17 / 50
17 伴侶
妹を相変わらず、きゃんきゃん吠える犬みたいなヤツだなと思いつつ、ラクロアは、そばに控えている執事のジルベルトにユリスを呼んでくるように命じた。
「かしこまりました」
ジルベルトが応接室から出ていき、しばらくするときちんとおめかしをしたニャリスが部屋に入ってきた。
「おはようございます、ラクロア様」
ぺこりと挨拶をする可愛らしい様子をデレっとみていると、コホンっと妹が咳をした。
「あぁ、おはようユリス、こちらへおいで」
「はい」
とてててと歩き、ラクロアが座る膝の上にちょこんと座った。
「エクリーヌ、これがユリスだ、ユリス、こちらは」
「まてまてまてーい、お兄様!!膝にのってますのよ!?全くもって駄目ですわ、どういう教育をなさっているの」
「あぁ、すまん、いつもの癖で」
「いつもの癖で!?」
冷酷無比、冷徹非道は何処へ行った。心ない兄を諌め、愛を説くのはいつも自分の役割だったはず、なのに、なんだこの愛に溢れデロデロになった兄は。
「ユリス、隣に座りなさい」
「ええ?えーーだって知らない人がいるし、ラクロア様から離れたくない」
上目遣いで、やだやだされると、確かに見慣れない妹がいるし、ニャリスにとっては怖いかもなと思う。
「そうだな」
「そうだな、じゃ、なくってよ!!きちんと座りなさいユリスとやら!!」
「ぴゃっ」
びくっとニャリスはラクロアにしがみついた。なんなのこの人怖い。ぷるぷるするニャリスをしっかりと抱き締めながら、ラクロアは、渋い顔を妹に向けた。
「おい、エクリーヌ、ユリスが怖がってるだろ、お前が座れ、もっと、離れて座れ、もっと、奥に」
「はぁ?お兄様……悪魔に魂でも抜かれたのではなくて!?その子はなんですの、どういうことですの」
席を六つも離して座ったエクリーヌは、バンバンと机を叩いた。その度に、びくびくしてるユリスを睨む。
「悪魔のようなのはお前だ、なんなんだ、机を叩くな、ユリスが怖がってる」
「お兄様、おかしいですわ、いくら可愛いからって、礼儀がまるでなってないなんて、聞いてないですわ、こんなんじゃ、伴侶として迎えるなんて程遠いですわ、いくら愛しあっていても、無理というものですわ、あきらめて孤児院へ入れるべきですわ」
「エッ!?孤児院?ラクロア様、僕、孤児院に行くの?もう飼ってくれないの?」
「バカなことを、お前をそんなところへやりはしない、エクリーヌ謝りなさい」
「謝らないわよ!!お兄様は、この国の王叔父ですのよ、軍を統括する近衛騎士団総帥ですのよ、その伴侶がこんな礼儀しらずな子供では名誉が地に落ちますわ、私、お兄様がこれ以上貴族達にとやかく言われるのいやですわ、私ばっかり王宮でやきもきするのよ、お兄様は王宮から出たから良いかもしれないけど、私はずっとあそこに暮らしてるのよ、聞きたくない噂もはいってきますわ、お兄様は国のために身を引いたのにどうして悪く言われなきゃいけないの、くだらない者の勢いをつける火種をつくらないで」
ぜいぜいと息を乱しつつ、エクリーヌは悲しげな瞳で兄を睨んでいる。確かに、前王の息子であったラクロアは、王位には付かず、妹の息子のエクシルに王位を繋いだ。
妹の伴侶は他国の第三皇子で、国内、王宮内では他国の血が混じることに反発も大きく、ラクロアに王位を継がせるべきだと反乱がおきそうになった時もあった。軍を掌握して政敵を捕らえ、落ち着かせたのはラクロア自身だ。その際についたのは、冷酷無比、冷酷無情の通り名。自らを王にと押す味方であるはずの貴族を捕らえ、王家の決断に異を唱えるものは禁固300年の刑罰をあたえた。ラクロアには王にはなれない理由がある。それゆえ、妹の息子のエクシルに王位を与え、周りをがっちりと妹の支持者で固めたのだ。
それが今さら、養子を迎えたとなれば要らぬ憶測を呼ぶ。ニャリスは、子を成せないラクロアにとっては誰も刺激しないこれ以上ない伴侶候補だということだ。
「かしこまりました」
ジルベルトが応接室から出ていき、しばらくするときちんとおめかしをしたニャリスが部屋に入ってきた。
「おはようございます、ラクロア様」
ぺこりと挨拶をする可愛らしい様子をデレっとみていると、コホンっと妹が咳をした。
「あぁ、おはようユリス、こちらへおいで」
「はい」
とてててと歩き、ラクロアが座る膝の上にちょこんと座った。
「エクリーヌ、これがユリスだ、ユリス、こちらは」
「まてまてまてーい、お兄様!!膝にのってますのよ!?全くもって駄目ですわ、どういう教育をなさっているの」
「あぁ、すまん、いつもの癖で」
「いつもの癖で!?」
冷酷無比、冷徹非道は何処へ行った。心ない兄を諌め、愛を説くのはいつも自分の役割だったはず、なのに、なんだこの愛に溢れデロデロになった兄は。
「ユリス、隣に座りなさい」
「ええ?えーーだって知らない人がいるし、ラクロア様から離れたくない」
上目遣いで、やだやだされると、確かに見慣れない妹がいるし、ニャリスにとっては怖いかもなと思う。
「そうだな」
「そうだな、じゃ、なくってよ!!きちんと座りなさいユリスとやら!!」
