王女なのに虐げられて育った私が、隣国の俺様皇帝の番ですか?-または龍神皇帝の溺愛日記-

下菊みこと

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それからのこと

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子供の成長とは早いもので、コルラードとファウスティーナも五歳になった。今日も俺とシュシュはシエルとラドとティナと一緒に笑って過ごす。

「ラド、ティナ。今日は雪が降っているぞ」

「雪ー!?」

「ゆきー!?」

ラドとティナは大はしゃぎだ。シエルも尻尾を振っている。

「さあ、防寒着を着込んで遊びに行きましょうね」

「母上、ありがとう!」

「お母様、大好き!」

ラドとティナはシュシュが大好きだ。もちろん俺も好かれているし、シエルも兄弟として仲良く育っている。

「マフラーは?」

「巻いたー!」

「手袋は?」

「つけたー!」

「では、いざ雪遊びです!」

「「わーい!」」

「わんっ!」

シエルとラドとティナが駆け出す。…しかし秒でティナが転んだ。

「ふ、ふぇ…」

「ティナ!大丈夫?」

「うぇ…う…」

「くーん…」

今にも泣きそうになるティナ。可愛い。…いやそれどころじゃなかった。

「ティナ、怪我はないか?」

「ぐずっ…だ、だいじょうぶ」

「びっくりしたねー」

「したよー…」

「痛いの痛いの飛んでいけー」

「うぅ…うん、とんでった…」

「よかったー。ティナ、よしよし」

「ありがとう、ラド…」

「わんっ」

「シエルもありがとう…」

「じゃあ雪合戦しよう!」

「うん!」

「わんっ!」

今日も我が子達が可愛い。始祖神よ、ありがとうございます。俺はシュシュとシエルとラドとティナがいてくれれば生きていけます。

「えいっ」

「えいっ!」

「わんっ」

ラドもティナも狙いが定まってない…可愛い。それじゃいくら投げても当たらないぞ。シエルは前足で上手にラドとティナに雪を当てる。可愛いからいいか。

「ふー。ティナ避けるの上手いねー」

「ラドもじょうずー」

当てるのがお互いに下手なだけだ。好き。

「シエルは雪を当てるの上手だねー」

「わんっ!」

仲良しでなによりだ。

「次は雪だるま作ろー」

「つくろー」

ラドが下の大きな玉を、ティナが上の小さな玉を作る。

「一個出来たー!」

「あとよんこー!」

どうやら雪だるまを五体作るらしい。何をやっても可愛い。シュシュが産んでくれた我が家の天使だ。シエルもラドとティナを一生懸命に手伝っている。ほのぼのするな。

「うんしょ、うんしょ」

「よっこいせー!」

「わんっ」

雪だるまが五体できた。小さな雪だるまが三体、小さな雪だるまに挟まれた真ん中に大きな雪だるまが二体。これは?

「父上も母上も大好きー!」

「こっちがラドで、こっちがティナで、こっちがシエルで、これがお父様とお母様だよ!」

「わんっ」

なんとシエルとラドとティナは俺達の雪だるまを作ってくれたらしい。

「父上、嬉しい?」

「お母様、しあわせ?」

「わふっ」

「もちろん嬉しいし幸せです!二人ともありがとうございます!」

シュシュが思わずと言った様子でシエルとラドとティナを抱きしめる。俺はさらにその上からシュシュごと家族を抱きしめる。本当に、なんて愛おしいのだろう。

「えへへー。僕も幸せー」

「えへへー。ティナもしあわせー」

「わんっ」

シエルが顔をグリグリと擦り付け、ラドとティナが抱きしめ返してくれる。これ以上の幸せはない。俺は今日も幸福に満たされている。

ー…

「さあ、今日もみんなで一緒に遊びましょう!」

「やったー!なにする?」

「何がいいかな?」

「わふ」

「では鬼ごっこはどうだ?」

「わーい!」

「じゃあ父上が鬼ね!」

「わんっ!」

「はいはい。では始めるぞー」

今日も今日とて家族で平穏な日常を過ごす。

「楽しかったー」

「次はなにして過ごす?」

「父上と母上とシエルとならなんでも楽しいよ!」

なんて可愛いことを言ってくれるのだろうか。思わず抱きしめたくなる。ということで抱きしめた。

「次はかくれんぼにするか」

「わーい!」

「かくれんぼー!」

「わんっ」

シエルとラドとティナは嬉しそうにはしゃぐ。始祖神よ、ありがとうございます。今日も俺は幸せです。

「たくさん遊んだねー!」

「あそんだねー!」

「わんっ」

ラドとティナはご機嫌だ。俺もシュシュもシエルも、ちょっと疲れたがとても楽しかった。

「そろそろおやつかなー?」

「そろそろおやつだねー?」

「わんっ」

「では、私の手作りのパンケーキなどいかがでしょうか?」

「手作りー!?」

「食べたーい!」

「お、シュシュの手作りか。俺にもくれるんだろう?」

「もちろんです。では作ってきますのでしばらくお待ちくださいね」

「はーい!」

「わかったー」

「楽しみにしているぞ」

「はい」

そうしてしばらく経つとシュシュが戻ってきた。

「出来上がりましたよー。どうぞ」

「ありがとー!」

「ありがと!」

「シエルにはこれね」

「わんっ」

「ありがたいな。いただきます」

「いただきまーす」

「いただきます!」

口にパンケーキを運ぶ俺とラド、ティナ。うん、美味い。さすがシュシュだ。

「美味しー!」

「せかいいちおいしーよ!お母様!」

「これはなかなか美味い。流石は俺のシュシュだけはあるな」

「ふふ、よかったです」

シュシュの笑顔が可愛くて、頬にそっとキスを落とす。シュシュは嬉しそうにはにかんだ。

「いただきます…ん、我ながらよくできました」

「あれー?父上は紅茶じゃないねー」

「あれー?お母様は紅茶じゃないねー」

ラドとティナは俺達がコーヒーを飲んでいるのに気が付いた様子。飲みたがったらどうするか。

「これはコーヒーという飲み物で、とーっても苦いんですよ」

「コーヒー?」

「コーヒー…のんでみたい!」

「ははははは、ラドとティナにはまだ早い」

コーヒーに目を輝かせるラドとティナにまだ早いと助言する。が、ラドとティナはそんなことは御構い無しなようだ。

「やだー!僕も父上と同じものを飲みたい!」

「ティナもお母様と同じものが飲みたい!」

「…どうする?シュシュ」

「…そうだ!コーヒー牛乳にして飲んでみますか?たっぷりのお砂糖とミルクで、とーっても美味しいんですよ」

「じゃあコーヒー牛乳飲もっか?」

「だいじょうぶだよ、ティナ、コーヒー飲めるよ」

ティナはシュシュにそっくりの顔でにっこり微笑み、テーブルの上の俺のカップを取って飲んでしまった。

「!ティナ!」

「苦い~…!」

ティナは口に含んだコーヒーをそのまま吐き出す。あーあ。

「とりあえず侍女達に片付けさせよう。お前たち、頼む」

「はい、皇帝陛下」

「ティナ、お召し物を変えましょう」

「うん…ごめんなさい…」

「大丈夫ですよ、怒っていません」

「お母様、ありがとう」

「どういたしまして」

「父上もありがとう」

「どういたしまして」

「ティナ、もう大丈夫?」

「だいじょうぶ。ラド、ありがとう」

「うん!」

「わふっ」

「うん、シエルもありがとう」

今日も今日とて我が家はシエルとラドとティナのおかげで平和だ。
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