胎児の頃から執着されていたらしい

夜鳥すぱり

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第二章

74 長野

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電車の旅にもだいぶ慣れた二人だったが、葉月は、お尻にひいたクッションを見つめた。

「このクッション、かなり良い……もういっそ、もう一つ買いたいけど残すところ後一日なんだよな、でもまた次に使えるし」

尻を守るクッションをいたく気に入った葉月は、うーんと、考え込んでいる。

「僕別に、そんなにお尻を守る必要ないから葉月ちゃんがずっと使って良いんだよ?」

「は?俺だけとかそんなの、やだ。てか、俺だけ尻を守らなきゃならないみたいな言い方するなよ、お前の尻も守ってやれよ」
「……。ごめん、つい」

もしかしたら、この先ダメージ受けたりするのかなって、無いよね。解ってる。でも、無いとしても守りたいんだ、君の尻を。

妙な使命感に燃える鉄堅は、後半頑としてクッションを使うことを辞退した。お陰で、葉月の尻は塩尻を通り越して善光寺下まで無事に守られ続けたのだった。




「よっしゃぁ!!  善光寺下到着っ!! 」

気温はまぁ、名古屋とそう変わらないけれど、なんとなく気持ち的には涼しいきがした。緑から流れ来る風が気持ちいい。

「はーー長野って感じする」
「駅前の雰囲気がいいね、バスで行くか、歩くか」
「荷物ロッカーに預けて歩こう」
「そうだね」

財布とスマホと水だけ持って、善光寺通りを目指す。相変わらずの有名観光地ゆえに、観光客が沢山いるけれど、京都よりは空いている。

「お店が多いね」
「土産物屋とか、すぐ入りたくなるよな、そして剣を買いたくなる」
「あはは、葉月ちゃん小学校の修学旅行で剣買ってたね」
「あれ、帰りにマジで邪魔だったけど、まだ家に飾ってある」

実はこっそり葉月とお揃いの剣を鉄堅も買っていて、和室に飾ってあるので、お互いの剣が未だに家に有ることを鉄堅は心の中で尊く思った。甦る記憶尊い。

きっと家でこっそり振ったりして遊んでたんだろうなぁ。少年時代の葉月ちゃんの姿を思い浮かべる。何かと戦う葉月ちゃん可愛い。

僕は単に葉月ちゃんの剣が壊れたら取り替えてあげようと思って買っただけだけれど。

「いい思い出だね」
「え?あぁ、まぁ……あ、おやき焼きたてだって、めちゃいい匂い、あーー蕎麦を食べるからあまり買い食いは良くないけど、おやきは仕方ないと思わない? 」
「仕方ないと思う。味は何が良い? 」
「迷うな……野沢菜は一つ買うとして、ネギ味噌か野菜か」
「三つ買って。半分こする? 」
「名案」

湯気が沸き立つ、籠からお店のおばさんが手渡ししてくれた。隣のベンチに座って、半分に割った物にかぶりつく。

「んまっ!! 野沢菜間違いない、まって、ネギ味噌もうま、野菜もうま」

栗鼠みたいにモグモグしてる葉月ちゃんが、可愛い過ぎてやばい。とりあえず、写メだけ撮っておこう。パシャ。

「だむぐから、いっひょにって」(だから、一緒に)
「うんうん、じゃ二人で撮ろうね」

おやき両手に持って、写メパシャリ。最高かな。ペロリとおやき食べて、また仲見世通りを歩き出す。なんて幸せが詰まった道なんだろう。



  




















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