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65 魔女の家
しおりを挟む俺たちは金をもって情報屋を訪れた。
すると、情報屋は俺たちに魔女の家の場所を教えてくれた。
「魔女は、テルガン山という山の頂上に住んでいると言われている」
「テルガン山……」
情報屋によると、その山はめちゃくちゃ危険な場所にあるのだとか。
Aランクの冒険者たちでも、なかなか上ることはできないそうだ。
「ま、高い金をもらっておいてなんだが、ようはそういうことだ。魔女の家の場所はわかっちゃいるが、誰もたどり着けない。だから魔女も別に隠したりしてはいないのさ。無駄足だったな。ま、あきらめな」
「なるほどな、だが、大丈夫だ」
「え……? あんた、俺の話きいてたか? テルガン山は世にも恐ろしい、死の大と呼ばれているんだぞ?」
「ああ、俺たちなら大丈夫だ」
俺はさっそく、町の外へ出た。
そして、空中からよもぎを呼び寄せる。
「よもぎ、進化だ!」
「がるぅ!」
進化して大きくなったよもぎに、みんなで乗り込む。
しかしいくら大きくなったとは言え、よもぎ一匹で俺とひかるんを運ぶのは大変だ。
なので、おもちにも協力してもらおう。
「おもち、よもぎに変身できるか?」
「ぴきゅい!」
すると、おもちはよもぎそっくりに変身した。
「よし、ひかるんはおもちに乗ってくれ」
「はい、これで魔女の家までいくんですね?」
「そうだ。よもぎなら、山の頂上までひとっとびだからな」
テルガン山の中は、巨大なダンジョンになっているらしい。
俺たちだって、いくら深層を抜けてきたとはいえ、テルガン山のダンジョンをいちいちクリアしていたら大変だ。
だが、こうして外から、上空からいけば、ダンジョンをクリアしなくてもいいわけだ。
普通は空なんか飛べないだろうが、俺たちにはよもぎがいる。
「よし、よもぎ、おもち、頼んだぞ! テルガン山の頂上まで、ひとっとびだ!」
「がるぅ!」
山の頂上まで近づいたときだった。
突如、俺たちの上に、巨大な影ができる。
「え……? なんだこれ……?」
上を見上げると、そこには宙に浮いた超巨大な鯨が浮かんでいた。
「ハヤテさん……! 逃げないと……!」
「え……あ、あ……! よもぎ……! 全速力で逃げてくれ……!」
俺がいうより早く、よもぎはその場から逃げようとしていた。
野生の感というやつだろうか、とっさに危険な状況にあることを察したのだろう。
しかし、くじらは巨大すぎて逃げようにも逃げられない。
どこまでいっても、その影が追ってくる。
「いったいなんなんだ……!? こんなやつ、どこから……!?」
そのときだった。
くじらがいきなり、大きなあくびをしたかと思えば――。
そのまま、俺たちを飲み込もうと、大きな口で――。
――ぱくり。
俺たちは、くじらの体内に取り込まれてしまった。
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