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16 犯罪者ですわ
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美しいと噂のラクロアの妹は、兄が部屋にはいってくるやいなや、つかつかと兄に詰めよった。
「お兄様、どうなさるつもりなの!?」
「なにがだ?こんな朝早くに訪ねてくるなんて非常識だぞ、エクリーヌ」
「非常識なのはお兄様でしょ!?王宮じゃ、お兄様の噂で持ちきりよ、私が真相を確かめにきたのよ」
「噂?」
全くもって心当たりがないという風な兄の顔に、若干イラつきつつ、エクリーヌは調査書類をバンッと机の上に置いた。
「なんだそれは」
「お兄様の噂ですわ、良くて?読みますわよ……いち、前ヤヌーク男爵家にて人身売買被害者を牢屋にいれる。二、その被害者を心身喪失させ屋敷に独断で連れ帰る。三、被害者は13歳の少年。四、被害者をネコと呼び自室に監禁。五、逃げ出した被害者を国の近衛騎士全てで探し捕らえる、その際流通もとめる(有り得ない暴挙)。六、被害者を自ら拘束し連れ帰る………はぁ、何をしてますの?犯罪者すれすれですわ」
「何をって、ニャリ、いや、ユリスが迷子になったら探すだろ?家に帰れなかったら可哀想だし困るじゃないか、抱っこで連れ帰って何が悪い」
はぁ?っという顔で妹のエクリーヌは、兄を見た。冷酷無比、冷徹非道と名高い?いや、怖れられた騎士で、大体の犯罪者に金庫300年か国外追放か死刑を無慈悲に与えてきた兄の言動とは思えない。この調査書を読む限り、ユリスは不当な扱いを受けていそうだが。
「お兄様……迷子?その子は逃げたのですよね?そもそもユリスってなんですの?監禁などして養子にでもするつもりですの?まさかと思いますけれど」
「ユリスは俺のねこ、あーーいや、ペットみたいなものだ」
「ぺ、ペットみたいなもの?お兄様、何をおっしゃってるの?人間は人間なのですわよ?ネコというのは、やはりそういう関係なのですの?だとしたら、きちんと伴侶か妾として扱ってあげるべきではなくて?相手は身分低いとはいえ人間なのですわよ」
「伴侶?……ユリスはまだ13だ」
猫を伴侶とするなんて発想はなかったが、確かにニャリスは今は人間なのだし可能ではある。
「まだ13の子供に手を出してるのはお兄様ですのよ、私、情けなくて涙がでてきましたわ、煮え切らないですわね、他へやれないなら身分はきちんとすべきですわ、軽薄な噂が更にたちますわ、うっうっ」
「そうだな、噂のせいでユリスが嫌な想いをしたら可哀想だしな」
妹の涙には一切合切配慮はない。エクリーヌは、怨めしそうにラクロアを睨んだ。
「………」
「しかし、養子はまずいな、俺は」
「そうですわ、お兄様に養子なんかできたら、私が王宮内で困りますわ争いはごめんですわ」
「うむ」
ラクロアは、腕を組んで考えていたが、言われてみれば確かにニャリスは人間なのだし、何の関係も無いものと毎晩一緒に寝ているのはまずい気がしてきた。だからといって、ニャリスを養子にはできない、年齢的には養子がしっくりくるが、自分が養子を持つとエクリーヌの政敵に成りかねない。かといって伴侶としてニャリスをそばにおくのは……いや、むしろ。
「解った伴侶にする」
「お兄様、正気ですの?その子はあきらめて、何処かの貴族の家に養子に出すとか孤児院へ預けるでは駄目ですの?」
「いや、ユリスはそばにいてもらわないと困る」
「お兄様っ、そんなに……なんてこと、そこまで愛しているなら、話しは変わりますわ、わかりましたわ、では内々にお兄様がユリスさんと婚約の儀を上げれるように手配いたしますわ、身分さえきちんとしてくだされば私も文句は言いませんわ、ええ、男同士なら政敵も何も言えませんし寂しいお兄様の慰めにもなってよいですわ」
「うむ」
「で」
「なんだ?」
「お兄様の伴侶となるユリス様に私もご挨拶したいわ」
「あーーまだ寝てるかもな」
