【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 〜面倒な侯爵子息に絡まれたので、どうにかしようと思います〜

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第二章:初めての社交お茶会に出向く。

第22話 解消と、巡る可能性(2)

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 そんなセシリアの様子を見てとると、クレアリンゼがフッと顔を綻ばせた。

「大丈夫よ、ワルターから許可は事前にもらってから」

 そう言うと、前日のワルターとの会話がセシリアへと教えられた。

 どうやら『今日は特に、強要じみた事を言われる可能性が高い。だからその場合はお前の判断で行動して良い。最悪敵対してもかまわん』と前もって言われていたらしい。

(流石はお父様)

 彼の見事に的中した先見の明に、セシリアは心の中でそう独り言ちた。

 すると、それも表情から読み取ったのか、クレアリンゼがクスリと笑う。

「今まで何度もモンテガーノ侯爵の相手をしてきているワルターですもの。そのくらい予測する事は簡単ですよ」

 可笑しそうな、それでいて全く疑っていないその声に、セシリアは「そう言われれば確かにその通りかも」という気持ちにさせられた。

 そんな彼女を前にして、クレアリンゼは「それに」と更に言葉を続ける。

「貴方は最初あの要請を受け入れる方向で動いていたじゃない。『断る』という選択肢も、最初からあったのに」

 それは、家の社交を気にしての判断だったのでしょう?

 そう問われて、セシリアは素直にコクリと頷いた。
 すると「ならば」と彼女は軽い口調で答える。

「貴方は家の為にきちんと波風を立てない道筋を用意した。それに沿えなかったのは、あくまでも相手の失策が故。ならば仕方が無いと私は思うわ」

 別に、無謀な方向に無理矢理舵切りをしたわけでは無いのだしね。

 そう続けられた言葉は、セシリアに対する肯定だった。
 その事実を受け取り、やっと安心する。


 セシリアは、ゆっくりと瞳を伏せた。
 そしてまたゆっくりと瞼を上げる。

 そこにはもう、自身の不安は見つけられなかった。
 あるのは、未来を見据える冷静な瞳で。

「今後についてですが」

 その言葉は、次に取るべき行動の指針を確認する為のものである。

「あちらからの介入が嫌ならば、あちらが『こちらには介入したくない』と思わせる様に振る舞えばいい……という事良いのですよね?」

 セシリアの真面目な問いに、クレアリンゼは「その通り」と満足げに頷く。

「何事も中途半端が一番良くないわ。相手に従うなら、せめて自分にも最大限に利が在る様に振る舞う。そして、そうでないならば」

 そこまで言ってクレアリンゼが浮かべたのは、魅惑の笑みだ。

「相手に付け入るスキを与えない様に振る舞う」

 口元は笑みの形をしているが、目が全く笑っていない。
 それでも思慮に満ちたその瞳は、爛々と輝いている。

「貴方がこれからしなければならない事は、後者よ」
「分かっています、お母様」

 そんな母に、セシリアは似た様な笑みを浮かべて頷いた。
 父親譲りのその脳裏には、既に今後の可能性の幾つかが巡っている。
 そしてその場合の筋道、最善の対処法も幾つか。


 
 再び頭が回り始めたセシリアに、クレアリンゼは『懸念事項の解消』を見て「さてセシリア」と手を打った。

「そろそろ頭の切り替えは出来ましたか?」

 クレアリンゼは、確かに『化粧直し』もしたかった。
 しかしソレはただのついでに過ぎない。

「はい、お母様。お時間とお気遣いを頂きありがとうございました」

 セシリア述べた感謝の意に、クレアリンゼは「良いのよ」と軽く答えて。

「それではそろそろお茶会へ行きましょう。お茶会はもう、始まってしまっています」

 直し終わった化粧で万全を整えて、クレアリンゼは席を立つ。

 その声に応じて開けられた扉から、一行は今度こそやっと今回の目的地・お茶会会場へと向かったのだった。

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