【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 〜面倒な侯爵子息に絡まれたので、どうにかしようと思います〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!

文字の大きさ
77 / 78
エピローグ

第1話 セシリアの誤算(2)

しおりを挟む


 先ほどのやりとりを、セシリアは「貴族間ではよくある駆け引きだ」と思っていた。
 そして事実、そうなる筈だった。
 ただ一つ彼女にあった計算違いは、彼がオルトガン伯爵家へと向ける反発心の大きさを見誤った事だろう。

 グランにとっては「あのオルトガンにしてやられた」という事実が、何よりも彼の沸点を低くしていたのだ。

「そもそも、だ。たかが子供が少しドレスを汚しただけだろう」

 それなのに、それくらいの事で周りも一々騒ぎよって。
 そんな忌々しさを隠さない声と共に、彼の顔の苦さが増す。

「それさえ無ければ『和解』などという、こちらがわざわざ下手に出る様な真似をする必要もなかったのだ」

 爵位はこちらの方が上である。
 当事者を黙らせるのなら、権力で押さえ込んでしまえばいいだけだ。

 しかしそうしないのは、単に噂のせいである。
 だからともなく広がった噂には当事者と呼べるものが存在しない。
 だからその首根っこを押さえる事が出来ないのだ。
 だから代わりに噂の中の当事者をどうにかしようとしたのに。

「大々的に権力を行使すれば、それは見せしめにはなる。周りもこの件の噂は、しなくなるだろう。しかしそれは、あくまでも表面上でだ」

 結局裏ではこそこそと噂をする。
 しかもその場合は、今までの物の上に見せしめに関する噂を重ね掛けして。

 そんな事になれば、例え侯爵とはいえ社交界から爪弾きにされるのは明らかだ。
 それは貴族として、『王族案件』の次に憂慮すべき事態である。


 つまり。

(直接の原因を作った、オルトガン。そして、その外堀を埋めた他貴族達。今やその全てが、敵だ)

 そしてこの後、その敵達が蔓延る場へとグランは足を運ばねばならない。
 そう思えば、多少ならずとも憂鬱な気持ちになる。

 しかし。

(終わった事よりも、まずは目前の事に注力すべきだ)

 そんな風に頭を無理やりに切り替えながら、少しでも気を落ち着かせようとまだ湯気の立ち登る机上のティーカップに手を伸ばした。

 そしてそれを一口飲み下し、息を吐いてから考える。

(……今日のお茶会は、噂の弁解をする絶好のチャンスだ)

 ヴォルド公爵の権力と伝手で用意されたこの場は、出席者顔ぶれも、もてなしも、その全てが完璧に御膳立てされている。
 
 そしてヴォルド公爵が出掛けに言った通り、取り敢えずオルトガンとの『和解』というカードは手に入れる事が出来た。

(『最低限』は手に入った。ならば後は、何とでもなる)

 つまりは、グランの社交手腕次第という訳だ。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

【完結】公爵令嬢は勇者への恩返しを試みる〜サブヒロインとして頑張ります〜

マロン株式
恋愛
 公爵令嬢ユウフェには、ひとつだけ秘密がある。  ――この世界が“小説の中”だと知っていること。  ユウフェはただの“サブヒロイン”で、物語の結末では魔王のもとへ嫁ぐ運命にある……はずだった。 けれどーー  勇者の仲間、聖女、そして魔王が現れ、〝物語どおり〟には進まない恋の三角関係(いや、四角関係?)が動き出す。  サブヒロインの恩返しから始まる、ほのぼの甘くて、少し切ない恋愛ファンタジー。 ◇◇◇ ※注意事項※ ・序盤ほのぼのめ ・勇者 ✖ サブヒロイン ✖ 魔王 ✖ 巫女(?)の恋愛模様 ・基本はザマァなし ・過去作のため、気になる部分あればすみません ・他サイトと並行改稿中のため、内容に差異が出る可能性があります ・設定ゆるめ ・恋愛 × ファンタジー

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

毒姫ライラは今日も生きている

木崎優
恋愛
エイシュケル王国第二王女ライラ。 だけど私をそう呼ぶ人はいない。毒姫ライラ、それは私を示す名だ。 ひっそりと森で暮らす私はこの国において毒にも等しく、王女として扱われることはなかった。 そんな私に、十六歳にして初めて、王女としての役割が与えられた。 それは、王様が愛するお姫様の代わりに、暴君と呼ばれる皇帝に嫁ぐこと。 「これは王命だ。王女としての責務を果たせ」 暴君のもとに愛しいお姫様を嫁がせたくない王様。 「どうしてもいやだったら、代わってあげるわ」 暴君のもとに嫁ぎたいお姫様。 「お前を妃に迎える気はない」 そして私を認めない暴君。 三者三様の彼らのもとで私がするべきことは一つだけ。 「頑張って死んでまいります!」 ――そのはずが、何故だか死ぬ気配がありません。

処理中です...