「お兄様……躾がなってませんわ」
エクリーヌは、虚ろな瞳で兄をみつめた。
「お兄様、どうなさるつもりなの!?」
「なにがだ?こんな朝早くに訪ねてくるなんて非常識だぞ、エクリーヌ」
「非常識なのはお兄様でしょ!?王宮じゃ、お兄様の噂で持ちきりよ、私が真相を確かめにきたのよ」
「噂?」
全くもって心当たりがないという風な兄の顔に、若干イラつきつつ、エクリーヌは調査書類をバンッと机の上に置いた。
「なんだそれは」
「お兄様の噂ですわ、良くて?読みますわよ……いち、前ヤヌーク男爵家にて人身売買被害者を牢屋にいれる。二、その被害者を心身喪失させ屋敷に独断で連れ帰る。三、被害者は13歳の少年。四、被害者をネコと呼び自室に監禁。五、逃げ出した被害者を国の近衛騎士全てで探し捕らえる、その際流通もとめる(有り得ない暴挙)。六、被害者を自ら拘束し連れ帰る………はぁ、何をしてますの?犯罪者すれすれですわ」
「何をって、ニャリ、いや、ユリスが迷子になったら探すだろ?家に帰れなかったら可哀想だし困るじゃないか、抱っこで連れ帰って何が悪い」
はぁ?っという顔で妹のエクリーヌは、兄を見た。冷酷無比、冷徹非道と名高い?いや、怖れられた騎士で、大体の犯罪者に金庫300年か国外追放か死刑を無慈悲に与えてきた兄の言動とは思えない。この調査書を読む限り、ユリスは不当な扱いを受けていそうだが。
「お兄様……迷子?その子は逃げたのですよね?そもそもユリスってなんですの?監禁などして養子にでもするつもりですの?まさかと思いますけれど」
「ユリスは俺のねこ、あーーいや、ペットみたいなものだ」
「ぺ、ペットみたいなもの?お兄様、何をおっしゃってるの?人間は人間なのですわよ?ネコというのは、やはりそういう関係なのですの?だとしたら、きちんと伴侶か妾として扱ってあげるべきではなくて?相手は身分低いとはいえ人間なのですわよ」
「伴侶?……ユリスはまだ13だ」
猫を伴侶とするなんて発想はなかったが、確かにニャリスは今は人間なのだし可能ではある。
「まだ13の子供に手を出してるのはお兄様ですのよ、私、情けなくて涙がでてきましたわ、煮え切らないですわね、他へやれないなら身分はきちんとすべきですわ、軽薄な噂が更にたちますわ、うっうっ」
「そうだな、噂のせいでユリスが嫌な想いをしたら可哀想だしな」
妹の涙には一切合切配慮はない。エクリーヌは、怨めしそうにラクロアを睨んだ。
「………」
「しかし、養子はまずいな、俺は」
「そうですわ、お兄様に養子なんかできたら、私が王宮内で困りますわ争いはごめんですわ」
「うむ」
ラクロアは、腕を組んで考えていたが、言われてみれば確かにニャリスは人間なのだし、何の関係も無いものと毎晩一緒に寝ているのはまずい気がしてきた。だからといって、ニャリスを養子にはできない、年齢的には養子がしっくりくるが、自分が養子を持つとエクリーヌの政敵に成りかねない。かといって伴侶としてニャリスをそばにおくのは……いや、むしろ。
「解った伴侶にする」
「お兄様、正気ですの?その子はあきらめて、何処かの貴族の家に養子に出すとか孤児院へ預けるでは駄目ですの?」
「いや、ユリスはそばにいてもらわないと困る」
「お兄様っ、そんなに……なんてこと、そこまで愛しているなら、話しは変わりますわ、わかりましたわ、では内々にお兄様がユリスさんと婚約の儀を上げれるように手配いたしますわ、身分さえきちんとしてくだされば私も文句は言いませんわ、ええ、男同士なら政敵も何も言えませんし寂しいお兄様の慰めにもなってよいですわ」
「うむ」
「で」
「なんだ?」
「お兄様の伴侶となるユリス様に私もご挨拶したいわ」
「あーーまだ寝てるかもな」
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エクリーヌは、虚ろな瞳で兄をみつめた。
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