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婚約破棄編
白豚、仕返しする
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さて、残された者たちは、それでは解散! とはならない。
まだ最後の仕掛けが残っている。
シャーロットちゃんは怒涛の展開にお目目がぐーるぐるしていたが、古参のメイドで信用できるライラが側について少し落ち着いたみたいだ。
うんうん、これからがシャーロットちゃんへ捧げるざまぁだからね。
入室してきたベンジャミンはそっと自分のジャケットの襟を直すと、俺の後ろに控える。
一瞬の静寂のあと、リトルトン侯爵夫人の甲高い声が響いた。
「無効……無効ですわ! ギデオンとこの小娘の結婚も貴族と平民の結婚ですもの、無効ですわよ!」
おばさん、必死である。
確かにね、オールポート伯爵家へ婿入りできると思ったら肩透かしを食らい、しかも平民のあまりオツムの出来がよくない子供を押し付けられるなんて、悪夢だよね?
これも、君たちの子供の教育が行き届いてなかったせいです。
「そうだ。僕はモニカが伯爵令嬢だと思ったから婚姻したんだ。この伯爵家を継げると思ったから……。まさか、伯爵の血を継いでないどころか……正統な跡継ぎがシャーロットだなんて……」
後半、小声で呟きチラチラとシャーロットちゃんを見るボンクラ息子、お前目ん玉抉るぞ? シャーロットちゃんを見るなっ。
もしかして、復縁したいなぁとか、ボケたこと考えてるじゃねぇだろうな?
「……婚姻は有効だぞ?」
俺がボソッと言葉を発したあとは、ディーンが続いて説明してくれる。
「ギデオン様とモニカ嬢の婚姻は有効です。モニカ嬢は平民ですが、ギデオン様も正しくは貴族ではないと判断されました」
「どうして!」
ボンクラ息子の血の叫びである。
「ギデオン様と我が伯爵家の跡継ぎシャーロット様との婚約が解消されましたので。これでギデオン様が入る貴族家はなくなりました。あ、まさか他に婿入りの話でもありますか?」
ディーンのわざとらしい質問に、リトルトン侯爵夫妻は力なく首を横に振る。
「それでは、リトルトン侯爵家が持つ他の爵位の譲渡は? その手続きは?」
こちらの質問にも、リトルトン侯爵夫妻は黙って首を振って答えた。
ディーンは侯爵夫妻に頷いてみせてから、ボンクラ息子へと尋ねる。
「では、文官の試験や騎士団の入団試験などは受けられましたか?」
「なんで、僕がそんなことをしないといけないんだ」
憤慨するな、ボンクラ息子が。
「でしたら、ギデオン様はもう成人しています。なのに働く場所も入る家もないとなれば……ゆくゆくは平民では?」
ここでやっとリトルトン侯爵夫妻は、ハッと何かに気づく。
そう、シャーロットちゃんと結婚してオールポート伯爵家に入るつもりだったから、ボンクラ息子はボンクラのまま、何一つ自分で身を立てるものがないという現実に。
「ああ、すみません。もう一つ可能性がありましたね。もしかしてギデオン様がリトルトン侯爵家を継ぐとか?」
ディーンはパチンと両手を叩き、軽やかな調子で問いかける。
「……いや、リトルトン侯爵家は予定どおり嫡男に継がせる」
ぐぬぬぬっという苦悶の表情でリトルトン侯爵は告げた。
まあ、嫡男として真面目に教育を受けてきた長男に、やらかした次男のためにその席を譲れとは、言えんわな。
「そもそも、リベリオ大司教がお認めになられた婚姻です。無効ならその場で返されますよ」
ベンジャミンがしれっと結論を口にしたが、ディーンはわかっていて遠回しに尋ねたのだ。
それは、我らが主人のシャーロットちゃんを蔑ろにしていたお前はどんなに偉いのか? という気持ちで。
その答えは、お前はこのままだとただの平民だ。しかも仕事もなく一人で生活もできない平民以下の人間だという。
がっくりと肩を落としてしょんぼりとソファーに座る息子の姿にリトルトン侯爵夫人は最後の手段に出た。
「では、離婚します。この小娘との婚姻が無効にできないのなら、今すぐ離婚しますわーっ」
はい、アウトーっ!
