王女なのに虐げられて育った私が、隣国の俺様皇帝の番ですか？-または龍神皇帝の溺愛日記-

これからのこと

今日はニタとシエルとラドとティナと一緒に、懐かしいネモフィラの丘にお花畑に来ました。使用人達がサンドイッチとレジャーシート、水筒を持ってくれます。

私は平民風の白いワンピース、ニタは白シャツにジーンズという格好です。ラドとティナも平民の子供風の格好をしています。

「父上似合うねー！」

「お母様かわいい！」

「ありがとうございます。ラドとティナも可愛らしいですよ」

「本当に？」

「本当に可愛いぞ」

「うれしい！」

「わんっ！わんっ！」

「はは、シエルもお待ちかねのようだし、そろそろ行こう」

「はーい！」

「出発進行！」

「ふふ、ラドったら」

ー…

馬車が目的地に近づいてくると、馬車の外の景色は一気に変わりました。

「父上！母上！あれ見て！」

「あおいよ！いっぱいだよ！」

「ああ、ちょうど盛りの時期だからな。気に入ったか？」

「うん、とってもすごーい！」

「綺麗だねー！」

「ねー！」

「わんっ！」

いたるところが水色に染まっていて、とても綺麗です！またこの景色を見ることが出来て、とても幸せです！

「すごい！すごいよ、お父様！きれいなあおだよ！」

「実は観光地ではないから、俺たちだけで楽しめるぞ」

「わあ！貸し切りだね！」

「かしきりだね！」

「わんっ！」

「ふふ。私も初めて来た時にはものすごくはしゃいでいたんですよ？」

「そうなんだね！」

「きれいだもんね！」

馬車で村全体を見渡せる丘まで行き、馬車を降ります。

「お手をどうぞ」

「ありがとうこざいます、ニタ」

見渡す限りの水色。なんて美しいんでしょう。

「見て父上！水色の絨毯だよ！」

「お母様見て！あおだよ！」

「ああ、ここが俺の国の一部だと思うと誇らしいな」

「すごいですよね。シエルとラドとティナの初めてのお花畑がここでよかったです。私とお揃いですものね」

「母上もここが初めてのお花畑なの？」

「そうですよ」

「わーい、お揃いー！」

「わんっ！わんっ！」

「さあ、ここでサンドイッチを食べるか」

「わあ、こんな素敵な景色の中で食べられるの？」

「ゆめみたーい！」

「ふふ、私もそんなことを言っていましたっけ」

「お前達、準備を頼む」

使用人達がレジャーシートを広げ、四隅に適当な石を置いてシートを押さえてくれます。そして、サンドイッチと水筒を取り出してくれます。

「いただきます！」

「いただきます」

「いただきます！」

「いただきまーす！」

「わんっ！」

料理人さんの作ってくれたサンドイッチは、ハムサンド、ツナサンド、タマゴサンドなど色々な種類があります。ちなみにシエルには高級なドッグフードを持ってきました。

「んー、美味しー」

「おいしいねー」

「ラドとティナが気に入ったなら、次のお出かけの時また作ってもらうか」

「本当？」

「わーい！」

「この景色を眺めて食べる贅沢は今だけだけどな」

「！目に焼き付ける！」

「おぼえてかえる！」

「はは、是非そうしてくれ」

サンドイッチを食べてすっかりお腹いっぱいになった私達は、その後もしばらく景色を味わってから、近くでネモフィラを見るためにまた馬車に乗り込みます。

「シュシュ、お手をどうぞ」

「ありがとうこざいます、ニタ」

馬車はすぐにネモフィラの丘に着き、馬車を降ります。

「はしゃぎ過ぎて転ばないようにな」

「はーい！」

「大丈夫ー！」

満開に咲くネモフィラの丘を歩きます。懐かしいなぁ。

「遠くから見るとすごいけど、近くから見ると可愛らしいね」

「そうだな。まるでシュシュのような可憐さだ」

「もう、ニタ？」

「お母様かわいいもんね！」

「母上ネモフィラ似合うね！」

「ラドとティナまで…」

「わんっ」

「帰りに、お土産にネモフィラの花束を買おう。シュシュとラドとティナの部屋に飾ろう」

「ニタのお部屋にも飾って欲しいです」

「ああ、わかった。そうしよう。」

ニタとの思い出のネモフィラの丘にシエルとラドとティナと一緒に来られてとても幸せです。ここは私がニタへの気持ちに気付いた大切な思い出の場所。どうか今日の思い出が、シエルとラドとティナにとっても特別なものになりますように。そして将来この国を背負うことになる神の双子に、惜しみない祝福があらんことを。