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婚約破棄編
白豚、断罪する
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ベンジャミンといかつい騎士たちの突然の登場、そしてゴロゴロと転がされてくる縄でグルグル巻きにされた、たぶんオールポート伯爵家の使用人たち。
ビッタンバッタンと暴れては騎士の人たちにむぎゅうと踏まれている。
あ、ついでにベンジャミンとディーンにも踏まれている。
ディーンが抑えていた悪の親玉のコーディは騎士の人が手際よく縄で縛ってくれた。
「な、なにごとですか?」
リトルトン侯爵夫人は蒼白な顔で捕らえられた使用人たちを指差し、リトルトン侯爵は魂をどこかに飛ばしてしまったようだ。
「こ、これは一体」
下品ママは身に覚えがありすぎるせいか小刻みに震え出す。
おおーっと、後ろに控えていたギャルメイドたちが忍び足で部屋を出ようと壁伝いにソロソロと移動を始めたが……アッサリ確保!
そりゃそうだ。騎士たちで扉はがっちりと固められているもの。
「我々はオールポート伯爵の要請で参りましたハーディング侯爵家の騎士団です」
ビシッと騎士の一人が声を上げると、ビッタンバッタンがピタリと止まる。
ハーディング侯爵家の名前にビビったのだろう。
どうやら、自分たちの悪事がやりやすいようにオールポート伯爵家の兵士や領都の自警団は解体させ、昔馴染みのめちゃくちゃ人相の悪い奴らにオールポート伯爵家の名前を名乗らして、衛兵らしき真似をさせていたらしい。
つまり、オールポート伯爵家の領都では、清く正しく生きている者たちが損をして、賄賂を払って悪いことをしている奴らが徳をする無法地帯と化していたのだ。
ふざけんなっ!
なので、伯爵である俺が認知していない領都にいる兵は使えないので、実家の騎士を借りて大掃除です!
この屋敷にいる悪党だけでなく、今頃は領都でブイブイ言わせていたバカ共も捕まっていると思う。
わははは、ザマーみろッ!
「オールポート伯爵家の財産を横領していた自称執事長のコーディとその仲間たち。他にも余罪があると思いますので、よろしくお願いします」
ベンジャミンはとってもいい笑顔でハーディング侯爵家の騎士たちに、コーディ一味を引き渡す。
「あと、そちらにいる女性も仲間ですので、厳しく取り調べてください」
ビシッとギャルメイドたちと下品ママを指差すベンジャミンに向かって、下品ママは悲鳴を上げて立ち上がる。
「私は知らないっ、知らないわ! わ、私は伯爵夫人よっ。貴族なのよ、触らないでちょうだい」
伯爵夫人だ、貴族だと宣いながら、髪を振り乱し手を振り回して騎士たちから逃げ回る無様な姿に失笑だ。
「セ、セシル様、助けてください。セシルさまあぁぁぁぁっ」
げっ、こっちに来るな!
しかし、この白豚のでっぷり体形では咄嗟に逃げるとか、避けるとかの行動はとれない。
あわや、下品ママに抱き着かれるかと思った瞬間、いつの間に現れたメイド長に返り咲いたライラが下品ママの襟首を掴んで後ろに引き倒した。
「ぐえええっ!」
いや、だから伯爵夫人が発する悲鳴じゃないだろう、それ。
「勘違いしないでくださいませ。旦那様は奥様を失くされたあと再婚などしていません。つまりお前はただの平民の詐欺師です」
フンッと鼻息を荒くしたライラが腕を組み、下品ママを見下ろす。
「そんなバカな。俺は確かにこのブタとの婚姻書を出したぞ」
おいっ、コーディ! 仮にも主人だった俺に向かってブタとか言うな!
