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なんで、3人目?
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ルンルルーン♪
今日も、朝からストーカーのイリヤさんの行動を先読みし華麗に避けて、やってきましたアルカサル侯爵家の……裏庭の丘!
いや、俺……今日は仕事じゃないし。
俺の社畜で鍛えられたつーか、子供のときのお稽古事の算盤スキルが火を吹いたつーか、仕事ノルマに余裕が出たので、子供侯爵様の健全生活のためにも今日はお仕事をお休みにして、裏庭の丘でピクニックもどきですよ!
料理長に昨日頼んでおいたお弁当とデザートと水筒をバスケットに詰めてもらって、可愛いメイド(♂)さんに敷物とか準備してもらって、庭師の爺さんに頼んでおいたのである程度は歩きやすい道に整備されつつ、野草・野の花が目を楽しませてくれる……はず!
「アオイ!」
幾分ラフな格好で、元気に両手をブンブン振るアルカサル侯爵様、御年十歳。
小学生だよ……俺の前世の感覚では。
隣の陰険冷血イケメンさんは、ピシッといつもの恰好ですね。
おい、今日はピクニックに行くって言ったろうが!
「すみません、遅くなりました」
「僕たちが早く来たんだ。楽しみでじっと待ってられなくて」
てへへへと笑う侯爵様。
今日は子供に戻って楽しんでくれ!
でも、街の外は魔獣とか破落戸とか危ないので、敷地内も敷地内。お屋敷の裏庭ですまん!
「こちら、持ちます」
ひょいと手に持っていた荷物を持ってくれるルイさん。
何気に重たい荷物を持ってくれた……、きぃーっ! イケメンで気が利くなんて憎らしいっ!
俺に残されたお弁当の入ったバスケットを両手で持つ。
「じゃあ、ゆっくり行きましょう」
「ああ、楽しみだな!」
ルンルンと浮かれ気味の侯爵様に、ふふふ、とこちらも微笑ましい気持ちになる。
「ん? なにか?」
なんだよっ! ずっとこっちばっかり見やがって?
あれか? 余計なことを進言して、仕事が休みになったことを怒ってんのか?
それとも、ピクニックに付き合うなんて、自分の仕事にしてはイージーなイベントに、呆れているのか?
「いいえ。楽しみですね、ピクニック」
「あ……あー、そうですね」
今、こいつ、笑ったか?
口元が微かにクイッと歪んだ気がしたんだが……。
「アオイーっ! ルイーっ!早くっ」
侯爵様が大きく手を振って、俺たちを手招いている。
「行きましょう」
「はい……」
さっき見たことはなかったことにして、俺は丘を登り始める。
た……楽しかった。
久々に童心に還ったぜ……。
丘の上に辿り着いたときには、息が上がって苦しかったけど、水筒の水を飲んでひと休みしたら、そよそよと吹く風とか、ひらひら飛ぶ蝶々とかに心が癒されました、俺がな!
いや、待て。それでいいのか? 俺よ。
最初の目的はどうした?
いや、しかし。
子供侯爵様も、あはははと笑いながら蝶々を追いかけたり、カブトムシやクワガタみたいな虫を夢中で探したりして、楽しんでいらっしゃいました。
料理長が用意してくれたお弁当は量はもちろん、男三人の腹を充分に満たすメニューで美味かった……。
デザートは俺のリクエストでアップルパイで、紅茶と一緒に美味しく戴きました。
子供侯爵様はお腹一杯になられたあと、お昼寝をされました。
よきよき。
よく遊び、よく食べ、よく寝て、大きく育ってください!
そんな子供侯爵様を、優しく慈愛たっぷりに見守るルイさん。
あんた……意外といい奴だったんだな……。
ホロリ。
そんないい感じで終わったピクニック。
子供侯爵様に「また、付き合ってくれ!」と笑顔満面で頼まれて、「もちろんです」と答えました。
俺も、癒されたしな!
