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第二章
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無事、事なきを得て風呂から部屋へ戻るとなんと、もう布団が敷かれていた。
「うぉぉ、もう布団がしいてある、最高かよ」
葉月が、バフッと倒れ込む。くっついて敷かれた布団に少し目を泳がせて、鉄堅は、洗い物を鞄から出した。
「葉月ちゃん、Tシャツとか、洗って干しとけば明日乾くからかして」
「おお、そうだな」
葉月もごそごそと、昨日着てTシャツとパンツと靴下を取り出す。鉄堅は、昨日のパンツオレンジなんだと、一瞬思ったが、口にはしなかった。
「じゃ、洗面所で洗うから」
「一緒に洗うよ」
「じゃ、僕が洗うから葉月ちゃん干してくれない?」
「えーー鉄堅疲れない? お前、指の擦り傷とか治ったの? 染みない?」
「大丈夫だよ、さっきもお風呂も全然染みなかったし」
内心、風呂の話題を出してしまったことに、舌打ちをする。ちらりと、葉月を見ると、少しだけポッポッと頬が赤くなってて。アーーーと天を仰ぐ。
ぐっと、我慢して、鉄堅は、ゴシゴシとシャツを洗い、靴下を洗い……パンツを洗った。葉月のパンツを洗っていると、葉月がチラっと鉄堅を見たので、今こそ、パンツ派手だねと言おうかと迷ったが、やめた。
ぎゅっとしぼって、葉月に渡す。葉月は、少し恥ずかしそうに受け取って、窓際に干しにいった。
そして最後に残された自分のパンツを洗う。最後に洗えば、自分で干せるから。
ぎゅっとしぼって、目立たない所へ干した。
「お前のパンツ、地味だな」
「エッ」
「もっと派手な色はいたら良いのに」
「葉月ちゃんは……パンツ自分で買うの?」
「そりゃそうだよ、え? お前まさか」
「……」
「まぁ、おばさん何でもやってくれるもんな」
何となくショックを受けつつ、鉄堅は、葉月のパンツをもう一度みて、葉月ちゃんのパンツの趣味派手だったんだぁと思った。
部屋でテレビを見て過ごしていたが、19時になるとそろそろ、食事を食べに食事処へ行かなければならない。
鉄堅は、宿屋のパンフレットをみつつ、寝そうになっている葉月を揺すった。
「葉月ちゃん、今からご飯だから寝ないで」
「あ、うん……うん」
「葉月ちゃんしっかりして、起きて」
くにゃくにゃと揺れる葉月を抱き起こす。何このふにゃふにゃなの、滅茶苦茶可愛いのだがと、鉄堅は、今から部屋を出ねばならないことが残念でならなかった。
「葉月ちゃん、寝ちゃだめだよ」
「んーー解った」
くはぁと、あくびをしながら、葉月が布団の上にちょこんと座る。着崩れた浴衣を直して欲しいなと思いつつ鉄堅は、上に羽織る羽織を葉月にかけた。
「行ける?」
「うん」
ようやくパチっとした目で、葉月が立ち上がった。ほっとして、葉月の浴衣を直してあげると、葉月がまたポポっと頬を染めたのに、今度は鉄堅は気づかなかった。
二人で連れ立って、お食事処へ向かう。一階の奥の、宴会場に座敷がずらーっと並んでいて、部屋の番号を中居さんに言うと、案内してもらえた。
窓際の端の席につくと、おひつとお茶、味噌汁と、次々に運ばれてきて、目の前の鍋に火がつけられ、最後に、お刺身やら煮付けやら色々なおかずの入ったお重、茶碗蒸しがきた。
「わぁ、ご馳走だ! 鉄堅、写メとって」
「うん、はい撮るよ」
「いや、撮るよじゃなくて、一緒に写るんだよ、ほら」
がしっと肩を組まれ、葉月がスマホを調整して、豪華な食事と共に写る。
「ほらいい写真」
「ありがとう、一生大切にする」
「またお前は大げさーーっ、これから幾らでも撮るよ」
「うん」
葉月ちゃんは、何て自分を喜ばす天才なのだろうと、鉄堅は思った。何気ないと思ってるその一つ一つが、どれだけ嬉しいか。葉月ちゃんと普通に居られることがどれだけ僕を幸せにしてくれているか……君はきっと知らない。