しかし、この種明かしは俺の口からではなく、当事者でもあるベンジャミンからどうぞ。
「提出していませんよ、婚姻書は。私が握りつぶしました」
「なに? きさま、何をしやがった!」
「だって平民と貴族の結婚には条件があります。旦那様とそこの女ではその条件が満たしていなかったのですから、提出するだけ無駄です」
にっこりと笑うベンジャミンにコーディと下品ママはあんぐりと口を開けた。
「な、な、ななななな、なぜ?」
「ああ、なぜ婚姻書が認められないことを教えなかったかですか? それはあなた方が私たちの話を聞かなかったからですよ」
ぎゅむっとベンジャミンの靴の踵がコーディの背中に沈む。
「ぎゃあああっ」
どうやら、貴族と平民の結婚は難しいらしく、一番簡単な方法は平民が貴族の養子になり、貴族の身分を手に入れてから婚姻するやり方だ。
当然、酒場で働いていた下品ママとそのヒモだったコーディに貴族の知り合いがいるわけでもなく、たまたま酒場で知り合った……たった一夜だけだが、俺ことセシル・オールポートの財産を狙って、妻が亡くなった俺の元に娘だと嘘を吐き乗り込んできたのだ。
そんな奴らに貴族との結婚のルールなんてわかるはずもなく、娘がいれば再婚してもらえ、ゆくゆくは伯爵家も乗っ取れると思ったんだろう。
バカだなぁと思うけど、それを可能にしてしまう原因が俺のポンコツ具合だったと。
いや、反省。記憶にないし、俺じゃないけど、反省。
「財産の横領や伯爵と偽っての諸文書偽造、不当解雇、ここまではまだ小悪党の内だが、貴族家の乗っ取りは極刑だぞ」
騎士たちが次々と縄でグルグル巻きにされビッタンバッタンと体を跳ねさせている元使用人たちを運びながら、これから取り調べをし裁かれる罪状をひとつひとつ上げていく。
極刑の言葉にコーディと下品ママの意識がサックリと刈り取られた。
そりゃ、平民が伯爵家の正統な跡継ぎを追い出して乗っ取ろうとしたら、ダメでしょ? 君たちの人生ツメです。
こうして、いかついけれど正義の騎士たちとコーディ一味は去っていった……ニセ乳娘一人を残して。
「ママーッ!」
ビッタンバッタンと暴れては騎士の人たちにむぎゅうと踏まれている。
あ、ついでにベンジャミンとディーンにも踏まれている。
ディーンが抑えていた悪の親玉のコーディは騎士の人が手際よく縄で縛ってくれた。
「な、なにごとですか?」
リトルトン侯爵夫人は蒼白な顔で捕らえられた使用人たちを指差し、リトルトン侯爵は魂をどこかに飛ばしてしまったようだ。
「こ、これは一体」
下品ママは身に覚えがありすぎるせいか小刻みに震え出す。
おおーっと、後ろに控えていたギャルメイドたちが忍び足で部屋を出ようと壁伝いにソロソロと移動を始めたが……アッサリ確保!
そりゃそうだ。騎士たちで扉はがっちりと固められているもの。
「我々はオールポート伯爵の要請で参りましたハーディング侯爵家の騎士団です」
ビシッと騎士の一人が声を上げると、ビッタンバッタンがピタリと止まる。
ハーディング侯爵家の名前にビビったのだろう。
どうやら、自分たちの悪事がやりやすいようにオールポート伯爵家の兵士や領都の自警団は解体させ、昔馴染みのめちゃくちゃ人相の悪い奴らにオールポート伯爵家の名前を名乗らして、衛兵らしき真似をさせていたらしい。
つまり、オールポート伯爵家の領都では、清く正しく生きている者たちが損をして、賄賂を払って悪いことをしている奴らが徳をする無法地帯と化していたのだ。
ふざけんなっ!
なので、伯爵である俺が認知していない領都にいる兵は使えないので、実家の騎士を借りて大掃除です!
この屋敷にいる悪党だけでなく、今頃は領都でブイブイ言わせていたバカ共も捕まっていると思う。
わははは、ザマーみろッ!