そして、問題は帰り際に起きるんだ……。
「今日は、ありがとうございました。あんなに楽しそうな坊ちゃまは、前侯爵様ご夫婦がご存命以来でした」
と、アンニュイなルイさん。
「いえいえ、俺も楽しかったですし、お礼を言うのはこっちです。ありがとうございました」
「いいえ。本当は私がああいう時間を作らなければならないんですが……、私は仕事しか取り柄のない人間で……」
ちょっと伏目がちになるルイさん、睫毛が長いですね、けっ! イケメンがっ!
「でも、侯爵様はルイさんのことを、とっても頼りにされていると思いますよ? 今日だってルイさんが一緒だったから、あんなにリラックスしてたと思いますし……」
「そうでしょうか……」
いつになく自信がなさげなルイさん……どうした? 陰険冷血眼鏡?
「そうですよ! ルイさんだって侯爵様のこと、とっても大事に思っているのが伝わってきましたよ」
まかせろっ! ブラック企業の社畜には「社交辞令」「美辞麗句」スキルが必須なのだ!
どうしようもない取引先ばっかりだからな! ブラック企業の取引先なんて!
ルイさんは俺の言葉に、パァーッと明るい顔付きになり、俺の両手を両手でグワシッと掴みぎゅっと握る。
ん? なんだ?
「アオイさんがいてくれたからです。これからも……よろしくお願いします」
「え? ええ……」
急にキャラ変すんなよ……と、俺の腰が引けた、そのとき……。
ピロリン♪
【人生の選択】
アルカサル侯爵補佐
・抱く
・抱かれる
な、なんでだーっ!!
今日のイベントでフラグなんか立つ要素があったかーっ?
あったとしたら侯爵様本人だろーがーっ!
いや、ショタフェチではないので、フラグは立たんでいいが……。
俺はとにかく、ルイさんの両手をやんわり外して、愛想笑いを顔に張り付けたまま、走って宿へと帰るのだった。
今日も、朝からストーカーのイリヤさんの行動を先読みし華麗に避けて、やってきましたアルカサル侯爵家の……裏庭の丘!
いや、俺……今日は仕事じゃないし。
俺の社畜で鍛えられたつーか、子供のときのお稽古事の算盤スキルが火を吹いたつーか、仕事ノルマに余裕が出たので、子供侯爵様の健全生活のためにも今日はお仕事をお休みにして、裏庭の丘でピクニックもどきですよ!
料理長に昨日頼んでおいたお弁当とデザートと水筒をバスケットに詰めてもらって、可愛いメイド(♂)さんに敷物とか準備してもらって、庭師の爺さんに頼んでおいたのである程度は歩きやすい道に整備されつつ、野草・野の花が目を楽しませてくれる……はず!
「アオイ!」
幾分ラフな格好で、元気に両手をブンブン振るアルカサル侯爵様、御年十歳。
小学生だよ……俺の前世の感覚では。
隣の陰険冷血イケメンさんは、ピシッといつもの恰好ですね。
おい、今日はピクニックに行くって言ったろうが!
「すみません、遅くなりました」
「僕たちが早く来たんだ。楽しみでじっと待ってられなくて」
てへへへと笑う侯爵様。
今日は子供に戻って楽しんでくれ!
でも、街の外は魔獣とか破落戸とか危ないので、敷地内も敷地内。お屋敷の裏庭ですまん!
「こちら、持ちます」
ひょいと手に持っていた荷物を持ってくれるルイさん。
何気に重たい荷物を持ってくれた……、きぃーっ! イケメンで気が利くなんて憎らしいっ!
俺に残されたお弁当の入ったバスケットを両手で持つ。
「じゃあ、ゆっくり行きましょう」
「ああ、楽しみだな!」
ルンルンと浮かれ気味の侯爵様に、ふふふ、とこちらも微笑ましい気持ちになる。
「ん? なにか?」
なんだよっ! ずっとこっちばっかり見やがって?
