまで影響がある事態にはならない。

 ……否、実際にはこの悪評が続く間は社交に多少の弊害が出るだろう。

 加えて、これは「全ての非を認める」という事が前提になる。
 そしてグランにとって、それは自身のプライドを犠牲にする行為に等しい。

 しかし。

(それなら早急に解決できる目処が立つ。王族の耳に入る前に処理できれば、『王族案件』という名の最悪には至らない)

 プライドよりも地位と命の方が大事である。
 そう思い至ったのだ。



 グランのそんな言葉に、バエルは少し考える様な表情になってから口を開いた。

「……秘密裏に和解をしただけでは、少なくとも噂の一人歩きは続くでしょう。噂を収束させる事を最終目標とするのなら、和解を広く知らしめる事が必須条件でしょう」

 バエルは、主人が「手っ取り早くこの件を片付けてしまいたい」と思っている事は十分に分かっていた。

 しかしその上で、バエルは「準備が必要だ」と進言する。

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