「オールポート伯爵家の財産を横領していた自称執事長のコーディとその仲間たち。他にも余罪があると思いますので、よろしくお願いします」
ベンジャミンはとってもいい笑顔でハーディング侯爵家の騎士たちに、コーディ一味を引き渡す。
「あと、そちらにいる女性も仲間ですので、厳しく取り調べてください」
ビシッとギャルメイドたちと下品ママを指差すベンジャミンに向かって、下品ママは悲鳴を上げて立ち上がる。
「私は知らないっ、知らないわ! わ、私は伯爵夫人よっ。貴族なのよ、触らないでちょうだい」
伯爵夫人だ、貴族だと宣いながら、髪を振り乱し手を振り回して騎士たちから逃げ回る無様な姿に失笑だ。
「セ、セシル様、助けてください。セシルさまあぁぁぁぁっ」
げっ、こっちに来るな!
しかし、この白豚のでっぷり体形では咄嗟に逃げるとか、避けるとかの行動はとれない。
あわや、下品ママに抱き着かれるかと思った瞬間、いつの間に現れたメイド長に返り咲いたライラが下品ママの襟首を掴んで後ろに引き倒した。
「ぐえええっ!」
いや、だから伯爵夫人が発する悲鳴じゃないだろう、それ。
「勘違いしないでくださいませ。旦那様は奥様を失くされたあと再婚などしていません。つまりお前はただの平民の詐欺師です」
フンッと鼻息を荒くしたライラが腕を組み、下品ママを見下ろす。
「そんなバカな。俺は確かにこのブタとの婚姻書を出したぞ」
おいっ、コーディ! 仮にも主人だった俺に向かってブタとか言うな!
しかし、この種明かしは俺の口からではなく、当事者でもあるベンジャミンからどうぞ。
「提出していませんよ、婚姻書は。私が握りつぶしました」
「なに? きさま、何をしやがった!」
「だって平民と貴族の結婚には条件があります。旦那様とそこの女ではその条件が満たしていなかったのですから、提出するだけ無駄です」
にっこりと笑うベンジャミンにコーディと下品ママはあんぐりと口を開けた。
「な、な、ななななな、なぜ?」
「ああ、なぜ婚姻書が認められないことを教えなかったかですか? それはあなた方が私たちの話を聞かなかったからですよ」
ぎゅむっとベンジャミンの靴の踵がコーディの背中に沈む。
「ぎゃあああっ」
どうやら、貴族と平民の結婚は難しいらしく、一番簡単な方法は平民が貴族の養子になり、貴族の身分を手に入れてから婚姻するやり方だ。
当然、酒場で働いていた下品ママとそのヒモだったコーディに貴族の知り合いがいるわけでもなく、たまたま酒場で知り合った……たった一夜だけだが、俺ことセシル・オールポートの財産を狙って、妻が亡くなった俺の元に娘だと嘘を吐き乗り込んできたのだ。
そんな奴らに貴族との結婚のルールなんてわかるはずもなく、娘がいれば再婚してもらえ、ゆくゆくは伯爵家も乗っ取れると思ったんだろう。
バカだなぁと思うけど、それを可能にしてしまう原因が俺のポンコツ具合だったと。
いや、反省。記憶にないし、俺じゃないけど、反省。
「財産の横領や伯爵と偽っての諸文書偽造、不当解雇、ここまではまだ小悪党の内だが、貴族家の乗っ取りは極刑だぞ」
騎士たちが次々と縄でグルグル巻きにされビッタンバッタンと体を跳ねさせている元使用人たちを運びながら、これから取り調べをし裁かれる罪状をひとつひとつ上げていく。
極刑の言葉にコーディと下品ママの意識がサックリと刈り取られた。
そりゃ、平民が伯爵家の正統な跡継ぎを追い出して乗っ取ろうとしたら、ダメでしょ? 君たちの人生ツメです。
こうして、いかついけれど正義の騎士たちとコーディ一味は去っていった……ニセ乳娘一人を残して。
「ママーッ!」
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