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第二章
55 彦根城
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静岡駅から、京都までは、まず静岡駅から浜松まで17駅通過したのち、豊橋駅行きに乗り換え8駅、大垣駅行き14駅、米原まで6駅、米原から19駅でやっと京都だ。
「葉月ちゃん、6時33分に乗れれば静岡から豊橋まで25駅一気に行けるけどどうする?」
「25駅えぐいな……まぁ、それに乗るか」
「そうだね、じゃ、ちょっと早足でもいい?」
「おぅ、なんなら走っても良いよ、元気だし」
葉月がそう言うなり、ばっと走り出したので、鉄堅もついて走る。
「葉月ちゃん、坂だから気をつけて」
「お前、俺を運動音痴みたいに言うなよ、短距離走者だったけど、山登りダッシュくらいやってんだからな」
太ももの筋肉をつけるために、坂道ダッシュは運動をする者の嗜みのようなものだ。
「でもそれって……あ、あぶない」
言ってるそばから、葉月が転びそうになったので、鉄堅が急いで後ろから葉月のリュックを引っ張って助けた。
「うおぉ、さんきゅ」
「葉月ちゃん、坂道ダッシュは登りだから」
「……下りの荷物背負ってダッシュあぶねぇな、うん、早足にしよう」
「そうだね」
ホッとしつつ、鉄堅は時計をみた。少し走ったお陰でだいぶ余裕をもって駅につきそうだ。コンビニでまた何か買って乗り込むのが良いかしら。
「葉月ちゃんお腹すいてる?」
「いや、さっきパン食べたしな」
「軽めに何か買って、京都に昼過ぎに着く予定だから、お昼を奮発しようか」
「それ、名案。そーしよ、お菓子とかまだあるし、またパンで良いや」
昨日からパンばかり食べてるけど、男2人、バランスの良い食事にあまり興味がない。野菜や彩りよりも、どちらかといえば、肉である。
「京都って何がうまいのかなぁ、八つ橋しか知らない」
「湯葉?」
「湯葉……まぁ、湯葉はうまいけど、なんだろう、俺の腹は今は湯葉を求めてないなぁ」
葉月が、うーんと、首を傾げた。それはヤバい。
電車に乗るなり、鉄堅はスマホを取り出し、リサーチを開始する。
あぶない、あぶない、湯葉専門店を巡る計画を立てていた。予定変更である。
「にしん蕎麦とか、京都ラーメンとか……あとはやっぱり和食が有名みたい」
「うーん、ラーメンかなぁ」
「だねぇ」
「ラーメンがいい、めちゃラーメンの気持ちになってきた」
葉月がラーメンラーメン言いだしたので、鉄堅は微笑んだ。今晩泊まる宿屋の夕飯はおそらく和食だから、ラーメンなら被らないし。
素晴らしい選択だ。流石葉月ちゃん。
「じゃぁ、お昼はラーメンだね、ちょうど駅に有名なお店が」
「混んでそうだけどな」
「だねぇ」
「ま、観光地だしどこも混んでるか」
「だねぇ、ラーメン食べた後行きたいところある?」
「清水寺とか?」
「バスでだいたい30分くらいで行けるかな」
「おお、あ! あと、あそこ行きたい、鳥居がズラーってあるとこ」
「伏見稲荷大社かな、千本鳥居がある」
「それそれ」
「じゃぁ、清水寺行った後に行こう」
「鉄堅は? 行きたいとこないの?」
「どっちも行きたかったから」
「そっか、ならいっか、楽しみ」
ワクワクが止まらない。何だかんだ計画をたててたら、25駅があっという間、豊橋に着いた。
◆◇◆
京都までは、まだ電車に乗るわけだが、豊橋から飯田線に乗ると、鍾乳洞とか、長篠・設楽原の戦い決戦場跡、色々と面白そうなスポットがある。スマホを見つつ、東海道本線をひたすら進む。大垣、米原ときて、琵琶湖線に乗り変えた。
葉月がふと、琵琶湖線に反応する。
「琵琶湖見たいかも」
「じゃぁ、彦根で降りて、彦根城みて琵琶湖見に行こう、地図見るとすぐだよ」
「ほんとだ」
彦根駅で降りて真っ直ぐいくと、お城がすぐ見えた。
「わー立派だ」
「国宝だよ、凄い石垣だね」
「昔の人って凄いな、こんな大きな石を積んでその上に城を建てるなんてさ」
「本当だね」
写真で見るのとは違う、実際に自分の目でみた彦根城はとても美しかった。
「彦根城、20年かけて築城されたんだって」
「20年! 今ってさ、家すぐ立つじゃん、それも凄いんだけどさ……何年も何年もかけて作る情熱って凄いよな」
「本当だね」
何年も何年もずっと一つの事をやり遂げる壮大な計画。本当にできる保証なんてない、やったことが無駄になるかもしれない怖さに打ち勝って、悠然と建つ城はかっこ良かった。
葉月は、隣に立つ、鉄堅の手をぎゅっと、握った。
色んなことにゆらゆらと揺れる心、だけれど、何年も何年もずっと同じ想いで、共に立っていたい。
諦めないで、くじけないで、投げ出さないで、二人で乗り越えていきたい。
「この城みたいに……ずっと」
「うん」
全部を言葉にしなくても、二人は同じ気持ちだったので、見つめ合うだけで、お互いの望むものが同じだとわかった。
悠久の時を、二人で歩いて行きたい。何度約束をしても、結果だけが本当になるのだろう。嘘つきになりたくない。逃げたくない。簡単なことに価値も意味もない。築き上げていくんだ。一つ一つ、重い石を運びながら、石を運ぶことにくじけないで、大きな何かを成し遂げるための布石だって誇りがきっと城になる。
