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16話
しおりを挟む「え?」
ロビンは呆けた顔になる。
「君の言っていることを要約すれば、つまりは貴族の義務は果たしたくない、仕事もしたくはない、でも愛する人と結婚して幸せに暮らしたい。そういうことだろう?」
「それは……」
「言っておくけど、ここにいる貴族は皆自分選んだ相手と婚約しているわけじゃない。しかしそれが力を与えられた貴族としての義務を果たすのに必要なのが分かっているから受け入れているんだ。今の君は駄々をこねて嫌がる子供と一緒だ」
「なっ!?」
ロビンはルイスから子供じみた考えを指摘され羞恥と怒りで頬を染める。
そしてロビンはどうにかルイスに反論しようと必死に言葉を探した。
「貴族であっても人としての幸せくらい……」
「だから、貴族としての義務や責任を果たしたくないなら、平民として暮らせばいいじゃないか。何もおかしなことはないだろう?」
ロビンの苦し紛れの言い訳をルイスは遮る。
ロビンは突きつけられた平民としての生活に表情を青ざめさせ始めた。
しかしそこにルイスは挑発を交える。
「君はあれだけ真実の愛と言っておいて、そんな覚悟しかなかったのかな?」
ロビンは挑発に引っかかった。
「そんなことはありません! 私はデイジーさえいれば平民になったとしても問題ありません!」
「そうか、それなら平民として暮らせばいいじゃないか」
「え?」
ルイスの言葉にロビンは冷や汗をかく。
どうやら今更言質を取られたことに気づいたようだ。
「まあ、どちらにせよ君が犯した犯罪は重大だ。貴族社会から追放されるのは間違いないだろう」
「ま、待ってください!」
ロビンは言葉を撤回しようとするが、当然ルイスは聞く耳を持たない。
「さようならロビン。君とはもう会うことはないだろう」
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