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マツユキ君改め、 雪夜君は、見目がとっても良い。ハッキリ言ってそんじょそこらの芸能人やアイドルより素敵だと思う。スラッとした体躯は腕も足も長くて、さらに細マッチョ? というか、引き締まった筋肉はスポーツ選手みたいだし、顔も頭も小さくて、今時のさらさらヘアースタイルに、綺麗な眉毛の下には二重のくっきりした瞳、高い鼻梁、薄い唇、ニキビ1つない綺麗な肌。
つまり、う·つ·く·し·い……。
美人というのは、女性だけに使う言葉ではないんだな、外見だけじゃなくて、中身も温かくて優しい、本当に神様が地上に降りたってしまったんじゃないかと、僕は疑っている。こんな、みすぼらしい男オメガの僕にまで優しくしてくれる、慈愛に満ち溢れた人に今まであったことないもの。……本当にリアルに人間なのかな。
「はぁ、 雪夜君かっこいいなぁ」
「ん? 鳴水も可愛いよ」
「ははは……」
雪夜君てば、本当にサービス精神の塊みたいな人だよね、常に気配りを忘れない、なんて凄い人なんだろう。僕も見習わなくちゃ。
お互い服を着てしまうと、逆に何故か照れてしまって、目が泳いじゃう。だって、制服を着た雪夜くんすごい似合ってるんだもん。なんと言うか、背徳感みたいなものが。いや、実際の年齢知ってるんだけど、めちゃ似合ってるんだもん。その格好で、この後どんな人に会うんだろう。
制服を着て会う……しかも遅い時間に……学生服マニアの人?
ぷるぷると、頭をふる。だからそれは、考えたらだめなやつ。
「鳴水、ルームサービス何かとる? 夕飯食べてきた?」
「あ、いえ、その、朝食べたっきりです、ちょっとバタバタしてて」
「そういや、スマホ壊れたって言ってたね、連絡……スマホ変えてからじゃないとできないね、明日は用事ある?」
「明日は大学の授業午前中だけです」
「そ、なら14時に新宿駅前来れる?」
「はい」
「じゃ、ペンギン前で」
雪夜君が自分のスマホに、ポンポンと予定を書き込んでる。え? どういうことだろう。
「はい……………え?」
「ペンギン知らない?」
「あ、いや、それは解りますが、あのもしかして、明日も会ってくれるんですか?」
ち、ちがったらどうしようーーでも文脈的にそうとしか考えられないんだけど、でも、そんな明日も会えるなんてそんなことあって良いの? 運が良すぎてこわい今年の運が全部きたか。
「一緒にスマホ見に行こうと思って」
「ふぇっ!!」
「修理もうそれ、無理ぽくね? いっそ、新しいの買った方が良いと思う」
「そう……ですね、って、え? まさか、そんな雑用に一緒に行こうとしてくれてます? お、畏れ多いです、そんな一人で行きますから」
「えーー? スマホ見たりデートでしない? 俺結構、電気屋行くのとか好き」
「でーと? デート!? 」
「うん、デートしよ」
な、な、なにが起こっているんでしょうか、明日地球が滅ぶからすべての人類にご褒美を……的な、神々のいたずらなんでしょうか。
それにしたって大盤振る舞いでは。ご褒美が過ぎる。最後の時を、雪夜君と迎えることができるなんて。なんという僥倖。あぁ、生きてて良かった。明日死ぬとしても。なんて有難い話なんだ。
てか、今日、有難いことがありすぎて、脳がバクってきてる。
パチンコとか、ハマる感覚って、こういう感じなのかも、出玉がじゃんじゃかジャカジャカで続けたら、そりゃぁ、楽しいよね。あぁぁ、雪夜君との神聖なやりとりをパチンコに例えるなんて、僕のばかばか。
ていうか、本気で言ってるのかな? 僕とデートって、いったい全体、雪夜くんに何のメリットがあるんだろう。あ、もしかして、これが同伴とかいうやつ? でも、デートの後、またホテルにいくなんて約束してないし。まって、同伴って、いくらかかるんだろう。
9万で足りるのかな、あれ? でも、プライベートって言ってなかった? プライベートはお金ってどうなるの? 解らないけど……足りなきゃ銀行いけば良いか。あと、90万くらいならすぐに用意できるし。でも、なるべくつかいたくないなぁ、レンタルアルファシステム50回分と思うと。もちろん、雪夜くんとのデートはそれくらいの価値はあるけど! そうだよお金はまた稼げばいいし。なんとかなる。
「明日、14時にペンギン前、死んでもいきますっ!」
「ん、ゾンビとデートやだから、焦らずおいで、少々遅れていいから」
マツユキ君が、ポンポンて、僕の頭を左手で軽くたたく。いやもう、一時間前待機させていただきます。
つまり、う·つ·く·し·い……。
美人というのは、女性だけに使う言葉ではないんだな、外見だけじゃなくて、中身も温かくて優しい、本当に神様が地上に降りたってしまったんじゃないかと、僕は疑っている。こんな、みすぼらしい男オメガの僕にまで優しくしてくれる、慈愛に満ち溢れた人に今まであったことないもの。……本当にリアルに人間なのかな。
「はぁ、 雪夜君かっこいいなぁ」
「ん? 鳴水も可愛いよ」
「ははは……」
雪夜君てば、本当にサービス精神の塊みたいな人だよね、常に気配りを忘れない、なんて凄い人なんだろう。僕も見習わなくちゃ。
お互い服を着てしまうと、逆に何故か照れてしまって、目が泳いじゃう。だって、制服を着た雪夜くんすごい似合ってるんだもん。なんと言うか、背徳感みたいなものが。いや、実際の年齢知ってるんだけど、めちゃ似合ってるんだもん。その格好で、この後どんな人に会うんだろう。
制服を着て会う……しかも遅い時間に……学生服マニアの人?
