213 / 229
第10章 アマビリスの乙女
18 急展開
しおりを挟む
「おい、もしかしてあの女――」
「はい。フランさんの元へ向かったのでしょう」
急展開な状況についていけない中、レヴィ君とテオ先輩の会話が耳に入ってきてハッとした。
今のって、ワープ…!?
魔法道具を用いての使用は初めて見たけれど、間違いない。
ワープする事自体は可能だが、魔力を多量に使用する為、発動させると魔力の消耗が激しい魔法。
それを魔法道具のみで可能にしているという事は、それだけの魔力があの道具には込められていた、と言う事になる。
そう考えればやはりあの魔法道具はただの魔法道具ではない、そう言えた。
先輩は町で商人に貰った、と言っていたがその商人がそもそも怪しい。
最終的にその人物が何者なのか、そこも突き止めなければならないだろうけれど、今優先すべきはそこではなく、ベラ先輩の方で。
向かった先は明確なものの私達も急がなくてはならない。正気ではないあの状態の先輩では、何をしでかすか分かったものではない。
「皆、直ぐにベラ先輩の後を追いますので、私に近づいて下さい」
私は頭をフル回転させて暫し思考すると、直ぐに行動に移す。
私がしようとしている事は簡単で、先輩と同じようにして後を追うって事。端的に言えばこちらもワープで飛ぶという話だ。
「まさかワープ魔法を使用するつもりですか?あれは使用後の消耗が激しい。向こうへ飛べたとしても、その後直ぐに戦闘となる可能性もあります」
しかし、私のその一言だけで、私が何をしようとしているのかに勘付いたらしいテオ先輩は、やはりと言って良い程良い顔はしない。
すかさず制止の声が掛かったが、今ここで足止めを食らっている時間はない。
私も負けじと彼に言い返す。
「分かっています。ですから魔法を使用するのは、今この場では私が一番適任です。
私はこれでも魔力は豊富ですし、防御力は高いと自負しています。ですが戦闘向きではありません。
それならば向こうへ着いた時に、テオ先輩の言う戦闘になった場合を考えて、動ける人は魔力を温存しておいた方が懸命な判断だと私は思います。
だからお願いします。今は一刻を争う状況。尚更時間を無駄には出来ません」
一斉の反論を許さぬ勢いで最後まで私が言い切ると、流石のテオ先輩も言葉を詰まらせてしまっていた。ぽかんとした表情で固まっている。
けれど今はそれで良い。
「全く…、お前は本当に一度決めると折れないよな」
「我が妹ながら可愛いだけじゃなくてとても頼もしいわ。本当に自慢の妹よ」
緊迫した空気の中、場違いな程に呑気な二人の声が響く。
レヴィ君と姉様はまたいつもの事か、とでも言わんばかりに慣れた様子で私の傍に近づいた。
「もういつもの事でしょう。
テオ先輩も、行きましょう」
通常運転過ぎる二人につられてつい私も笑ってしまい、気づけばいつものように返事を返していた。
何だか私の扱いを熟知しているような感じだったけど、気にしない事にしよう。
私は今一度テオ先輩に視線を向け、彼と向き合った。
「…分かりました。行きましょう」
少し間があって、私の本気が伝わったのかテオ先輩は「全く、貴方という人は」と言いつつも頷くと、姉様達同様に私の傍に寄った。
その事に内心嬉しく思いながら、私は深く深呼吸をし、意識を集中させる為目を閉じた。
向かうは先日私自身も訪れたシェルバート伯爵邸。ここからはそれなりに距離があるが、一度訪れた事がある場所の為、そこまでワープするのは難しくない。初めての場所はそうもいかないが。
――飛びたい場所をイメージして、魔力を緻密にコントロールしていく。
後はタイミングとそれに合わせて魔法を発動させるだけ。
口にするのは簡単だがとても難しく高度な魔法であり、少しでも狂えば全く別の場所へ飛んでしまう可能性もある。
でも大丈夫。今の私には成功する未来しか見えていない程自信しかないのだから。
さあ行こう。姉様の大切な人を救いに――。
「では行きます!」
皆に声を掛けると同時、私は魔法を発動させたのだった。
一瞬の眩さと浮遊感――そして目を開ければ、そこには先日訪れた記憶に新しいシェルバート伯爵邸。
…成功だっ!