「葉月ちゃん、6時33分に乗れれば静岡から豊橋まで25駅一気に行けるけどどうする?」
「25駅えぐいな……まぁ、それに乗るか」
「そうだね、じゃ、ちょっと早足でもいい?」
「おぅ、なんなら走っても良いよ、元気だし」
葉月がそう言うなり、ばっと走り出したので、鉄堅もついて走る。
「葉月ちゃん、坂だから気をつけて」
「お前、俺を運動音痴みたいに言うなよ、短距離走者だったけど、山登りダッシュくらいやってんだからな」
太ももの筋肉をつけるために、坂道ダッシュは運動をする者の嗜みのようなものだ。
「でもそれって……あ、あぶない」
言ってるそばから、葉月が転びそうになったので、鉄堅が急いで後ろから葉月のリュックを引っ張って助けた。
「うおぉ、さんきゅ」
「葉月ちゃん、坂道ダッシュは登りだから」
「……下りの荷物背負ってダッシュあぶねぇな、うん、早足にしよう」
「そうだね」
ホッとしつつ、鉄堅は時計をみた。少し走ったお陰でだいぶ余裕をもって駅につきそうだ。コンビニでまた何か買って乗り込むのが良いかしら。
「葉月ちゃんお腹すいてる?」
「いや、さっきパン食べたしな」
「軽めに何か買って、京都に昼過ぎに着く予定だから、お昼を奮発しようか」
「それ、名案。そーしよ、お菓子とかまだあるし、またパンで良いや」
昨日からパンばかり食べてるけど、男2人、バランスの良い食事にあまり興味がない。野菜や彩りよりも、どちらかといえば、肉である。
「京都って何がうまいのかなぁ、八つ橋しか知らない」
「湯葉?」
「湯葉……まぁ、湯葉はうまいけど、なんだろう、俺の腹は今は湯葉を求めてないなぁ」
葉月が、うーんと、首を傾げた。それはヤバい。
電車に乗るなり、鉄堅はスマホを取り出し、リサーチを開始する。
あぶない、あぶない、湯葉専門店を巡る計画を立てていた。予定変更である。
「にしん蕎麦とか、京都ラーメンとか……あとはやっぱり和食が有名みたい」
「うーん、ラーメンかなぁ」
「だねぇ」
「ラーメンがいい、めちゃラーメンの気持ちになってきた」
葉月がラーメンラーメン言いだしたので、鉄堅は微笑んだ。今晩泊まる宿屋の夕飯はおそらく和食だから、ラーメンなら被らないし。
素晴らしい選択だ。流石葉月ちゃん。
「じゃぁ、お昼はラーメンだね、ちょうど駅に有名なお店が」
「混んでそうだけどな」
「だねぇ」
「ま、観光地だしどこも混んでるか」
「だねぇ、ラーメン食べた後行きたいところある?」
「清水寺とか?」
「バスでだいたい30分くらいで行けるかな」
「おお、あ! あと、あそこ行きたい、鳥居がズラーってあるとこ」
「伏見稲荷大社かな、千本鳥居がある」
「それそれ」
「じゃぁ、清水寺行った後に行こう」
「鉄堅は? 行きたいとこないの?」
「どっちも行きたかったから」
「そっか、ならいっか、楽しみ」
ワクワクが止まらない。何だかんだ計画をたててたら、25駅があっという間、豊橋に着いた。
◆◇◆
京都までは、まだ電車に乗るわけだが、豊橋から飯田線に乗ると、鍾乳洞とか、長篠・設楽原の戦い決戦場跡、色々と面白そうなスポットがある。スマホを見つつ、東海道本線をひたすら進む。大垣、米原ときて、琵琶湖線に乗り変えた。
葉月がふと、琵琶湖線に反応する。
「琵琶湖見たいかも」
「じゃぁ、彦根で降りて、彦根城みて琵琶湖見に行こう、地図見るとすぐだよ」
「ほんとだ」
彦根駅で降りて真っ直ぐいくと、お城がすぐ見えた。
「わー立派だ」
「国宝だよ、凄い石垣だね」
「昔の人って凄いな、こんな大きな石を積んでその上に城を建てるなんてさ」
「本当だね」
写真で見るのとは違う、実際に自分の目でみた彦根城はとても美しかった。
「彦根城、20年かけて築城されたんだって」
「20年! 今ってさ、家すぐ立つじゃん、それも凄いんだけどさ……何年も何年もかけて作る情熱って凄いよな」
「本当だね」
何年も何年もずっと一つの事をやり遂げる壮大な計画。本当にできる保証なんてない、やったことが無駄になるかもしれない怖さに打ち勝って、悠然と建つ城はかっこ良かった。
葉月は、隣に立つ、鉄堅の手をぎゅっと、握った。
色んなことにゆらゆらと揺れる心、だけれど、何年も何年もずっと同じ想いで、共に立っていたい。
諦めないで、くじけないで、投げ出さないで、二人で乗り越えていきたい。
「この城みたいに……ずっと」
「うん」
全部を言葉にしなくても、二人は同じ気持ちだったので、見つめ合うだけで、お互いの望むものが同じだとわかった。
悠久の時を、二人で歩いて行きたい。何度約束をしても、結果だけが本当になるのだろう。嘘つきになりたくない。逃げたくない。簡単なことに価値も意味もない。築き上げていくんだ。一つ一つ、重い石を運びながら、石を運ぶことにくじけないで、大きな何かを成し遂げるための布石だって誇りがきっと城になる。
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