ぷるぷると、頭をふる。だからそれは、考えたらだめなやつ。
「鳴水、ルームサービス何かとる? 夕飯食べてきた?」
「あ、いえ、その、朝食べたっきりです、ちょっとバタバタしてて」
「そういや、スマホ壊れたって言ってたね、連絡……スマホ変えてからじゃないとできないね、明日は用事ある?」
「明日は大学の授業午前中だけです」
「そ、なら14時に新宿駅前来れる?」
「はい」
「じゃ、ペンギン前で」
雪夜君が自分のスマホに、ポンポンと予定を書き込んでる。え? どういうことだろう。
「はい……………え?」
「ペンギン知らない?」
「あ、いや、それは解りますが、あのもしかして、明日も会ってくれるんですか?」
ち、ちがったらどうしようーーでも文脈的にそうとしか考えられないんだけど、でも、そんな明日も会えるなんてそんなことあって良いの? 運が良すぎてこわい今年の運が全部きたか。
「一緒にスマホ見に行こうと思って」
「ふぇっ!!」
「修理もうそれ、無理ぽくね? いっそ、新しいの買った方が良いと思う」
「そう……ですね、って、え? まさか、そんな雑用に一緒に行こうとしてくれてます? お、畏れ多いです、そんな一人で行きますから」
「えーー? スマホ見たりデートでしない? 俺結構、電気屋行くのとか好き」
「でーと? デート!? 」
「うん、デートしよ」
な、な、なにが起こっているんでしょうか、明日地球が滅ぶからすべての人類にご褒美を……的な、神々のいたずらなんでしょうか。
それにしたって大盤振る舞いでは。ご褒美が過ぎる。最後の時を、雪夜君と迎えることができるなんて。なんという僥倖。あぁ、生きてて良かった。明日死ぬとしても。なんて有難い話なんだ。
てか、今日、有難いことがありすぎて、脳がバクってきてる。
パチンコとか、ハマる感覚って、こういう感じなのかも、出玉がじゃんじゃかジャカジャカで続けたら、そりゃぁ、楽しいよね。あぁぁ、雪夜君との神聖なやりとりをパチンコに例えるなんて、僕のばかばか。
ていうか、本気で言ってるのかな? 僕とデートって、いったい全体、雪夜くんに何のメリットがあるんだろう。あ、もしかして、これが同伴とかいうやつ? でも、デートの後、またホテルにいくなんて約束してないし。まって、同伴って、いくらかかるんだろう。
9万で足りるのかな、あれ? でも、プライベートって言ってなかった? プライベートはお金ってどうなるの? 解らないけど……足りなきゃ銀行いけば良いか。あと、90万くらいならすぐに用意できるし。でも、なるべくつかいたくないなぁ、レンタルアルファシステム50回分と思うと。もちろん、雪夜くんとのデートはそれくらいの価値はあるけど! そうだよお金はまた稼げばいいし。なんとかなる。
「明日、14時にペンギン前、死んでもいきますっ!」
「ん、ゾンビとデートやだから、焦らずおいで、少々遅れていいから」
マツユキ君が、ポンポンて、僕の頭を左手で軽くたたく。いやもう、一時間前待機させていただきます。
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