思っていた通りワープが成功し、ホッとするのも束の間。
「…っ!!」
一気に魔力を使用した事による反動が身体を襲った。
症状としては身体を動かせない程の倦怠感。それが一斉に押し寄せてきて流石に耐えきれずに、私はその場に蹲ってしまった。
…覚悟はしていたけれど、やっぱり中々に苦しい、かな。
身体とは異なり、至って冷静な頭は他人事のようにそんな事を思い苦笑が漏れる。
そんな私の状態に一早く姉様が気が付き、真っ先に声を掛けてきた。
「エル、大丈夫!?」
心配をしてくれる姉様に申し訳なく思いながらも、私は苦し紛れにも大丈夫、と笑みを浮かべて言った。
「……少し休んだら、大丈夫だと思います。
…姉様達は先に行って下さい。直ぐに追いつきますので」
あれだけ啖呵を切ったのに情けなくも、今はそう言うのが精一杯だった。
「でも……」
優しい姉様。大切な人の元に直ぐにでも向かいたいはずなのに、私を心配してその場から動こうとしない。彼は直ぐ目の先にいるというのに。
彼は姉様を待っている。きっと。
だからこそ姉様には先に行って欲しい。
大丈夫だから、そう言いたいのに上がった息が邪魔をして言葉にならない。
そんな時。
「俺がエルを見てる。だから二人は先に行っててくれ」
その声と共に蹲った私に影がかかった。ハッと顔を上げれば、そこには真剣な目で二人を諭すレヴィ君の横顔があって。
――その瞬間、私は息をする方法を忘れてしまった。
「分かりました。エルシアさんの事はお願いします。
アメリアさんの事は私が守りますのでご安心を」
「ああ、頼んだ先輩」
ほーっとしてしまった私を置いてけぼりに繰り広げられる会話。
けれど、では行きましょうアメリアさん、と言って姉様を促してくれたテオ先輩には感謝している。
察してくれたのだろうと思うが、そんな先輩を私は素直に尊敬する。
遠ざかる二人の背中。
…レヴィ、エルの事お願いね、と姉様は最後まで心配そうにしていたが、それでもテオ先輩に促されると、漸く邸へと向かって行った。
二人の姿が邸の中へと消えて行くと、緊張の糸が切れたとでも言うのか、尚の事少し眩暈までしてきて身体が辛くなった気がする。
「全く…。本当にお前は無茶ばかりするよな。後先考えないお転婆娘が」
「…あれ、何か凄い責められてます……?」
「当たり前だろ。ああ、エルが後先考えないお転婆娘なんて、今に始まった事でもなかったな」
痛い所をつかれてしまい、良い良い訳も思いつかなくて、もう笑って誤魔化すしかない。
でもレヴィ君もレヴィ君だ。そんなに言うのなら、私を置いて二人と先に行っても良いのに、彼はそうしない。顔にも出さないけれど心配してくれているんだって分かる。
何だかんだ言いつつも彼は優しいのだ。
「少し休めば大丈夫って言うのは本当なんだろ?なら休憩したら俺達も直ぐに行くぞ」
まだ体力が回復しない私の隣に態々屈んで様子を伺うレヴィ君。
「…レヴィ君、ごめんなさい。それから、ありがとうございます」
いつも通りの些細な会話。
けれど私がお礼を告げれば、レヴィ君の頬は朱に染まり照れたような仕草を見せるのだった。
「はい。フランさんの元へ向かったのでしょう」
急展開な状況についていけない中、レヴィ君とテオ先輩の会話が耳に入ってきてハッとした。
今のって、ワープ…!?
魔法道具を用いての使用は初めて見たけれど、間違いない。
ワープする事自体は可能だが、魔力を多量に使用する為、発動させると魔力の消耗が激しい魔法。
それを魔法道具のみで可能にしているという事は、それだけの魔力があの道具には込められていた、と言う事になる。
そう考えればやはりあの魔法道具はただの魔法道具ではない、そう言えた。
先輩は町で商人に貰った、と言っていたがその商人がそもそも怪しい。
最終的にその人物が何者なのか、そこも突き止めなければならないだろうけれど、今優先すべきはそこではなく、ベラ先輩の方で。
向かった先は明確なものの私達も急がなくてはならない。正気ではないあの状態の先輩では、何をしでかすか分かったものではない。
「皆、直ぐにベラ先輩の後を追いますので、私に近づいて下さい」
私は頭をフル回転させて暫し思考すると、直ぐに行動に移す。
私がしようとしている事は簡単で、先輩と同じようにして後を追うって事。端的に言えばこちらもワープで飛ぶという話だ。
「まさかワープ魔法を使用するつもりですか?あれは使用後の消耗が激しい。向こうへ飛べたとしても、その後直ぐに戦闘となる可能性もあります」
しかし、私のその一言だけで、私が何をしようとしているのかに勘付いたらしいテオ先輩は、やはりと言って良い程良い顔はしない。
すかさず制止の声が掛かったが、今ここで足止めを食らっている時間はない。
私も負けじと彼に言い返す。
「分かっています。ですから魔法を使用するのは、今この場では私が一番適任です。
私はこれでも魔力は豊富ですし、防御力は高いと自負しています。ですが戦闘向きではありません。
それならば向こうへ着いた時に、テオ先輩の言う戦闘になった場合を考えて、動ける人は魔力を温存しておいた方が懸命な判断だと私は思います。
だからお願いします。今は一刻を争う状況。尚更時間を無駄には出来ません」
一斉の反論を許さぬ勢いで最後まで私が言い切ると、流石のテオ先輩も言葉を詰まらせてしまっていた。ぽかんとした表情で固まっている。
けれど今はそれで良い。
「全く…、お前は本当に一度決めると折れないよな」
「我が妹ながら可愛いだけじゃなくてとても頼もしいわ。本当に自慢の妹よ」
緊迫した空気の中、場違いな程に呑気な二人の声が響く。
