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第六話
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ロマンと話してから翌日、私はまたロマンから呼び出されていた。
場所は花が綺麗に咲いている庭園。
約束の時間より早めに呼び出された私はベンチに座って待つことにした。
(大事な話ってなんだろう)
私に大事な話がある、と言ってきたときのロマンの顔を思い出す。
今まで見たことがないぐらい真剣で、何かを決意したような目だった。
「あ、姉さん。もう来てたんだ」
突然後ろから声をかけられた。
振り返ると、そこにいたのはロマンだった。
「ええ、用事もなかったし」
ロマンはベンチの前まで回ると、ベンチに座らずに私の前に立った。
「? どうしたの?」
「姉さん、大事な話があるって言ったよね」
ロマンは私の前に跪いて、深呼吸をした。
「僕と婚約して欲しいんだ」
「はぁ?!」
私は思わず叫んだ。
ロマンの言ってきたことがあまりにも予想外だったからだ。
「やっぱり戸惑うよね。でも、僕は姉さんがずっと好きだったんだ」
「え? あ、あの……」
いきなりのプロポーズに私は困惑する。
「兄さんと婚約してたから今まで言い出せなかったけど、姉さんが兄さんとの婚約を解消したって聞いて、ここしかない! って思ったんだ」
ロマンがポケットからあるものを取り出した。
小さな箱のようだ。
それを開けると、そこにあったのは大きなダイヤモンドが乗った婚約指輪だった。
「だから、僕と婚約してください」
「え、えっと、あの」
私は慌てながら一旦落ち着くために言葉を探す。
出てきたのはとある質問だった。
「で、でも国王様とお父様の了解がないと……」
そう、婚約は家と家の契約。
両方の合意がないと婚約することは出来ない。
「大丈夫。どっちの家からも了承を受けてきたよ」
そう言ってロマンは王家とクレイヤ家が私とロマンの婚約を承諾したことが書いてある書状を見せてきた。
キチンと手を回していたらしい。
ここで時間をかけることで頭を落ち着かせようと思っていた私は、計画が破綻したことで軽くパニックになった。
「姉さん、絶対に幸せにする。だから僕と結婚してくれ」
ロマンが私の力強く手を握る。
今まで弟としてしか見てこなかったロマンにかっこいい顔で迫られて、私はどんどんと赤面していった。
そしてついに承諾してしまう。
「は、はい……」
「ありがとう、姉さん」
ロマンが私の薬指に指輪を通す。
その指輪はダイヤモンドで光って、きらきらとしていた。
この日、私とロマンは婚約することになった。
場所は花が綺麗に咲いている庭園。
約束の時間より早めに呼び出された私はベンチに座って待つことにした。
(大事な話ってなんだろう)
私に大事な話がある、と言ってきたときのロマンの顔を思い出す。
今まで見たことがないぐらい真剣で、何かを決意したような目だった。
「あ、姉さん。もう来てたんだ」
突然後ろから声をかけられた。
振り返ると、そこにいたのはロマンだった。
「ええ、用事もなかったし」
ロマンはベンチの前まで回ると、ベンチに座らずに私の前に立った。
「? どうしたの?」
「姉さん、大事な話があるって言ったよね」
ロマンは私の前に跪いて、深呼吸をした。
「僕と婚約して欲しいんだ」
「はぁ?!」
私は思わず叫んだ。
ロマンの言ってきたことがあまりにも予想外だったからだ。
「やっぱり戸惑うよね。でも、僕は姉さんがずっと好きだったんだ」
「え? あ、あの……」
いきなりのプロポーズに私は困惑する。
「兄さんと婚約してたから今まで言い出せなかったけど、姉さんが兄さんとの婚約を解消したって聞いて、ここしかない! って思ったんだ」
ロマンがポケットからあるものを取り出した。
小さな箱のようだ。
それを開けると、そこにあったのは大きなダイヤモンドが乗った婚約指輪だった。
「だから、僕と婚約してください」
「え、えっと、あの」
私は慌てながら一旦落ち着くために言葉を探す。
出てきたのはとある質問だった。
「で、でも国王様とお父様の了解がないと……」
そう、婚約は家と家の契約。
両方の合意がないと婚約することは出来ない。
「大丈夫。どっちの家からも了承を受けてきたよ」
そう言ってロマンは王家とクレイヤ家が私とロマンの婚約を承諾したことが書いてある書状を見せてきた。
キチンと手を回していたらしい。
ここで時間をかけることで頭を落ち着かせようと思っていた私は、計画が破綻したことで軽くパニックになった。
「姉さん、絶対に幸せにする。だから僕と結婚してくれ」
ロマンが私の力強く手を握る。
今まで弟としてしか見てこなかったロマンにかっこいい顔で迫られて、私はどんどんと赤面していった。
そしてついに承諾してしまう。
「は、はい……」
「ありがとう、姉さん」
ロマンが私の薬指に指輪を通す。
その指輪はダイヤモンドで光って、きらきらとしていた。
この日、私とロマンは婚約することになった。
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