俺はモブなので。

バニラアイス

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さよなら、悪役令息

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「話は終わった。行こう、クレノ。」


第二皇子は最後に悪役令息を睨みつけてから背を向け、俺の手を掴んで歩き出そうとする。

だが悪役令息が足にしがみついた事で、第二皇子の足が物理的に止まった。


「お、お待ちください.....!

どうか...どうか、この事は父には....学園長には....」


そう言って第二皇子の足に縋り泣きじゃくる悪役令息の姿は、ほんの数分前まで不敵な笑みを浮かべ俺を脅迫してきた人物だとは到底思えないほど、情けなく哀れだった。

どうやら悪役令息は家族や学園長には体が弱く物静かで真面目なフリをしているようで、今まで悪役令息が退学させてきた生徒達の事も自分が嫌がらせをされているかのように父親に伝え、それを可哀想に思った父親が学園長へ報告し、その報告を受けた生徒を退学させていた。

つまり、父親と学園長はノア・カーティスにいいように利用されていたという訳だ。

そして今回の事が父親や学園長へ伝われば、悪役令息は学園を退学どころか父親に勘当を言い渡されてもおかしくはないだろう。
    
だからこそ惨めでも哀れでも、第二皇子に縋りつき許しを乞いているのだ。


「お許しください.....どうか....どうか慈悲を....!」


許してくれるまで離さない。

そう言わんばかりの悪役令息に、第二皇子は感情のない表情で言った。

「お前への慈悲などない。
私からその汚れた手をどけろ。服が汚れるだろう。」

第二皇子の残酷な言葉に、悪役令息は力なく腕を緩めた。


「学園を去れ。

そして二度と、私とクレノの前に姿を見せるな。」

そう吐き捨てた第二皇子は悪役令息の絡みついた腕を引き剥がし、俺の手を引いてまた歩き出す。

俺は手を引っ張られながら後ろを振り返り悪役令息の様子を確認すると、その顔は絶望に満ち、この世の終わりとでも言うような酷い顔をしていた。


だが同情はしない。

今回の事はすべて、今まで自分がしてきた行為が原因なのだから。


(自業自得だ。)

そう思いながら俺は再び背を向ける。


そして事件があった翌日には、悪役令息の姿をこの学園で見る事はなくなった。


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