幸せな人生を目指して

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番外編

モテキ到来?(男子の場合)

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突然だけど最近男子諸君にモテキが来たようです!

学院の同じクラスで友人のレヴィ君。
元から女子達には憧れの存在だったようだけど、それが最近益々グレードアップしてきている。

その理由は、彼の感じが変わったかららしい。

最初は人を寄せ付けないような、良く言えばクール、悪く言えば不愛想だった彼。そんな冷たい態度も何かと良いと思っている女子もいたみたいだけど、ここ最近の彼は私やユキと話をするようになったからか、表情豊かになりそれをクラスでも顔に出すようになったのだ。

だからそれを見てしまった女子達はもうメロメロ状態ってわけ。

これが所謂ギャップ萌えと言うやつですか!

しかも彼の場合容姿も相まって存在感を十分に醸し出しているからね。もう学院のアイドルと言っても過言ではないかも。


女子達に何かと話しかけられる事が増えてきたレヴィ君。そこでいつもみたいに話せればいいんだけど……。



その日の放課後――。


「ローレンス君…、あの…」

あっ、またレヴィ君に話しかける女子が現れた。顔を赤らめて恥ずかしがっているけど、それでも頑張っているのが分かる。女子の勇気は凄いよね。

「何?」

「その…えっと…」

その勇気を振り絞って話しかけてくれた女子に対してレヴィ君は、無表情ですね…。

あ…でも言葉に詰まる女子生徒に少し前ならもう席を立っているところ、今は席を立たずに相手の話を聞こうとしているみたい。

へ~、レヴィ君変わったって言われていたけど、本当に変わりましたね。

友達として近くにいたけど案外近くにいるからこそ気が付かない事あるのかも。こうして離れて改めて彼を見てみると紳士って感じがするよ。

「実は、授業で分からないところがあって……。ローレンス君、頭良いから教えてもらいたくて……」

「ああ、そう言う事。別に良いけど。どこ?」

おっ!少し前のレヴィ君では考えられなかった紳士的対応!本人はもしかしたら面倒とか思っているかもしれないけど、でもそれを態度に出す事なく答えてあげようとしている。
女子生徒も嬉しそうだ。


何だか子どもの成長を見守る母になった気分。子どもいないけど。
母様もいつもこんな気持ちで見守ってくれているのかな。そうだと良いな。

そんな事を思いながらもう一度視線を二人に戻す。


……それにしても何だろう…。女子生徒と話しているレヴィ君を見ていると、胸がチクチクと痛むような…。
レヴィ君の態度はましになったとはいえ、まだまだ他の生徒に対して表情は固い。
今だってただ授業で分からないところを教えてあげているだけ。

…それなのにむかむかしてしまうのはどうして?


女子生徒が呼んでいたように他の生徒達もレヴィ君の事はローレンスの名で呼ぶ。
彼の家が侯爵家でもある為、呼び捨てではなく様をつける生徒が前はほとんどだったし、話す時も敬語だった。

当の本人は特に気にしていないようだし、寧ろ敬語でもそうでなくても良さそうって顔だったけど、でも今思えば、侯爵と言う階級が彼と他の生徒との壁を作っていたような気がするのだ。
しかも彼の家はただの侯爵ではなく、騎士の家系であり、優秀な者しか入る事が出来ない騎士団所属のお兄様がいる。
これは結構有名な話のようで、その話題で話しかけてくる人も少なくないようだし。
それに気にしているのか、その話をされるたびにレヴィ君暗い顔をするし…。


まあとにかく、そう言う家系の事もあって学院の生徒で、階級が関係ないとしても礼儀正しい態度でレヴィ君に接していた生徒達。それが今では私達の影響か、少しずつだけど呼び方も様から君に変えたり、敬語も使わなくなったりしてきて、レヴィ君も前のように無視をしなくなったから段々と他の生徒との壁が無くなって来ていた。

それを普通なら喜んであげるべきなのに、私も皆と仲良くなれたら良いなと思っていたのに……。


少し嫌だなって思ってしまう…。

………どうしてそう思ってしまうのか自分でも分からないけど、でも、私って嫌な子、だなって最近良く思う……。








その場にいるのが何と言うか居た堪れなくなって、ばれないようにそっと教室を離れて、迎えが来ているだろうルカの待つ馬車へと向かって歩いて行く。

変わらずいつも通りの場所に止まっていた馬車。その外ではルカが待ってくれている。
その姿を見つけるや否や、声を上げた、つもりが……。

「ルカ――」

「ルカ様っ!!」

「今日もお美しいですわ」

私の声を遮るようにして飛び交う女子生徒達の黄色い歓声。その声が他の生徒も引き寄せ、ルカの周りに続々と集まって行く。

ルカは私の従者だけど学院の生徒ではない。それでも学院の女子にはとても人気だった。
毎朝、私とアリンちゃんを送ってくれるけど、その送り迎えの短い時間だけで生徒達に顔が知れて、前世で言うファンクラブ、のようなものまで最近では出来ている程。

人気の理由はレヴィ君とは対照的に誰に対しても優しいから、みたい。

基本冷静沈着、真面目な性格で話しづらそうな雰囲気を醸し出していたルカ。
でもその反面、一度話しかけてみれば笑みを浮かべ親身になって話を聞いてくれる、まさに皆の理想の紳士なのだ。

誰が相手だろうと物腰柔らかで、その落ち着いた美形の容姿もあってか見惚れる女子が多い。

私は若干怖いなって思う時もあるけど、でもやっぱりルカは優しくて、頼りになって、兄的な存在だと思って信頼している。
……そうなると主従が逆転しているような気もするけど。まあ主従なんて私にとっては見栄だから。主従なんか関係なく家族だと思っているし。


…とは言ってもこの状況、どうしましょうか。

考え込んでいた思考を戻してみるも、状況は変わらないし、それどころが先程よりも更に生徒が増えたような気までするんだけど…。
このままだと帰れないな…。

そう思い溜息を吐きそうになった時。

「エル様」

「貴方も大変みたいね、エル」

いつの間にかアリンちゃんとユキが傍に来ていて、この光景にユキは心底呆れたと言う顔だ。

「全く令嬢ともあろう者達がはしたない」

「相変わらず言葉に容赦がないですね、ユキ……」

毒舌なユキの言葉は今日も冴えていて手加減がない。でもはっきりとそう言えるユキのその態度は嫌いじゃない。寧ろ格好良いと思うし、結構好きだ。

「貴方もだけどアリンもあれでは馬車に乗れないわね」

「私は、平気です」

「私も大丈夫ですよ?少しすれば落ち着くでしょうし、待ちますよ」

私とアリンちゃんがそう言うとユキはまた溜息を吐いた。

「貴方達は本当に優しいわよね。私なら実力行使よ」

実力行使って……。一体何をするつもりなんですか…?


「そ、それよりユキの方こそ帰らなくて良いのですか?」

「良いの。どうせ向こうも同じでしょうし」

「…?」

ユキは迎えが来ているだろう方を見て深く溜息。もしかしてユキの従者であるレナードさんも同じ状況に…?

あはは…。モテるのって羨ましがられるけど、本当は大変なんだな……。



私達は他愛もない会話をしてその暇な時間を潰す事にし、女子達が帰って行った頃、漸くそれぞれの馬車へと乗り込む事が出来ホッと一息吐いたのだった。


その後も何日かそんな事が続き、意外にもそれに我慢の限界を迎えたユキが裏から手をまわした様で、完全とはいいがたいけど少し騒動が収まるようになった。


一体何をしたのかと聞いても返ってくるのはユキの氷点下の笑みだけだった……けれども。
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