包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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 気がついたら会社ではなく家に帰っていた。

「七さん、随分早いのね」
 よのぎさんが怪訝な顔をする。
 まだ14時半。

「間違えて帰ってきちゃった」
「大丈夫?」
 大丈夫ではない。動揺している。

「羽切さんが入院して…」
 と弱音を吐く。

「七さん、お昼食べたの?」
「うん。ごめんね、戻らないと」
「はい」
「その前によのぎさんを補給」
 大きめのスエットを着ているのに抱き締めるウエストは細い。それなのにその身体で目一杯支えてくれる。ぎゅっとしてくれて、嬉しい。

「七さん、来て」
「なに?」
 よのぎさんは洗濯の途中らしかった。

「あなたと私の洗濯物が絡まってぐるぐる回ってるのを見るのが好きなの」
 変な子。こんなことが幸せでいいのだろうか。人の価値はそれぞれだ。有名であることより、こうしてドラム式洗濯機を眺めているほうが幸せだっていい。

 確かに、この間まで他人だった二人の衣類が狭い機械の中でぐるぐると絡まっているのは滑稽だ。夫婦ってすごいな。他人だったのに、急に家族。

 さすがに今日は服のイメージが湧かない。でも、心は温まる。
「そろそろ戻るよ」
「うん」
「よのぎさん、勝手に愛しくなってごめん」
 たぶん君に温められたくて無意識に帰ってきてしまった。

「ううん、嬉しい」
 よのぎさんと抱き合う温かさから離れたくないけれど、社長だから仕事をしなければ。

 羽切さんの分まで。一人いないだけで、てんやわんや。羽切さんの仕事ができるのは僕と小曽根くんだけ。彼が戻って来てくれなかったらきっと誰かは逃亡していた。
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