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第一章
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放課後、帰り支度をしていると、やっぱり成瀬が喋りかけてける。
「駅まで一緒に帰ろ」
「やだ」
「つれないな葉月は、俺の将来の奥さんになるかもしれないのに」
「絶対ならない」
バカなことを言ってるし、無視して帰ろうとした時、急に襟首をくいっと指で引っ掛けられ、よろけた。
「わ、バカひっぱるな」
「ちゅ」
「!?」
首筋に成瀬の唇が一瞬当たって、ばっと、手で押さえた。
「なっ、なに、するっ」
「だって冷たいんだもん、意地悪したくなっちゃった」
ひぃっ、こいつ、本当にサイコパスなんじゃないだろな? 俺が困るの楽しんでない? キャラが変わり過ぎてて怖いんだけど!
「お前みたいな破廉恥なヤツもう知らん」
「破廉恥ーーぷ、あはは」
腹を抱えて笑ってる成瀬を放って、葉月は、猛烈な勢いで教室からでた。残された成瀬がまだケラケラと笑っていた。恐ろしい。
早足で歩く葉月と、すれ違った沼田があれ? て顔をして手をふり、何か言いそうな村上を追い越し、走って走って、走った。元陸上部なめんなよ。
ちょうど来た電車にぴょんと飛び乗って、後ろを振り返る。大丈夫、ついてきてない。そうだよ、鉄堅みたいにしつこいヤツがそうそう居てたまるか。
ホッとしたところに、スマホがぷるぷると鳴った。
成瀬じゃあるまいな? と眉間に眉をよせつつ、画面を見ると、しつこい事にかけては右に出るものが居ない鉄堅からのメールだった。
《葉月ちゃん、何時の電車?》
時計をみると、15時40分だから、葉月の降りる駅に着くのは一時間後。
《たぶん16時40分頃駅に着く》
《待ってる》
《塾は?》
《今日はないから》
《りょ》
《りょ?》
《了解ってこと》
《なるほど》
短いやりとりに、笑みが漏れる。スマホで会話を鉄堅としてるなんて、小学生の俺が見たら、激怒しそう。
俺は鉄堅を友達としてずっと大切にする。それで良い。
そしたら、ずっとそばにいられる。離れる心配をしなくて良い、余程喧嘩をしない限り、きっと離れていかないんだろう。穏やかな関係だ。そういうのが欲しかった。ゆっくりゆっくり、お互いを思いやって、深くならず、浅く離れず、のんびりと一緒に歩いていけるそんな存在に鉄堅ならなってくれる。
永遠の関係に近いものを手に入れた満足感。心が完全に満たされていくようだった。
電車が葉月の降りる駅に着くと、ホームの椅子に座って本を読んでる鉄堅を見つけた。
「え? お前ずっとここに座ってたのか?」
「うん」
「……」
乗らない電車のホームの椅子に一時間座ってる、仰暒高校の生徒の図が明確に頭に浮かんでげんなりする。
「おま、悪目立ち過ぎるだろ」
「別にかまわないよ」
「お前らアルファは恥じらいってものが」
ないと、言おうとした時、葉月の腕を鉄堅がぐいっと引っ張った。
「え?」
「葉月ちゃん……成瀬君に何かされた?」
「は?」
え? 何でそんなこと解るの? てか、鉄堅顔恐いんだけど。なんかキレてない? え? 怒ってる? なんで?
鉄堅は、葉月の腕を掴んで……だが、ハッとした様子で、手を離し、うつむいた。
「ご、ごめん」
「へ? あ、別に……良いけど」
「その、あの、成瀬……君とは、その、葉月ちゃんはあの、どういう」
「は?」
「だって、こないだも家に来てたし、もしかして、葉月ちゃんはもしかして、あの人アルファだし、葉月ちゃんのこと好きそうだったし、葉月ちゃんももしかして、そうなの? だから、匂いが移るくらいそばにいたの?」
何が? どうだって?
鉄堅めちゃくちゃ早口だったから良く解らないけど、何か勘違いしてないか?
鉄堅の握りしめた拳が震えてる。まるで怖いみたいに、何でそんなに震えてるんだよ。よくわからんが、とりあえず何か言わないと。
「……成瀬は、たぶん敵だよ」
「エッ?」
(但しお前の恋敵だと言っていたが)
「ゴホンッ、敵というか、まぁ、俺はアイツには気を付けようと思ってる」
「そ、そうなの」
目に見えて鉄堅がホッとする。アルファ同士って反りが合わないんだもんな。警戒し合うのは仕方ないし、成瀬がちょっとヤバめなヤツなのは事実だし。
ヤバめっていうか、うーん、鉄堅に今日の話をすべきか迷う。親の事だし、しかも話すとしたら、運命の話しとかもしなきゃだし。鉄堅に、俺と運命のツガイかもなんて話したら、即結婚とかまた言い出しかねないし。
だめだ、話せない。俺たちはせっかく友達になったばかりなんだ、そんな重苦しい話題は避けるべきだ。
うんうん。
「ま、ここでする話でもないな、次の電車が来て混むまえに早くでようぜ」
「うん……あのね、葉月ちゃん、ちょっとだけ待って」
鉄堅はそう言うと、成瀬に触れられた箇所を、つまり、俺の首筋を自分のハンカチでコシコシと拭いた。
「何かついてた?」
「え?あ、うん……匂いがちょっと」
「匂い?」
「成瀬君の」
「ふぇっ? あ、あぁ、あの時か」
「あの時って何?」
鉄堅が物凄い形相で迫ってきてびびる。首筋にキス? みたいなことをされたなんて、恥ずかしくて言えるか。
「えっ、や、ぶつかっただけ」
「ぶつかった……だけ? 本当に?」
「本当に」
「そう」
またもや、ホッと胸を撫で下ろす鉄堅に、嘘をまたついてしまったことにやや罪悪感を感じつつ、帰路につくことにした。てか、アルファって、そんな些細な匂いまで解るとか恐いな。
「駅まで一緒に帰ろ」
「やだ」
「つれないな葉月は、俺の将来の奥さんになるかもしれないのに」
「絶対ならない」
バカなことを言ってるし、無視して帰ろうとした時、急に襟首をくいっと指で引っ掛けられ、よろけた。
「わ、バカひっぱるな」
「ちゅ」
「!?」
首筋に成瀬の唇が一瞬当たって、ばっと、手で押さえた。
「なっ、なに、するっ」
「だって冷たいんだもん、意地悪したくなっちゃった」
ひぃっ、こいつ、本当にサイコパスなんじゃないだろな? 俺が困るの楽しんでない? キャラが変わり過ぎてて怖いんだけど!
「お前みたいな破廉恥なヤツもう知らん」
「破廉恥ーーぷ、あはは」
腹を抱えて笑ってる成瀬を放って、葉月は、猛烈な勢いで教室からでた。残された成瀬がまだケラケラと笑っていた。恐ろしい。
早足で歩く葉月と、すれ違った沼田があれ? て顔をして手をふり、何か言いそうな村上を追い越し、走って走って、走った。元陸上部なめんなよ。
ちょうど来た電車にぴょんと飛び乗って、後ろを振り返る。大丈夫、ついてきてない。そうだよ、鉄堅みたいにしつこいヤツがそうそう居てたまるか。
ホッとしたところに、スマホがぷるぷると鳴った。
成瀬じゃあるまいな? と眉間に眉をよせつつ、画面を見ると、しつこい事にかけては右に出るものが居ない鉄堅からのメールだった。
《葉月ちゃん、何時の電車?》
時計をみると、15時40分だから、葉月の降りる駅に着くのは一時間後。
《たぶん16時40分頃駅に着く》
《待ってる》
《塾は?》
《今日はないから》
《りょ》
《りょ?》
《了解ってこと》
《なるほど》
短いやりとりに、笑みが漏れる。スマホで会話を鉄堅としてるなんて、小学生の俺が見たら、激怒しそう。
俺は鉄堅を友達としてずっと大切にする。それで良い。
そしたら、ずっとそばにいられる。離れる心配をしなくて良い、余程喧嘩をしない限り、きっと離れていかないんだろう。穏やかな関係だ。そういうのが欲しかった。ゆっくりゆっくり、お互いを思いやって、深くならず、浅く離れず、のんびりと一緒に歩いていけるそんな存在に鉄堅ならなってくれる。
永遠の関係に近いものを手に入れた満足感。心が完全に満たされていくようだった。
電車が葉月の降りる駅に着くと、ホームの椅子に座って本を読んでる鉄堅を見つけた。
「え? お前ずっとここに座ってたのか?」
「うん」
「……」
乗らない電車のホームの椅子に一時間座ってる、仰暒高校の生徒の図が明確に頭に浮かんでげんなりする。
「おま、悪目立ち過ぎるだろ」
「別にかまわないよ」
「お前らアルファは恥じらいってものが」
ないと、言おうとした時、葉月の腕を鉄堅がぐいっと引っ張った。
「え?」
「葉月ちゃん……成瀬君に何かされた?」
「は?」
え? 何でそんなこと解るの? てか、鉄堅顔恐いんだけど。なんかキレてない? え? 怒ってる? なんで?
鉄堅は、葉月の腕を掴んで……だが、ハッとした様子で、手を離し、うつむいた。
「ご、ごめん」
「へ? あ、別に……良いけど」
「その、あの、成瀬……君とは、その、葉月ちゃんはあの、どういう」
「は?」
「だって、こないだも家に来てたし、もしかして、葉月ちゃんはもしかして、あの人アルファだし、葉月ちゃんのこと好きそうだったし、葉月ちゃんももしかして、そうなの? だから、匂いが移るくらいそばにいたの?」
何が? どうだって?
鉄堅めちゃくちゃ早口だったから良く解らないけど、何か勘違いしてないか?
鉄堅の握りしめた拳が震えてる。まるで怖いみたいに、何でそんなに震えてるんだよ。よくわからんが、とりあえず何か言わないと。
「……成瀬は、たぶん敵だよ」
「エッ?」
(但しお前の恋敵だと言っていたが)
「ゴホンッ、敵というか、まぁ、俺はアイツには気を付けようと思ってる」
「そ、そうなの」
目に見えて鉄堅がホッとする。アルファ同士って反りが合わないんだもんな。警戒し合うのは仕方ないし、成瀬がちょっとヤバめなヤツなのは事実だし。
ヤバめっていうか、うーん、鉄堅に今日の話をすべきか迷う。親の事だし、しかも話すとしたら、運命の話しとかもしなきゃだし。鉄堅に、俺と運命のツガイかもなんて話したら、即結婚とかまた言い出しかねないし。
だめだ、話せない。俺たちはせっかく友達になったばかりなんだ、そんな重苦しい話題は避けるべきだ。
うんうん。
「ま、ここでする話でもないな、次の電車が来て混むまえに早くでようぜ」
「うん……あのね、葉月ちゃん、ちょっとだけ待って」
鉄堅はそう言うと、成瀬に触れられた箇所を、つまり、俺の首筋を自分のハンカチでコシコシと拭いた。
「何かついてた?」
「え?あ、うん……匂いがちょっと」
「匂い?」
「成瀬君の」
「ふぇっ? あ、あぁ、あの時か」
「あの時って何?」
鉄堅が物凄い形相で迫ってきてびびる。首筋にキス? みたいなことをされたなんて、恥ずかしくて言えるか。
「えっ、や、ぶつかっただけ」
「ぶつかった……だけ? 本当に?」
「本当に」
「そう」
またもや、ホッと胸を撫で下ろす鉄堅に、嘘をまたついてしまったことにやや罪悪感を感じつつ、帰路につくことにした。てか、アルファって、そんな些細な匂いまで解るとか恐いな。
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