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騙されそう
しおりを挟む俺が知っているゲーム内でのカグラは、誰にでも優しく温厚で、皆から愛される花のような可憐な少年だ。
決して、シャーロットが言ったような行動も言葉もするような最低最悪なキャラじゃない。
でもシャーロットが嘘をついているとは到底思えないし、今話したすべてが事実なのだろう。
「カグラ・ミルズ.....まさかそのような男だったとは......」
俺と同じく、シャーロットの話を隣で聞いていた第二皇子が小さく呟いた。
(殿下ですら気付いてなかったんだ....
そういえば初めて会った時、殿下はカグラが好きだったんだっけ。
....まだカグラの事、好きなのかな.....)
思いを寄せていたカグラが実は性悪の最低男だったという話を聞かされて、少なからずショックを受けているのでは?
そんな事を思いながら第二皇子を見るが、至って冷静でショックだという顔は一切していなかった。
そして第二皇子と目が合ったかと思えば、突然俺の両肩に手を置いて真面目な顔でこう言った。
「クレノ。絶対に何があったとしても、カグラ・ミルズには一切近付くな。」
「はい?」
「絶対だぞ。もしカグラやその周りの奴らに声をかけられたとしても、無視して走って逃げろ。決して信用するな。」
そう念入りに第二皇子は言ってくる。
「えっと....なんでシャーロットじゃなくて俺に...?」
シャーロットや第二皇子自身の方がカグラとの接点は多くあるだろうし、出くわす可能性だって高い。
それなのにどうしてシャーロットに言うのではなくカグラとなんの接点もない、話した事もないような俺に第二皇子はしつこく言ってくるのだろうか。
「クレノは簡単に騙されそうだからな。念入りに言っておかないと。」
「騙されそうって....」
シャーロットを見れば、第二皇子の言葉に大きく頷いて同意していた。
(えぇ...?俺ってそんなに騙されそうなの?
っていうか、カグラの本性も知らずに騙されて好きだったのは殿下の方じゃん!)
第二皇子の発言にそんな事はない。騙されてたのは第二皇子の方だ。と反論したいが、したらしたで面倒な事になりそうだと思った俺は「分かりました。絶対に近付きません。」と素直に返事をした。
一通り話が終わった後、俺は頼まれていた皇太子のサイン入り書類を先生に渡し、話し足りなかったのかシャーロットにお茶に誘われ、その誘いに乗った俺と第二皇子の三人で約二週間ぶりにお茶をする事になった。
そして紅茶やクッキーを楽しみながら、シャーロットの永遠と終わらないカグラへの不満を、俺と第二皇子の二人は散々聞かされる羽目になった。
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