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チクチク、チクチク。
君を想って刺繍が進む。仕事中だから気を使っているのかメッセージもくれない。
ホテルで一人になると刺繍ばかりしてしまう。
スマホの写真は今日のコレクションよりもよのぎさんが大半を占めている。寝顔なんていつ撮ったのだろう。自分を褒めたい。
眉毛をなぞる。
愛しているでは足りない。
よのぎさんにお土産を買おう。おいしいチョコレート。他の人のデザインを見るよりも妻を想うほうが今は創作意欲が湧く。それがなくなったら、この仕事はできない。
誰かを幸せにしたい。それによって自分も幸せ手になりたい。欲深なのだ。
よのぎさんと出会わなくても幸せだっただろう。でも、こんなふうにあなたへのお土産を選ぶだけで満たされる気持ちには知らないままだったよ。
若い人が好むものに自信がないので旗本さんに選んでもらう。
「黒田くんのは僕が選ぼうか?」
「この帽子が欲しいらしいです」
こっちでしか買えないものらしい。
「いいね、そんなふうに先に教えてくれると。よのぎさんの欲しいものなんてわからないよ」
「先生が無事に帰ってくることなんでしょうね、たぶん。私も黒田くんに会いたい」
「そういうこと思うんだ?」
「おかしいですか?」
旗本さんと店に入り、頭の大きさで悩む。
「二人はもっと結婚とかに囚われない高尚な関係なのかと」
「自分に合う相手はそういないですよ。黒田くんには感謝してるんです。仕事のことだけじゃない。彼は私に、世界はきれいだと教えてくれる」
よのぎさんもそうだ。幸せを何倍にもしてくれる。急がなくてもそういう相手に会えるようになっているのだ。
旗本さんは簡単なフランス語まで話せる。
「語学って、先生がやってる仕事よりもむつかしくないですよ。特に会話なんて」
と言うけれど、きっと脳の使う部分が違うのだろう。時間がないからと遠ざけて来たけれど、やっぱり直接話せたほうがスムーズだ。今は翻訳のアプリも素晴らしいが日常会話に困らないくらいには話したい。
君を想って刺繍が進む。仕事中だから気を使っているのかメッセージもくれない。
ホテルで一人になると刺繍ばかりしてしまう。
スマホの写真は今日のコレクションよりもよのぎさんが大半を占めている。寝顔なんていつ撮ったのだろう。自分を褒めたい。
眉毛をなぞる。
愛しているでは足りない。
よのぎさんにお土産を買おう。おいしいチョコレート。他の人のデザインを見るよりも妻を想うほうが今は創作意欲が湧く。それがなくなったら、この仕事はできない。
誰かを幸せにしたい。それによって自分も幸せ手になりたい。欲深なのだ。
よのぎさんと出会わなくても幸せだっただろう。でも、こんなふうにあなたへのお土産を選ぶだけで満たされる気持ちには知らないままだったよ。
若い人が好むものに自信がないので旗本さんに選んでもらう。
「黒田くんのは僕が選ぼうか?」
「この帽子が欲しいらしいです」
こっちでしか買えないものらしい。
「いいね、そんなふうに先に教えてくれると。よのぎさんの欲しいものなんてわからないよ」
「先生が無事に帰ってくることなんでしょうね、たぶん。私も黒田くんに会いたい」
「そういうこと思うんだ?」
「おかしいですか?」
旗本さんと店に入り、頭の大きさで悩む。
「二人はもっと結婚とかに囚われない高尚な関係なのかと」
「自分に合う相手はそういないですよ。黒田くんには感謝してるんです。仕事のことだけじゃない。彼は私に、世界はきれいだと教えてくれる」
よのぎさんもそうだ。幸せを何倍にもしてくれる。急がなくてもそういう相手に会えるようになっているのだ。
旗本さんは簡単なフランス語まで話せる。
「語学って、先生がやってる仕事よりもむつかしくないですよ。特に会話なんて」
と言うけれど、きっと脳の使う部分が違うのだろう。時間がないからと遠ざけて来たけれど、やっぱり直接話せたほうがスムーズだ。今は翻訳のアプリも素晴らしいが日常会話に困らないくらいには話したい。
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