レヴィ君と姉様はまたいつもの事か、とでも言わんばかりに慣れた様子で私の傍に近づいた。
「もういつもの事でしょう。
テオ先輩も、行きましょう」
通常運転過ぎる二人につられてつい私も笑ってしまい、気づけばいつものように返事を返していた。
何だか私の扱いを熟知しているような感じだったけど、気にしない事にしよう。
私は今一度テオ先輩に視線を向け、彼と向き合った。
「…分かりました。行きましょう」
少し間があって、私の本気が伝わったのかテオ先輩は「全く、貴方という人は」と言いつつも頷くと、姉様達同様に私の傍に寄った。
その事に内心嬉しく思いながら、私は深く深呼吸をし、意識を集中させる為目を閉じた。
向かうは先日私自身も訪れたシェルバート伯爵邸。ここからはそれなりに距離があるが、一度訪れた事がある場所の為、そこまでワープするのは難しくない。初めての場所はそうもいかないが。
――飛びたい場所をイメージして、魔力を緻密にコントロールしていく。
後はタイミングとそれに合わせて魔法を発動させるだけ。
口にするのは簡単だがとても難しく高度な魔法であり、少しでも狂えば全く別の場所へ飛んでしまう可能性もある。
でも大丈夫。今の私には成功する未来しか見えていない程自信しかないのだから。
さあ行こう。姉様の大切な人を救いに――。
「では行きます!」
皆に声を掛けると同時、私は魔法を発動させたのだった。
一瞬の眩さと浮遊感――そして目を開ければ、そこには先日訪れた記憶に新しいシェルバート伯爵邸。
…成功だっ!
思っていた通りワープが成功し、ホッとするのも束の間。
「…っ!!」
一気に魔力を使用した事による反動が身体を襲った。
症状としては身体を動かせない程の倦怠感。それが一斉に押し寄せてきて流石に耐えきれずに、私はその場に蹲ってしまった。
…覚悟はしていたけれど、やっぱり中々に苦しい、かな。
身体とは異なり、至って冷静な頭は他人事のようにそんな事を思い苦笑が漏れる。
そんな私の状態に一早く姉様が気が付き、真っ先に声を掛けてきた。
「エル、大丈夫!?」
心配をしてくれる姉様に申し訳なく思いながらも、私は苦し紛れにも大丈夫、と笑みを浮かべて言った。
「……少し休んだら、大丈夫だと思います。
…姉様達は先に行って下さい。直ぐに追いつきますので」
あれだけ啖呵を切ったのに情けなくも、今はそう言うのが精一杯だった。
「でも……」
優しい姉様。大切な人の元に直ぐにでも向かいたいはずなのに、私を心配してその場から動こうとしない。彼は直ぐ目の先にいるというのに。
彼は姉様を待っている。きっと。
だからこそ姉様には先に行って欲しい。
大丈夫だから、そう言いたいのに上がった息が邪魔をして言葉にならない。
そんな時。
「俺がエルを見てる。だから二人は先に行っててくれ」
その声と共に蹲った私に影がかかった。ハッと顔を上げれば、そこには真剣な目で二人を諭すレヴィ君の横顔があって。
――その瞬間、私は息をする方法を忘れてしまった。
「分かりました。エルシアさんの事はお願いします。
アメリアさんの事は私が守りますのでご安心を」
「ああ、頼んだ先輩」
ほーっとしてしまった私を置いてけぼりに繰り広げられる会話。
けれど、では行きましょうアメリアさん、と言って姉様を促してくれたテオ先輩には感謝している。
察してくれたのだろうと思うが、そんな先輩を私は素直に尊敬する。
遠ざかる二人の背中。
…レヴィ、エルの事お願いね、と姉様は最後まで心配そうにしていたが、それでもテオ先輩に促されると、漸く邸へと向かって行った。
二人の姿が邸の中へと消えて行くと、緊張の糸が切れたとでも言うのか、尚の事少し眩暈までしてきて身体が辛くなった気がする。
「全く…。本当にお前は無茶ばかりするよな。後先考えないお転婆娘が」
「…あれ、何か凄い責められてます……?」
「当たり前だろ。ああ、エルが後先考えないお転婆娘なんて、今に始まった事でもなかったな」
痛い所をつかれてしまい、良い良い訳も思いつかなくて、もう笑って誤魔化すしかない。
でもレヴィ君もレヴィ君だ。そんなに言うのなら、私を置いて二人と先に行っても良いのに、彼はそうしない。顔にも出さないけれど心配してくれているんだって分かる。
何だかんだ言いつつも彼は優しいのだ。
「少し休めば大丈夫って言うのは本当なんだろ?なら休憩したら俺達も直ぐに行くぞ」
まだ体力が回復しない私の隣に態々屈んで様子を伺うレヴィ君。
「…レヴィ君、ごめんなさい。それから、ありがとうございます」
いつも通りの些細な会話。
けれど私がお礼を告げれば、レヴィ君の頬は朱に染まり照れたような仕草を見せるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~
杵築しゅん
ファンタジー
戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。
3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。
家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。
そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。
こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。
身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる