胎児の頃から執着されていたらしい

夜鳥すぱり

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第二章

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帰りは、名古屋から長野周りで帰る事とした二人は、鉄堅の親がとってくれた、塩尻のホテルと乗り換えをスマホで確認する。

「ちょっと明日はまた長丁場だね、名古屋から、中津川、塩尻だから」
「実はちょっと尻が痛い」
「エッ !! 」

鉄堅は、思わず葉月のお尻をガン見した。
葉月の尻が痛いのは、いけない、それはとてもいけない。まぁ、それ以上酷使するようなことはおそらくはないけれど、万が一そういう雰囲気になるという事もある。だから、痛いのはダメだ。

「クッションを買おう、空気で膨らませるやつが駅に売ってたから」
「おぉーーそんなグッズが有るのか」
「最近は何でもあるよ、首枕とか、簡易テーブルとか、パーテーションとか」
「パーテーション? なにそれ」
「隣の人が入ってこないようにする仕切りだよ」
「えーー俺、鉄堅にもたれたい」
「もちろん、僕たちには必要のない物だよ」

若干デレッとしつつ鉄堅は、スマホを閉じた。

「さ、葉月ちゃんそろそろ寝ようか、テレビ消していい?」
「うん、あ、お前、テレビの音量50になってたぞ、さすがにうるさいだろ、耳が変になるわ20に戻しといたからな」
「あ、あぁ、ごめんね」

それは葉月ちゃんのシャワー音という、煩悩を消すためで。結局、音くらいじゃ、消せなかったけれど。

てか、クーラーにパンツぷらぷらも本当はやめて欲しいのだが。


電気を消すと、葉月の気配が隣に。

「どうしたの? 葉月ちゃん」
「もうあと一日じゃん、一緒に寝よ」
「 !! 」

なんという……旅は二人の心の距離をちぢめると何かの本で読んだが、これは。
 苦節十数年、葉月がこれほど自分に対して気を許してくれるなんて。
嫌われてもそばにずっといた甲斐があった。

鉄堅は八百万の日本の神、一柱づつに御神酒を汲んでまわりたい気持ちになった。

「一緒に……ね、寝ようか」
「うん、あ、でもエロいことするなよ、もうなし」
「う、うん、はい」

そうは言うが、葉月の方から胸元にぴとっと、寄り添ってくる。
まて、これは寝れるだろうか?

鉄堅は、胸にのしかかる葉月を抱っこし、目を閉じた。
ごめん、葉月ちゃん、寝れない。

鉄堅の動揺をよそに、すぴすぴと直ぐに寝息をたてはじめた葉月を、ほんの少しだけ、恨めしく思う。

「葉月ちゃん……寝るの早いなぁ」

寝付きが良いのはいいことだ。これはおそらく、葉月の特技と言っても良いと思う。

「はぁ、良い匂いだなぁ」

胸の上でスヤスヤと安らかな顔で眠る愛しい人を抱きかかえながら、鉄堅は、薄暗い部屋の天井を見つめた。

窓の隙間から、時折、車のサーチライトが、入っては、天井を明るく染める。
その光がついたり消えたりするのをぼんやりと見て……なかなか訪れない眠りの時間をやり過ごす。


鉄堅の一人悩ましい夜はこうして更けて行った。







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