「うぉぉ、もう布団がしいてある、最高かよ」
葉月が、バフッと倒れ込む。くっついて敷かれた布団に少し目を泳がせて、鉄堅は、洗い物を鞄から出した。
「葉月ちゃん、Tシャツとか、洗って干しとけば明日乾くからかして」
「おお、そうだな」
葉月もごそごそと、昨日着てTシャツとパンツと靴下を取り出す。鉄堅は、昨日のパンツオレンジなんだと、一瞬思ったが、口にはしなかった。
「じゃ、洗面所で洗うから」
「一緒に洗うよ」
「じゃ、僕が洗うから葉月ちゃん干してくれない?」
「えーー鉄堅疲れない? お前、指の擦り傷とか治ったの? 染みない?」
「大丈夫だよ、さっきもお風呂も全然染みなかったし」
内心、風呂の話題を出してしまったことに、舌打ちをする。ちらりと、葉月を見ると、少しだけポッポッと頬が赤くなってて。アーーーと天を仰ぐ。
ぐっと、我慢して、鉄堅は、ゴシゴシとシャツを洗い、靴下を洗い……パンツを洗った。葉月のパンツを洗っていると、葉月がチラっと鉄堅を見たので、今こそ、パンツ派手だねと言おうかと迷ったが、やめた。
ぎゅっとしぼって、葉月に渡す。葉月は、少し恥ずかしそうに受け取って、窓際に干しにいった。
そして最後に残された自分のパンツを洗う。最後に洗えば、自分で干せるから。
ぎゅっとしぼって、目立たない所へ干した。
「お前のパンツ、地味だな」
「エッ」
「もっと派手な色はいたら良いのに」
「葉月ちゃんは……パンツ自分で買うの?」
「そりゃそうだよ、え? お前まさか」
「……」
「まぁ、おばさん何でもやってくれるもんな」
何となくショックを受けつつ、鉄堅は、葉月のパンツをもう一度みて、葉月ちゃんのパンツの趣味派手だったんだぁと思った。
部屋でテレビを見て過ごしていたが、19時になるとそろそろ、食事を食べに食事処へ行かなければならない。
鉄堅は、宿屋のパンフレットをみつつ、寝そうになっている葉月を揺すった。
「葉月ちゃん、今からご飯だから寝ないで」
「あ、うん……うん」
「葉月ちゃんしっかりして、起きて」
くにゃくにゃと揺れる葉月を抱き起こす。何このふにゃふにゃなの、滅茶苦茶可愛いのだがと、鉄堅は、今から部屋を出ねばならないことが残念でならなかった。
「葉月ちゃん、寝ちゃだめだよ」
「んーー解った」
くはぁと、あくびをしながら、葉月が布団の上にちょこんと座る。着崩れた浴衣を直して欲しいなと思いつつ鉄堅は、上に羽織る羽織を葉月にかけた。
「行ける?」
「うん」
ようやくパチっとした目で、葉月が立ち上がった。ほっとして、葉月の浴衣を直してあげると、葉月がまたポポっと頬を染めたのに、今度は鉄堅は気づかなかった。
二人で連れ立って、お食事処へ向かう。一階の奥の、宴会場に座敷がずらーっと並んでいて、部屋の番号を中居さんに言うと、案内してもらえた。
窓際の端の席につくと、おひつとお茶、味噌汁と、次々に運ばれてきて、目の前の鍋に火がつけられ、最後に、お刺身やら煮付けやら色々なおかずの入ったお重、茶碗蒸しがきた。
「わぁ、ご馳走だ! 鉄堅、写メとって」
「うん、はい撮るよ」
「いや、撮るよじゃなくて、一緒に写るんだよ、ほら」
がしっと肩を組まれ、葉月がスマホを調整して、豪華な食事と共に写る。
「ほらいい写真」
「ありがとう、一生大切にする」
「またお前は大げさーーっ、これから幾らでも撮るよ」
「うん」
葉月ちゃんは、何て自分を喜ばす天才なのだろうと、鉄堅は思った。何気ないと思ってるその一つ一つが、どれだけ嬉しいか。葉月ちゃんと普通に居られることがどれだけ僕を幸せにしてくれているか……君はきっと知らない。
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