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第3章 魔法の世界

1 魔法学院へ…(10歳)

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私、エルシア・シェフィールドはついに十歳になりました!

待ちに待ったこの時!


今年から心待ちにしていた魔法学院への入学が叶う。

と言う訳で誕生日を迎えた時から私の関心は学院への期待と喜びのみ。



そして気持ちが昂る中、学院の入学式の日を迎え、私は晴れて姉様も通っている魔法学院の生徒の仲間入りを果たしたのでした。


学院への入学はどの世界でも同じなようで、試験をちゃんと受けて合格した者が門を潜ることを許される。

私も勿論その試験を受けたけど、思っていたものとは違って少し拍子抜け。

試験内容は、魔力を感知する水晶玉があって、それに自分の全力の魔力をぶつけると言うとてもシンプルで分かりやすいものだった。

方法が簡単で良いな、何て思っていたら父様に加減してくれ、そうでないと魔力を感知するどころか推奨が壊れる。何て言われてしまい、不本意だけど加減をして試験に臨んだ。

加減をしたから勿論水晶は割れずに済み、でもそれを見ていた試験監督の方に凄い驚かれて、その場で即合格になった。

普通全員の試験が終わってから魔力を測定したりして合格者を決定し、数日後に通知される。

それなのにその場で合格って……、良いのかな?

その場で合格を言われた人はほとんどいないらしく、二年に一人いるかいないか位らしい。

私より先にこの学院へ入っている姉様はそうだったらしいけど。

それから後で聞いたことだけど、今年は即合格を言われた人が私を含めて三人もいたみたい。

それを聞いた私は凄いな、何て自分も含まれているのに他人事みたいに思っていた。


まぁ関係のない話は置いといて。

この学院はオルデシア王国の中で一番有名な学院なのです。

正式には〖エスワ-ル魔法学院〗

オルデシア王国最大の規模を誇る魔法学院として有名。

位の高い貴族の子息、令嬢から一般庶民の子ども達と幅広い階級の人達が入学し、学ぶ事が出来ることでも名が知られている。

試験を合格できれば貴族でも庶民でも歓迎してくれる、貴族至上主義を持たない学院。

とはいっても未だに全体の半分以上は貴族の子ども達と言うのが現実だけどね。


と言う訳で、そんな有名な学院へ無事入学が叶ったわけだけど、入って早々目立ってしまっている気がする。

周りからの視線が凄い……。どうしてどこに行っても私は目立ってしまうのでしょうか……。

良くも悪くも目立ちたくない私にとっては居心地が悪くて、逃げるようにその場を後にする。


一先ずさっき発表されたクラスへ行こう。

そう思い決められた教室へ向かって歩いて行った。


学院は六年制で一学年それぞれがA~Fの六クラスに分けられる。

このA~Fはいうなればランク。

Aが一番優秀で半年に一度開催される実力テストの成績によって決まる。

この学院に入ったからには皆ランクAを目指し魔法、勉学に励むわけで、ランクAの先輩は後輩からの憧れの的になったりと誰もが憧れるランクなのです。

しかし入学したての最初のクラスは実力関係なく決まり一年を過ごす。

そして二年生からそれぞれの実力でクラス分けされていくのが学院のシステム。

だから一年生と言うのは学院側は生徒達の様子見、そして私達にとってはランクを上げるための修行期間ってことになる。

一年生の内にどれだけ頑張れるかがこの先の学院生活、そして将来にも大きく関わってくると言っても過言ではないのです。

とまぁ王国一の学院なので厳しいところは厳しいけど、努力すればそれは実を結ぶのです。

私も置いて行かれないように頑張らないと!

そう気合を入れ直したところでちょうど教室へと着いた。

Cクラス。ここが私の入学して初めての教室でスタートライン。

中にはもう何人も生徒が居るようで、話し声が聞こえてくる。

緊張しながらもその中へと足を踏み入れる。

な、なに……?

入った瞬間、話し声はピタリと止み、そこにいた生徒が一斉に私の方を見てきた。

各々驚いた表情をしているけど私の方が驚いていますからね。

戸惑いながらも視線を外して決められた自分の席まで来ると腰をそっと下ろす。

そして今一度周りに視線を移して見ると、そこでやっと皆の視線は私から外れ、それぞれまた談笑を始めていた。

一体何だったのでしょうか……?

……ん?

視線が無くなりようやくホッとしていると窓際にいる女の子に目が留まった。

真っ白な髪にと可愛らしいマゼンタ色の瞳で小柄なのにどこか大人びた印象を与える綺麗な女の子。

クラスの子達は友達と仲良く話しているのにその子だけは一人自分の机に座り、退屈そうに頬杖を付いて窓から見える景色を眺めていた。

わぁ、綺麗な子……。

よし!決めた。後であの子に話しかけてみよう。

人見知りではないし、自分から積極的に行かないとね。話してみたら仲良くなれるかもしれないし。


「皆さん、席に着いて下さい」

そう思ったところで担任の先生かな?女性が入って来て、私は考え事をやめて女性の話に耳を傾けたのだった。


HR後の休憩時間、私は早速あの女の子のところへ行ってみることにした。


「あの、初めまして。私はエルシア・シェフィールドと言います」

窓の外を見ていた彼女が顔を上げて私を見る。

あ、やっぱりマゼンタ色の瞳がお綺麗ですね。

「シェフィールド?シェフィールド侯爵家の?」

「はい」

「何か御用?」

普通に話しているだけなのに彼女からは優艶さが溢れだしていて同性でも見惚れそうになる。

「用事と言う用事はないのですが、ただ話してみたいなと思ったので。それにこれから一年同じクラスなので仲良くしたいなと思って」

そう私が言うと彼女は上品に笑った。

「あ、ごめんなさいね。貴方って面白い人ね。有名な侯爵家の令嬢がこんな子だと思わなかったから」

「え、えっと……」

これは褒められてる?それとも……。

「悪口ではないわよ。思っていたのと印象が大分違って可愛らしい人って思ったの」

無表情だった顔が綻んだ。

そして彼女はあっ、と思い出したように、

「まだ名乗っていなかったわね。ユキ・ルターシアよ。貴方と同じで階級は侯爵。これからよろしくね、エルシアさん」

ルターシアさんはそう名乗って笑顔を見せてくれた。

良かった。凄く良い人みたい。

「私のことはエルで良いです。皆そう呼ぶので」

「分かったわエル。私のこともユキでいいわ」

「はい。よろしくお願いします、ユキ」

もう少し話したいなと思っていたら休憩の終わりの時間になってしまい、惜しみながらもまた話しましょうと言って自分の席に戻っていった。


話はあまり出来なかったけど、何はともあれ学院での初めての友人。嬉しさに顔がにやけてしまいそう。



あの後時間もなく終わり次第帰らなくては行けなかったから、ユキに挨拶だけして教室を後にした。

帰りの馬車で、迎えに来てくれたルカにその日あったことを話すと微笑ましそうな顔をされて、でも静かに話しに耳を傾けてくれていたのでした。
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