「三年後です」
置物のようになっていた大司教の爺さんが穏やかな声でハッキリと告げた。
「は?」
リトルトン侯爵家はパッカンと口を開け、「ママー」とえぐえぐ泣いていたニセ乳もきょとん顔。
「婚姻はされましたが、三年後にならないと離婚できません、モニカ嬢が成人してからですね」
「三年……」
もちろん俺たちは知っていましたよ。知っていたというか、だから婚約ではなくて婚姻をさせたのだから。
ふわーははははっ! 三年間つーのは、だいたいお前らがシャーロットちゃんを虐めた期間だ。
反省しやがれ。
そしてここで追い打ちをかけよう。頼んだぜディーン。
「あ、気を付けてくださいね。三年後には離婚できますが、片方だけの申し出では受付られませんよ。必ず双方のサインが必要ですから」
「そ、それは……」
リトルトン侯爵夫人は涙目でリトルトン侯爵は虚無顔だ。
この場合のサインは、二人揃って教会で離婚届にサインすることです。
通常の婚姻なら、今の時点で離婚届にサインしてもらってもいいのにね。未成年の子と婚姻したいって強請るからだよ。仕向けたのは俺だけども。
「ああ、お前。母親も父親も牢屋からは出れないな。孤児院に入るか?」
「へ?」
「ここでは面倒は見んぞ」
当たり前でしょ? 君は俺の子供じゃないし、シャーロットちゃんを虐めて喜んでいたのはコーディたちと同罪ですから。
「モニカ嬢が孤児院に入っても年齢のためすぐに出されます。住み込みで働くところを斡旋しましょうか?」
ディーンの笑顔が胡散臭くて、まるで人身売買の悪人を見ている気分だ。
シャーロットちゃんは、自分を虐めていたのにニセ乳の将来を案じてモジモジと落ち着かない様子。なんて、いい子!
「ただし、仕事の斡旋は一度だけ。そこを辞めたらあとは知りません。どこに行こうと何をしようと。……ああ、でもそうすると三年後の離婚のときには消息不明になっているかもしれませんね」
「そ、それは……そうなると、ギデオンは……」
「一生モニカ嬢とは離婚できません!」
結果、苦々しい顔をしたリトルトン侯爵夫人に連れられてニセ乳は愛しい旦那様と共に去っていった。
やったね!
まだ最後の仕掛けが残っている。
シャーロットちゃんは怒涛の展開にお目目がぐーるぐるしていたが、古参のメイドで信用できるライラが側について少し落ち着いたみたいだ。
うんうん、これからがシャーロットちゃんへ捧げるざまぁだからね。
入室してきたベンジャミンはそっと自分のジャケットの襟を直すと、俺の後ろに控える。
一瞬の静寂のあと、リトルトン侯爵夫人の甲高い声が響いた。
「無効……無効ですわ! ギデオンとこの小娘の結婚も貴族と平民の結婚ですもの、無効ですわよ!」
おばさん、必死である。
確かにね、オールポート伯爵家へ婿入りできると思ったら肩透かしを食らい、しかも平民のあまりオツムの出来がよくない子供を押し付けられるなんて、悪夢だよね?
これも、君たちの子供の教育が行き届いてなかったせいです。
「そうだ。僕はモニカが伯爵令嬢だと思ったから婚姻したんだ。この伯爵家を継げると思ったから……。まさか、伯爵の血を継いでないどころか……正統な跡継ぎがシャーロットだなんて……」
後半、小声で呟きチラチラとシャーロットちゃんを見るボンクラ息子、お前目ん玉抉るぞ? シャーロットちゃんを見るなっ。
もしかして、復縁したいなぁとか、ボケたこと考えてるじゃねぇだろうな?