あれか? 余計なことを進言して、仕事が休みになったことを怒ってんのか?
それとも、ピクニックに付き合うなんて、自分の仕事にしてはイージーなイベントに、呆れているのか?
「いいえ。楽しみですね、ピクニック」
「あ……あー、そうですね」
今、こいつ、笑ったか?
口元が微かにクイッと歪んだ気がしたんだが……。
「アオイーっ! ルイーっ!早くっ」
侯爵様が大きく手を振って、俺たちを手招いている。
「行きましょう」
「はい……」
さっき見たことはなかったことにして、俺は丘を登り始める。
た……楽しかった。
久々に童心に還ったぜ……。
丘の上に辿り着いたときには、息が上がって苦しかったけど、水筒の水を飲んでひと休みしたら、そよそよと吹く風とか、ひらひら飛ぶ蝶々とかに心が癒されました、俺がな!
いや、待て。それでいいのか? 俺よ。
最初の目的はどうした?
いや、しかし。
子供侯爵様も、あはははと笑いながら蝶々を追いかけたり、カブトムシやクワガタみたいな虫を夢中で探したりして、楽しんでいらっしゃいました。
料理長が用意してくれたお弁当は量はもちろん、男三人の腹を充分に満たすメニューで美味かった……。
デザートは俺のリクエストでアップルパイで、紅茶と一緒に美味しく戴きました。
子供侯爵様はお腹一杯になられたあと、お昼寝をされました。
よきよき。
よく遊び、よく食べ、よく寝て、大きく育ってください!
そんな子供侯爵様を、優しく慈愛たっぷりに見守るルイさん。
あんた……意外といい奴だったんだな……。
ホロリ。
そんないい感じで終わったピクニック。
子供侯爵様に「また、付き合ってくれ!」と笑顔満面で頼まれて、「もちろんです」と答えました。
俺も、癒されたしな!
そして、問題は帰り際に起きるんだ……。
「今日は、ありがとうございました。あんなに楽しそうな坊ちゃまは、前侯爵様ご夫婦がご存命以来でした」
と、アンニュイなルイさん。
「いえいえ、俺も楽しかったですし、お礼を言うのはこっちです。ありがとうございました」
「いいえ。本当は私がああいう時間を作らなければならないんですが……、私は仕事しか取り柄のない人間で……」
ちょっと伏目がちになるルイさん、睫毛が長いですね、けっ! イケメンがっ!
「でも、侯爵様はルイさんのことを、とっても頼りにされていると思いますよ? 今日だってルイさんが一緒だったから、あんなにリラックスしてたと思いますし……」
「そうでしょうか……」
いつになく自信がなさげなルイさん……どうした? 陰険冷血眼鏡?
「そうですよ! ルイさんだって侯爵様のこと、とっても大事に思っているのが伝わってきましたよ」
まかせろっ! ブラック企業の社畜には「社交辞令」「美辞麗句」スキルが必須なのだ!
どうしようもない取引先ばっかりだからな! ブラック企業の取引先なんて!
ルイさんは俺の言葉に、パァーッと明るい顔付きになり、俺の両手を両手でグワシッと掴みぎゅっと握る。
ん? なんだ?
「アオイさんがいてくれたからです。これからも……よろしくお願いします」
「え? ええ……」
急にキャラ変すんなよ……と、俺の腰が引けた、そのとき……。
ピロリン♪
【人生の選択】
アルカサル侯爵補佐
・抱く
・抱かれる
な、なんでだーっ!!
今日のイベントでフラグなんか立つ要素があったかーっ?
あったとしたら侯爵様本人だろーがーっ!
いや、ショタフェチではないので、フラグは立たんでいいが……。
俺はとにかく、ルイさんの両手をやんわり外して、愛想笑いを顔に張り付けたまま、走って宿へと帰るのだった。
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