「ぴゃっ」
びくっとニャリスはラクロアにしがみついた。なんなのこの人怖い。ぷるぷるするニャリスをしっかりと抱き締めながら、ラクロアは、渋い顔を妹に向けた。
「おい、エクリーヌ、ユリスが怖がってるだろ、お前が座れ、もっと、離れて座れ、もっと、奥に」
「はぁ?お兄様……悪魔に魂でも抜かれたのではなくて!?その子はなんですの、どういうことですの」
席を六つも離して座ったエクリーヌは、バンバンと机を叩いた。その度に、びくびくしてるユリスを睨む。
「悪魔のようなのはお前だ、なんなんだ、机を叩くな、ユリスが怖がってる」
「お兄様、おかしいですわ、いくら可愛いからって、礼儀がまるでなってないなんて、聞いてないですわ、こんなんじゃ、伴侶として迎えるなんて程遠いですわ、いくら愛しあっていても、無理というものですわ、あきらめて孤児院へ入れるべきですわ」
「エッ!?孤児院?ラクロア様、僕、孤児院に行くの?もう飼ってくれないの?」
「バカなことを、お前をそんなところへやりはしない、エクリーヌ謝りなさい」
「謝らないわよ!!お兄様は、この国の王叔父ですのよ、軍を統括する近衛騎士団総帥ですのよ、その伴侶がこんな礼儀しらずな子供では名誉が地に落ちますわ、私、お兄様がこれ以上貴族達にとやかく言われるのいやですわ、私ばっかり王宮でやきもきするのよ、お兄様は王宮から出たから良いかもしれないけど、私はずっとあそこに暮らしてるのよ、聞きたくない噂もはいってきますわ、お兄様は国のために身を引いたのにどうして悪く言われなきゃいけないの、くだらない者の勢いをつける火種をつくらないで」
ぜいぜいと息を乱しつつ、エクリーヌは悲しげな瞳で兄を睨んでいる。確かに、前王の息子であったラクロアは、王位には付かず、妹の息子のエクシルに王位を繋いだ。
妹の伴侶は他国の第三皇子で、国内、王宮内では他国の血が混じることに反発も大きく、ラクロアに王位を継がせるべきだと反乱がおきそうになった時もあった。軍を掌握して政敵を捕らえ、落ち着かせたのはラクロア自身だ。その際についたのは、冷酷無比、冷酷無情の通り名。自らを王にと押す味方であるはずの貴族を捕らえ、王家の決断に異を唱えるものは禁固300年の刑罰をあたえた。ラクロアには王にはなれない理由がある。それゆえ、妹の息子のエクシルに王位を与え、周りをがっちりと妹の支持者で固めたのだ。
それが今さら、養子を迎えたとなれば要らぬ憶測を呼ぶ。ニャリスは、子を成せないラクロアにとっては誰も刺激しないこれ以上ない伴侶候補だということだ。
あなたにおすすめの小説
【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした
エウラ
BL
どうしてこうなったのか。
僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。
なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい?
孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。
僕、頑張って大きくなって恩返しするからね!
天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。
突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。
不定期投稿です。
本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
魔王さまのヒミツ♡
黒木 鳴
BL
歴代最年少で魔王の地位に就いたレイには隠し通さなければならない秘密がある。それは……「魔王もうやだぁぁぁ~~!!下剋上こわいよぉぉぉーーー!!!」その実態が泣き虫ポンコツ魔王だということ。バレれば即・下剋上を挑まれることは必至!なので先々代の魔王を父に持ち、悪魔公爵ジェラルドが膝を折ったという2枚看板を武器にクールな魔王を演じている。だけどその実力を疑う者たちも出てきて……?!果たしてレイの運命は……?!溺愛腹黒系悪魔×初心な小悪魔系吸血鬼。お茶目なパパんも大活躍!!
異世界オークションで売られた俺、落札したのは昔助けた狼でした
うんとこどっこいしょ
BL
異世界の闇オークションで商品として目覚めた青年・アキラ。
獣人族たちに値踏みされ、競りにかけられる恐怖の中、彼を千枚の金貨で落札したのは、銀灰色の髪を持つ狼の獣人・ロウだった。
怯えるアキラに、ロウは思いがけない言葉を告げる。
「やっと会えた。お前は俺の命の恩人だ」
戸惑うアキラの脳裏に蘇るのは、かつて雨の日に助けた一匹の子狼との記憶。
獣人世界を舞台に、命の恩人であるアキラと、一途に想い続けた狼獣人が紡ぐ、執着と溺愛の異世界BLロマンス。
第一章 完結
第二章 完結
第三章 完結
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。