【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 〜面倒な侯爵子息に絡まれたので、どうにかしようと思います〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!

文字の大きさ
18 / 78
第一章:奔走する者と、機を待つ者。

第8話 あるようで無い選択肢(1)

しおりを挟む
 

 現状把握と今後の方向性を決める為の、頭の整理を兼ねた質問。
 それらが全て終わり、グランは体中に溜まっていた息を全てを吐き出す勢いで深く長いため息を吐いた。

 そして、胸の前で腕組みをする。



 一番避けなければならない事態は、この件が『王族案件』に発展する事だ。

 これは簡単、自分の命が脅かされる事態など、誰も好んで望みはしない。



 そしてその次点が、この噂が長引く事。

 この噂は、社交にとって非常に不利だ。
 それはこの件が『王族案件』に関わる事だからというものあるが、そもそも良くない噂が流れる事も問題である。

 立場が悪くなれば、社交上周りは強気に出てくる。
 そうなれば、酷く面倒だ。

 下手に邪険にすればその相手の手によって元々の噂に追加燃料が投入され、噂は更なる被害を侯爵家の看板へと齎すだろう。


 どちらにしろ、火消しは早い方がいい。

 一刻も早くこの件を終息させて例年通りの社交を行わなければ、来年度の領地経営に影響するかもしれない。
 そうなれば、自分の実入りがそれだけ減る事になるのだから。



 そしてその次が、モンテガーノ侯爵家の面子が潰れる事がない様にする事だ。

 これについては、最早「あわよくば」である。
 勿論程度の問題はあるが、少しくらい家の面子が潰れたところで巻き返す事はすぐに出来るのだから。



 そんな風に前提を組み立てて、グランは「さて」と考える。


 今回の件を解決する方法は、大きく分けて3つ。

 1つ目は、そのまま放置をして嵐が通り過ぎるのを待つこと。
 2つ目は、噂を真っ向から否定し全ては「オルトガンのせい」だと流布する事。
 3つ目は、噂に対する一定の事実を認めオルトガンとの和解を周りに強調する事。


 まず1つ目は、ありえない。

 このまま置いておけば、嵐が過ぎるのはおそらく今年の社交終わりだろう。
 そうすれば間違いなく領地経営に響くし、何より『王族案件』になる可能性も上がる。


 2つ目は、とても難しい。

 これを選択する場合、先の噂に真実を曲げた噂をぶつけつつ、その一方で伯爵家に対してネガティブキャンペーンを行う必要がある。

 どちらも勝つのが難しい。
 なのに、その両方で勝利を収めなければ勝つことは出来ない。
 それはとても不利なハンデである。


 3つ目は、上の2つよりも早く解決できる可能性が高い。

 加えて、この件がもしも万が一『王族案件』に発展したとしても、和解という切り札は使える。
 既に話がついている案件を今更蒸し返すのは野暮だと、王族側に思わせれば良い。

 ただ一つ問題があるとすれば、あのオルトガンに対して一定の事実を認めて謝罪する必要がある事だ。

 それは実に屈辱的である事だが、背に腹は代えられない。
 つい先ほど前提としてそれは優先順位を下げると決めたのだから、ここは目を瞑る事にする。



 つまりそうなると、選択肢はたった一つしかない。

(――こんなもの、逃げ道など無いではないか)

 グランは、取れる選択肢の『仮初(かりそめ)さ』に気が付いて、思わず愕然とした。

 そして今正に自分を窮地に追い込みつつある、あの令嬢の事を脳裏に映す。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

【完結済】悪役令嬢の妹様

ファンタジー
 星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。  そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。  ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。  やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。  ―――アイシアお姉様は私が守る!  最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する! ※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>  既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

この記憶、復讐に使います。

SHIN
恋愛
その日は、雲ひとつない晴天でした。 国と国との境目に、2種類の馬車と数人の人物。 これから起こる事に私の手に隠された煌めく銀色が汗に湿り、使用されるのを今か今かとまっています。 チャンスは一度だけ。 大切なあの人の為に私は命をかけます。 隠れ前世の記憶もちが大切な人のためにその知識を使って復讐をする話し。 リハビリ作品です気楽な気持ちでお読みください。 SHIN

ヒロイン? 玉の輿? 興味ありませんわ! お嬢様はお仕事がしたい様です。

彩世幻夜
ファンタジー
「働きもせずぐうたら三昧なんてつまんないわ!」 お嬢様はご不満の様です。 海に面した豊かな国。その港から船で一泊二日の距離にある少々大きな離島を領地に持つとある伯爵家。 名前こそ辺境伯だが、両親も現当主の祖父母夫妻も王都から戻って来ない。 使用人と領民しか居ない田舎の島ですくすく育った精霊姫に、『玉の輿』と羨まれる様な縁談が持ち込まれるが……。 王道中の王道の俺様王子様と地元民のイケメンと。そして隠された王子と。 乙女ゲームのヒロインとして生まれながら、その役を拒否するお嬢様が選ぶのは果たして誰だ? ※5/4完結しました。 新作 【あやかしたちのとまり木の日常】 連載開始しました

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

処理中です...