幸せな人生を目指して

える

文字の大きさ
35 / 229
第3章 魔法の世界

2 心配事

しおりを挟む
屋敷に帰ってからも私の気分は上々。理由は単純に友達が出来たことが嬉しかったから。

そしてそのことを聞いてほしくて浮かれながら父様のところへ向かっている最中なのです。


「父様いますか?」

扉越しに呼びかけるとすぐに返事が来る。

「いるよ、入っておいで」

ウキウキしながら扉を開けた。

「おかえりエル。初めての学院はどうだった?」

「ただいま父様。凄く楽しかったですよ!それにですね、聞いてほしいことがあって」

「ん?何だい?」

含みのある言い方に父様が先を促してくるので、それにニコニコと笑みを浮かべて、

「学院で初めての友達が出来たんです」

そう言って飛び跳ねる私に父様は手を頭に乗せ優しく撫でてくれた。

「そうか、それは良かったな」

「はい!」

親として学院に通い始める娘が今までとは違う環境に馴染めるのか、友達は出来るのかと言った子どもには分からない心配もあったのでしょう。

だから私の様子を見て少しは安心したのではないかなと思う。


「心配することなかったわね」

扉の方から声がして振り返るとそこにはいつの間に居たのか母様の姿が。

「母様」

「おかえりなさいエル」

「ただいま」

そう言って顔を綻ばせた。


「ふふ、貴方ったら分かりやすいのね」

母様にそう言われた父様は困惑しているようだった。

何に対してかは分からないけど、父様も母様の前だと普通の男の子のようね。

「貴方の心配していたことは大丈夫みたいよ」

「な、何のことだ……」

「あら、エルに変な虫がつかないか心配していたのでしょう?」

悪戯っぽくでも核心を付いた母様に動揺を隠しきれていない父様。

と言うか変な虫って……。

「エル聞いてちょうだい。この人ったら学院に通い始めたらエルに変な虫が付くってずっと心配してるのよ」

「それは仕方ないだろう。私の娘は美人なんだ。何かあっては困るだろう」

からかいがいがあるわと言って笑う母様に、対抗しようとしてるけど残念ながら父様に勝ち目はないようですよ。

ついに項垂れてしまった父様を見て、母様と私は顔を見合わせると思わず笑ってしまったのでした。



「あっ、そうだ」

忘れていたことを思い出して声を上げると二人がこちらを見る。

「さっき話した友達の事なんですけどね」

「一つ確認したいんだが、その友達は女の子だろうね?」

「はい、そうですけど」

「そうかならば良い。続けてくれるかい」

父様の真意は分からないけど納得したようなのでまぁ良いかと思い、続きを話した。

「えっと、その子はユキ・ルターシアさんって言って、凄く綺麗な子なんです。話して見たら優しいし、直ぐに意気投合出来たんです」

「ルターシアと言うことはルターシア侯爵家の娘さんね」

「そうだろうね。ルターシア侯爵家には美人で聡明な娘がいると噂されていたからね」

「そうだったのですかっ、やっぱり有名なのですね」

噂されるくらいの才女と言う事かな。

見た目だけでなく頭も良いってもう完璧じゃないですか。

同じ侯爵でも私とは全然違うな。



「それと父様、学院の授業について話があって」

「なんだ?」

もう一つの事項を伝えるために一旦友達の話を終わらせることにして話題を変えた。

「近々隣国にお泊りで授業を行いにいくそうです」

「もうそんな時期か」

「もう?恒例行事ですか?」

「そうだね。アメリアも入学してすぐに行ってきてたな」

「そうね」

父様と母様は懐かしいそうに昔を思い返しているみたいですね。

「そうなんですかっ、何だか楽しみになってきました」

「初めての国外だから楽しみもあるだろうけどね、しかしくれぐれも気を付けて行ってくるんだよ」

「はい」

友達と授業の事を話し終えた私は早々に書斎を後にして、次の部屋へと向かった。


「ルカいますか?」

今度はルカの部屋。帰ってきてから部屋で仕事をしていたみたいね。

「エル様?どうかなさいましたか?」

そう言って扉が開いたかと思ったら隙間から顔を覗かせたルカ。

「お話をしに来ただけですよ。入っても良いですか?」

「はい、どうぞ」

入ってすぐにある一人掛けの椅子に腰を下ろした。

「今お茶を入れます。少し待っていてください」

「ありがとうございます」

気を遣わせてしまって申し訳ない。


待っている間、何となく部屋の中を見回して見る。

何回も来ているけれど見てて飽きないから。

しっかりと整理された部屋で、壁際に並ぶ本棚には父様の書斎ほどはないにしろ魔法書が綺麗に並べられているし、書類などもきちんとまとめて閉まわれている。

汚れもなく、窓から入り込む日差しが気持ちい良い、凄く清潔な部屋。何回来てもそう思いますね。

ルカってしっかりしてますからね。整理整頓私は得意な方なのに時々ルカに言われますからね……。

整理整頓ではルカには叶わないなと思いましたね。

そう思っていると机に淹れたてのお茶が置かれる。

「ありがとうございます」

私はお礼を言ってカップに口を付けた。流石、ルカの淹れたものは美味しい。

お店だせるのでは?と本気で思ってしまうくらい。

「それで何かお話があったのでは」

「はい。もう父様と母様には言ってきたのですが、近い内に隣国へお泊りをしに行くんです。勿論授業の一環として」

「そうですか、隣国に。確かオルデシアの学院ではそれが恒例行事でしたね」

「そうみたいですね。今からもう楽しみですよ」

「しかし僕としてはお傍に居られないので心配です」

そう言って眉を下げてしまった。

そっか、いくら従者と言っても学院の授業を一緒にと言う訳にもいかない。

心配性でもあるルカのことだから、隣国なんて言ったら尚更心配なのでしょうね。

「心配してくれたありがとうございます。でも大丈夫ですよ、授業で行くので引率の先生もいるわけですし」

「はい、分かってはいるのですが」

「大丈夫。私からは危ないことはしないですし」

「そう言われると更に心配になりますよ」

「何でですか!」

納得いかなくて思わず声を上げてしまったら見ていたルカに笑われてしまった。

「もう笑わないで下さいよ」

すいませんと言って苦笑いするルカに、私は頬を膨らませた。

「エル様、隣国へはご一緒出来ませんが、何か困ったことがあったら直ぐにでも連絡をして下さい。もしものことがあった場合は早急に向かいますから」

「ありがとうルカ」

真剣な眼差しをしっかりと受け止める。

そんなルカのことをいつも頼りにしているし、凄く助かっているんですよ。

それにいつもと変わらぬ徹底ぶりに流石だなと思ったけど、これは内緒にしておこう。

ルカの優しさに笑みが零れた。


その後もお茶を楽しんで、他愛もない話を暫くしてからルカの部屋を後にしたのでした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん
ファンタジー
 戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。  3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。  家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。  そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。  こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。  身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...