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勝利
しおりを挟む「そこまで!勝者、レイ・スティード!!」
その声と共に、静まり返っていた場内が耳が痛くなるほど騒がしくなった。
(勝った....殿下が、勝った!!)
第二皇子が皇太子に勝利し、優勝したのだ。
そう理解した瞬間、俺は喜びのあまりつい人目もはばからず「よっしゃーーー!!」と叫び声を上げながら立ち上がってしまった。
そしてその声に驚いた周りの人達に注目され、恥ずかしくなった俺はすぐさま着席する。
「クレノ様、そんな大きな声も出せるのですね.....少し驚いてしまいました。」
「は、はは....嬉しさのあまりつい.....驚かせてしまってすみません。」
「いえ、そんなクレノ様も新鮮です。
それよりほら、第二皇子殿下がクレノ様を見つめていらっしゃいますよ?」
「え?」
そう言われ視線を第二皇子へ向けると、アメリア皇女が言っていた通り第二皇子が俺をジッと見つめていた。
(殿下......)
そのまま俺と第二皇子はしばらく見つめ合っていたが第二皇子が審判に呼ばれてしまい、場内から退出してしまった。
「....クレノ様、第二皇子殿下の所に早く行って差し上げて?
きっと殿下は、一番最初にクレノ様に祝福の言葉を言われたいと思っているはずだわ。」
俺達の様子を見ていたアメリア皇女が、優しくそう言ってくれた。
「......はい!殿下の所に行ってきます!」
「えぇ。」
俺は立ち上がり、急いで第二皇子の元へと走る。
(これから表彰式だし、殿下はきっと控え室にいるはず....)
そう思いながら控え室に向かって廊下を走っていた時、曲がり角から話し声が聞こえた。
「....??」
聞き覚えのあるその声に俺は立ち止まり、隠れながら声がした方を覗き込む。
「......え?あそこにいるのって殿下と.....カグラ!?」
そこにはなぜか床に座り込んでいるカグラと、そんなカグラを冷たい表情で見下ろしている第二皇子の姿があった。
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