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倍にして返す~レイside~
しおりを挟む(早く、クレノの元へ行って抱き締めたい。)
兄に勝って、最初に思った事はそれだった。
審判に呼ばれた私は負けて項垂れている兄に目もくれず、控え室へと向かう。
そして控え室へと入り、表彰式の時間になるまで待とうと思ったが....
(....表彰式まで、まだ時間は残っている。......クレノに会いに行こう。)
クレノには、誰よりも先に祝ってほしかった。
“おめでとうございます”と、私の大好きなあの可愛い笑顔で言う姿を想像し、控え室を出てクレノがいた試合席に行こうと廊下を歩いていた。
「レイ様!」
俺を呼び止める、あの不快な声が聞こえるまで。
「.....カグラ・ミルズ......」
クレノとの事を考え舞い上がっていた感情が、一瞬にして地へと落ちていく。
「あの....レイ様、優勝おめ「二度と私に近付くなと言ったはずだが?」
クレノからではなくカグラから祝福の言葉を言われそうになり、ますます機嫌が悪くなる。
「っ....そんな冷たい事言わないでくださいっ.....!
僕はただ、レイ様の間違いを正そうとしているだけです!」
「間違いだと?」
「はい!貴方はあの、クレノ・シアとかいう男が好きだと勘違いしてるだけなんです!
本当は、レイ様は僕の事が好きなんですよ!!」
「戯言を。何を根拠にそんなくだらない事を言っている?」
「そんなの、レイ様を見ていれば分かります!」
「貴様は兄上の恋人だろう。」
「レイ様が間違いに気付き、僕を選んでくれるというのならば、僕はシン様ではなくレイ様と一生を添い遂げますよ?
早く僕の事が好きだと認めてください!!」
「......」
狂っているな。
一体この男は何を言っているのだ。
「私がお前を好きだと?お前と今こうやって話す事も、視界に入る事すらも不愉快だというのに?
ふざけるのも大概にしろ。殺されたいのか?」
「っ......」
あまりの不快感に、今すぐにでもこの男を殺したくなる。
「兄上の恋人だからといってお前に容赦するつもりは一切ない。
殺されたくなければ、今すぐに私の前から消え失せろ。」
そう脅迫したのだが......
「っ.....嫌です!目を覚まして!!」
カグラはなんと、私の腕にしがみついてきた。
これ以上に不快な事はないほど、全身がこの男を拒絶する。
「触るな!!!」
私はあまりの不快感に、力の限りカグラを振り払った。
その反動で、カグラが地面へと投げ出される。
「痛っ.....」
痛そうに顔を歪めているカグラに、私は持っていた剣を抜きその刃をカグラへ向けた。
「ひっ....」
「.....私に不敬を働いただけではない。貴様は、私の大切な人を傷付けた。」
私への不敬だけではない。
この男は、クレノを傷付けた。
顔に少し傷を付けたくらいでは、私の怒りがどうにも治まらない。
「貴様がクレノを傷付けた分、倍にして返してやろう。」
そう私に言われたカグラは、恐怖に身体を震わせた。
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