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第2章 勇者の選択
8 鍛錬1
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ベルクは、俺の身近な人間──雫や凪沙さんに手を出してくるだろうか。
俺に勇者をやらせるために。
奴は、俺に執着しているようだ。
勇者っていうのが、俺にしかなれないジョブなのか、この世界には他にも素質を持つ奴がいるのか──それは分からない。
女神さまは他の人間を勇者として召喚していないことを考えると、俺以外に素質者はいない、という可能性もある。
少なくとも、簡単に代わりを見つけられるようなものじゃないんだろう。
でなければ、わざわざベルクがこっちの世界まで来て勧誘してくるとは思えないからな。
──スキル【警報】取得。発動。
俺は新たなスキルを取得し、雫と凪沙さんに施した。
これで、彼女たちに危機が迫ったときは、すぐに俺の元まで知らされる。
まあ、ベルクは女には手を上げない奴だったからな。
男に対しては全然容赦しないけど。
奴の性格上、雫と凪沙さんにその手を伸ばすとは考えづらいが、念には念を入れよう。
その日の部活を終え、俺たちは一階へと向かった。
「──彼方」
ててて、と凪沙さんが俺のところまで走り寄った。
「はい」
「妙な気配が、君から漂ってくる」
「妙な……気配?」
「魔の気配の、残滓」
「えっ」
凪沙さんが俺をまっすぐに見つめる。
青い瞳に爛々とした光が宿っていた。
魔力──。
彼女は、魔女の末裔だという。
実際、この前の遺跡探検で探ってみたら、確かに凪沙さんから魔力を感じた。
異世界の一流魔法使い並の、魔力を。
「嫌な感じがする」
「嫌な感じ、ですか」
「注意が必要」
言うなり、また去っていく凪沙さん。
『魔の気配の残滓』──か。
一体、なんのことだろう。
ただ、優れた魔力を持つ凪沙さんの感知だ。
気に留めておく必要はあるだろう。
俺に勇者をやらせるために。
奴は、俺に執着しているようだ。
勇者っていうのが、俺にしかなれないジョブなのか、この世界には他にも素質を持つ奴がいるのか──それは分からない。
女神さまは他の人間を勇者として召喚していないことを考えると、俺以外に素質者はいない、という可能性もある。
少なくとも、簡単に代わりを見つけられるようなものじゃないんだろう。
でなければ、わざわざベルクがこっちの世界まで来て勧誘してくるとは思えないからな。
──スキル【警報】取得。発動。
俺は新たなスキルを取得し、雫と凪沙さんに施した。
これで、彼女たちに危機が迫ったときは、すぐに俺の元まで知らされる。
まあ、ベルクは女には手を上げない奴だったからな。
男に対しては全然容赦しないけど。
奴の性格上、雫と凪沙さんにその手を伸ばすとは考えづらいが、念には念を入れよう。
その日の部活を終え、俺たちは一階へと向かった。
「──彼方」
ててて、と凪沙さんが俺のところまで走り寄った。
「はい」
「妙な気配が、君から漂ってくる」
「妙な……気配?」
「魔の気配の、残滓」
「えっ」
凪沙さんが俺をまっすぐに見つめる。
青い瞳に爛々とした光が宿っていた。
魔力──。
彼女は、魔女の末裔だという。
実際、この前の遺跡探検で探ってみたら、確かに凪沙さんから魔力を感じた。
異世界の一流魔法使い並の、魔力を。
「嫌な感じがする」
「嫌な感じ、ですか」
「注意が必要」
言うなり、また去っていく凪沙さん。
『魔の気配の残滓』──か。
一体、なんのことだろう。
ただ、優れた魔力を持つ凪沙さんの感知だ。
気に留めておく必要はあるだろう。
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