「……婚姻は有効だぞ?」
俺がボソッと言葉を発したあとは、ディーンが続いて説明してくれる。
「ギデオン様とモニカ嬢の婚姻は有効です。モニカ嬢は平民ですが、ギデオン様も正しくは貴族ではないと判断されました」
「どうして!」
ボンクラ息子の血の叫びである。
「ギデオン様と我が伯爵家の跡継ぎシャーロット様との婚約が解消されましたので。これでギデオン様が入る貴族家はなくなりました。あ、まさか他に婿入りの話でもありますか?」
ディーンのわざとらしい質問に、リトルトン侯爵夫妻は力なく首を横に振る。
「それでは、リトルトン侯爵家が持つ他の爵位の譲渡は? その手続きは?」
こちらの質問にも、リトルトン侯爵夫妻は黙って首を振って答えた。
ディーンは侯爵夫妻に頷いてみせてから、ボンクラ息子へと尋ねる。
「では、文官の試験や騎士団の入団試験などは受けられましたか?」
「なんで、僕がそんなことをしないといけないんだ」
憤慨するな、ボンクラ息子が。
「でしたら、ギデオン様はもう成人しています。なのに働く場所も入る家もないとなれば……ゆくゆくは平民では?」
ここでやっとリトルトン侯爵夫妻は、ハッと何かに気づく。
そう、シャーロットちゃんと結婚してオールポート伯爵家に入るつもりだったから、ボンクラ息子はボンクラのまま、何一つ自分で身を立てるものがないという現実に。
「ああ、すみません。もう一つ可能性がありましたね。もしかしてギデオン様がリトルトン侯爵家を継ぐとか?」
ディーンはパチンと両手を叩き、軽やかな調子で問いかける。
「……いや、リトルトン侯爵家は予定どおり嫡男に継がせる」
ぐぬぬぬっという苦悶の表情でリトルトン侯爵は告げた。
まあ、嫡男として真面目に教育を受けてきた長男に、やらかした次男のためにその席を譲れとは、言えんわな。
「そもそも、リベリオ大司教がお認めになられた婚姻です。無効ならその場で返されますよ」
ベンジャミンがしれっと結論を口にしたが、ディーンはわかっていて遠回しに尋ねたのだ。
それは、我らが主人のシャーロットちゃんを蔑ろにしていたお前はどんなに偉いのか? という気持ちで。
その答えは、お前はこのままだとただの平民だ。しかも仕事もなく一人で生活もできない平民以下の人間だという。
がっくりと肩を落としてしょんぼりとソファーに座る息子の姿にリトルトン侯爵夫人は最後の手段に出た。
「では、離婚します。この小娘との婚姻が無効にできないのなら、今すぐ離婚しますわーっ」
はい、アウトーっ!
「三年後です」
置物のようになっていた大司教の爺さんが穏やかな声でハッキリと告げた。
「は?」
リトルトン侯爵家はパッカンと口を開け、「ママー」とえぐえぐ泣いていたニセ乳もきょとん顔。
「婚姻はされましたが、三年後にならないと離婚できません、モニカ嬢が成人してからですね」
「三年……」
もちろん俺たちは知っていましたよ。知っていたというか、だから婚約ではなくて婚姻をさせたのだから。
ふわーははははっ! 三年間つーのは、だいたいお前らがシャーロットちゃんを虐めた期間だ。
反省しやがれ。
そしてここで追い打ちをかけよう。頼んだぜディーン。
「あ、気を付けてくださいね。三年後には離婚できますが、片方だけの申し出では受付られませんよ。必ず双方のサインが必要ですから」
「そ、それは……」
リトルトン侯爵夫人は涙目でリトルトン侯爵は虚無顔だ。
この場合のサインは、二人揃って教会で離婚届にサインすることです。
通常の婚姻なら、今の時点で離婚届にサインしてもらってもいいのにね。未成年の子と婚姻したいって強請るからだよ。仕向けたのは俺だけども。
「ああ、お前。母親も父親も牢屋からは出れないな。孤児院に入るか?」
「へ?」
「ここでは面倒は見んぞ」
当たり前でしょ? 君は俺の子供じゃないし、シャーロットちゃんを虐めて喜んでいたのはコーディたちと同罪ですから。
「モニカ嬢が孤児院に入っても年齢のためすぐに出されます。住み込みで働くところを斡旋しましょうか?」
ディーンの笑顔が胡散臭くて、まるで人身売買の悪人を見ている気分だ。
シャーロットちゃんは、自分を虐めていたのにニセ乳の将来を案じてモジモジと落ち着かない様子。なんて、いい子!
「ただし、仕事の斡旋は一度だけ。そこを辞めたらあとは知りません。どこに行こうと何をしようと。……ああ、でもそうすると三年後の離婚のときには消息不明になっているかもしれませんね」
「そ、それは……そうなると、ギデオンは……」
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結果、苦々しい顔をしたリトルトン侯爵夫人に連れられてニセ乳は愛しい旦那様と共に去っていった。
やったね!
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