俺はモブなので。

バニラアイス

文字の大きさ
34 / 267

ざまぁみろ!

しおりを挟む


「それで、公爵令嬢はカグラに嫌がらせをしていたのかい?」

俺の怒りにまったく気付かず、平然と口にする皇太子に腹が立つ。

(この馬鹿皇太子....お前の思い通りにシャーロットを退学になんてさせるか!!)

絶対にシャーロットは退学させないし悪役令嬢枠にもさせないと決意した俺は、口を開いた。


「....俺は公爵令嬢と友人になったのもほんの数ヶ月前で、何も知りません。

....ただ、公爵令嬢がカグラに対して嫌がらせをしていたというのは事実です。そこに関しては公爵令嬢も認めていました。」

「!!そうか!なら「ですが!」

俺は嬉しそうに声を上げた皇太子に、被せるように待ったをかける。


「....ですが俺の目には、その頃の公爵令嬢はただの皇太子殿下に恋をする女の子にしか見えませんでした。」

そう俺が言うと皇太子は先ほどまでの嬉しい顔とは違い、驚いた表情で俺を見る。

俺は何か言いたげな皇太子を無視して話を続けた。


「公爵令嬢はただ....皇太子殿下、貴方に自分を見てほしいと思っていただけなんです。
確かに公爵令嬢は以前、カグラ様に対して嫌がらせをしてきたと思います。ですがその嫌がらせのすべてが公爵令嬢のせいではありませんし、それに今は嫌がらせなんてもの一切していません。

公爵令嬢がお二人に言っていたではありませんか。

もう皇太子殿下にもカグラ様にも近付かない、反省していると謝罪していたではありませんか。」

俺がそう言うと、皇太子は焦ったように顔に汗を垂らし始めた。


「そ....それは、公爵令嬢が私達を惑わす企みで....
クレノくんが知らないだけで、本当は今でも嫌がらせを.....」

なんでこの皇太子はシャーロットを悪者にしたがるんだよ。

「それなら嫌がらせの件を報告してきた生徒達に、今でもその現場を見るのか確認してみてください。」

そうすれば俺が言っている事が嘘か本当かなんてすぐに分かるだろうし。


「だ...だが、公爵令嬢は少なくとも以前は嫌がらせをしていたのだろう?
もしもまたカグラが酷い嫌がらせをされたら.....」

「そこはご心配なく。」

なかなか食い下がらない皇太子に対し、俺はニコリと微笑んだ。

「バーベル公爵令嬢が言っていましたよ?
今では二人に興味すらない、自分とは一切関係のない赤の他人だと。

あぁ、二人仲良くお幸せにとも言っていましたね。


それに今では、新しい恋人に夢中みたいですし。」

(なのでどうぞご安心ください。
お前なんかに、もうシャーロットは恋心を抱く事なんてないほど冷めきってるんだよ。)

皇太子に笑顔を見せ続けながら心の中で悪態をつく。


(まぁ、恋人は嘘だけど。秘密裏に会ってるって事にしとけばいいだろ。
それにもう二人に興味ないって言ってたのは本当の事だし。

つーか、まだシャーロットが自分の事を好いてると思ってるとか自意識過剰なんだよ!)

そんな事を思いながら皇太子の顔を見れば、俺の言葉に目を丸くし、唖然とした表情のまま見事に固まっていた。

(勝ったな。それにしてもこの皇太子ほんとダメだな。
子爵令息の俺ごときにここまで言われて不敬だのなんだの言わないのはラッキーだとして、こんな奴が未来の皇帝なんて本当に大丈夫か?)


「そ...そうか....恋人が......

クレノくんの言い分はよく分かった。これからこちらでもっと詳細に調べよう。
今日は話し込んでしまってすまなかったね。貴重な意見をありがとう。」

俺の言葉で固まっていた皇太子が、大量の汗をかきながら逃げるように言う。
そして引き攣った笑顔を見せながら、皇太子が俺を扉まで送ってくれた。

「いえ、俺はただ正直に殿下へ自分の意見をお伝えしただけです。

こちらこそありがとうございました。とても楽しかったです。」

(皇太子殿下のその歪んだ顔が見れて。)

そう思ってしまう俺は、本当に性格が悪いなと自分で思う。


「では、失礼致します。」

「あ....あぁ。それじゃあまたね。」

こうして俺と皇太子の話し合いが終わり扉を出た俺の耳に聞こえてきたのは、生徒会室の中から何かが割れる大きな音だった。
そしてそれと同時に「痛っ!」という声も聞こえてきて、その声を聞いた俺は小さくガッツポーズをした。

(やっぱり皇太子も俺にイラついてたか......

お前の思い通りになんか、話しても動いてもやんねーよ!シャーロットの想いを無下にした罰だ!

ざまぁみろ!)

そう勝ち誇ったように、俺は上機嫌で口笛を拭きながら廊下を歩く。


「クレノ。」


俺を呼ぶ、いつも以上に低い声が聞こえるまでは。

    
しおりを挟む
感想 189

あなたにおすすめの小説

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色
BL
「ぼく、あくやくれいそくだ」弟の誕生と同時に前世を思い出した七海は、悪役令息キルナ=フェルライトに転生していた。闇と水という典型的な悪役属性な上、肝心の魔力はほぼゼロに近い。雑魚キャラで死亡フラグ立ちまくりの中、なぜか第一王子に溺愛され!?

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで

二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...