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聖女が来た
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「キュー。今日は兄様の部屋で大人しくしておいで」
「え?兄様、どうしたの」
「なんでもない。お前たち、キューを頼む」
「はい、ゴッドリープ様」
「ねえ、兄様どうしたの?なにかあったの?」
キューが心配そうな顔でオレを覗き込んでくる。
「キューはなにも心配しなくていいんだよ」
「兄様、キュー蚊帳の外はいやだよ」
「そんなこと…」
どうしようかと思ったが、キューは意外と意志が強いと引きこもりしていた時に知った。
もしかしたら危ない場面で飛び出してくるかも。
…仕方がない。
「本当はあんまりキューを心配させたくないんだけどね。仕方がないな」
「…兄様」
「大丈夫だよ。ただ…聖神教の聖女様とやらがオレと話しをしたいらしい」
国教についに目をつけられたかと辟易する。
だが、いつかは向き合う問題だったのだと諦めるしかない。
はたしてあちらはどう出て来るのやら。
…呼び出しを食らうのではなくあちらから来るのはちょっと意外だったけれど。
一応敬意を払うつもりはあるということか。
「キューも兄様と一緒にその人に会う」
「だめだよキュー、危ないから」
「危ないから一緒に会うの!!!」
キューはそう言ってオレの腕にしがみつく。
前世の記憶がある割に、こういうところは子供なんだよなぁ。
「うーん。兄様はキューが心配なんだけど、だめかい?」
「だめ!一緒に会う!」
「…わかった。もうそろそろ聖女殿の着く頃だ。応接間に行こう」
「うん…」
不安そうな顔でオレに縋る姿も可愛いが、この子に手を出されたらオレは何をするかわからないから…。
「お前たち、何かあればキューを優先して」
「はい、ゴッドリープ様」
そして応接間に着く。
しばらくすると聖女殿が現れた。
聖女殿はオレを見て絶句した。
まさか子供がトップとは思わなんだか。
「はじめまして。そしてごきげんよう、聖女殿」
「あ、ええ、はじめまして。ごきげんよう…あの、もしかして貴方がここの教主様ですか?」
「パラディース教では天主と呼ばれるけれど、まあそうだよ」
「こんな子供が…」
子供とか舐めてると噛まれるかもね?
なんて内心舌を出していたら、キューが言った。
「兄様は子供だけど最高にかっこいいもん」
「え、貴女は?」
「キューは兄様の妹」
「キュー、聖女殿を睨んじゃだめだよ」
キューの頭を撫でてなだめて、聖女殿に向き直る。
「聖女殿、申し訳ない。この子はキューケンと言ってオレの妹なのだが、どうにもまだまだ幼いから…」
「いえ、子供ならそれが普通では」
「兄様だってかっこよくて頭がいいだけで普通の子供だもん」
なにやら聖女殿に対してガルガルモードが発動しているキュー。
オレを守ろうとしてくれているのかな。
可愛いな。
「兄様のこと虐めたら許さないから」
「え」
「聖神教の聖女様が来るってことは宗教関係のお話でしょ。兄様を虐めたら怒るよ」
キューが怒ったところで、兄様以外は平気だよ。
むしろ微笑ましいと思うよ?
兄様は、キューに怒られたらショックで倒れるかもしれないけれど。
「そう、ですね。すみません。そうなのですね…」
「そうってなにが?」
「すみません。私はパラディース教について、悪しき宗教だと聞かされておりました。そこで、悪行を止めようとやってきたのです」
聖女殿の言うことには、教皇が国の秩序を乱す極悪人だとオレを蔑んでいるのだとか。
で、それを間に受けて乗り込んできたと。
「…ごめんなさい。そんなに妹さんから愛され、妹さんを慈しむ幼い貴方が悪行を働いているはずもありません」
「そう」
「聖神教は国教に指定されていますが、神は異教徒の存在もお許しになられています。なのに私は…」
正義感が強いご様子で。
「別にそれはいいと思う」
「キュー?」
「でも、事前に事実確認は大事。お寺から自立した人の話は聞いた?」
キューがそう言えば、聖女殿はきょとんとする。
「自立?」
「兄様は生活に困窮してる人をお寺に泊めてるの。スラム街にいた人たちとか。自立できるようになったら出て行くの」
キューの言葉にハッとする聖女殿。
「ここ数年スラム街の治安が改善したのは…」
「新興宗教だからか、手を差し伸べても断られることも多いけれどね。まあ、親の世代からそれなりに活動してるよ」
オレが答えれば、聖女殿は顔が真っ青になる。
「そんなにも国のために尽くしている方に、私はなんて非礼を働いてしまったのでしょう…!」
「まだなにもされていないよ」
「こうして迷惑をかけてしまったではないですか!」
聖女殿は真面目だなぁ。
「そんなのどうでもいいんだけれど、ひとつだけ訂正。オレは国のためではなく、オレに縋るしかない大事な教徒たちの自立と幸せのために頑張ってるんだよ。国には税金を納めるくらいしかしてない」
「…教徒たちの自立と幸せのために?」
はっとした表情になる。
今度はなんだろう。
「私は聖女なのに…聖神教と国のことしか考えてなかった…」
「兄様は根本的に善人だからね、お姉さんには真似できないと思うよ」
「こら、キュー?」
め、と軽く叱ればはーいと間延びしたお返事。
まったく、キューはなにをしても可愛いんだから。
「…私、急いで聖神教に戻ります。やることができました」
「さようなら、お姉さん」
「気をつけて帰るんだよ、聖女殿」
「はい、ありがとうございました」
それはなんのお礼なのかな?
そう聞く暇もないほど慌てて帰る姿に少し笑った。
「兄様」
「ん?」
「キューとお姉さんならどっちが好き?」
「もちろんキューだよ。ヤキモチ妬いちゃったの?」
「うん、兄様お姉さんの背中見て笑ってたから」
おやまあ。
随分可愛いヤキモチだ。
今日は特別に甘やかそうか。
「え?兄様、どうしたの」
「なんでもない。お前たち、キューを頼む」
「はい、ゴッドリープ様」
「ねえ、兄様どうしたの?なにかあったの?」
キューが心配そうな顔でオレを覗き込んでくる。
「キューはなにも心配しなくていいんだよ」
「兄様、キュー蚊帳の外はいやだよ」
「そんなこと…」
どうしようかと思ったが、キューは意外と意志が強いと引きこもりしていた時に知った。
もしかしたら危ない場面で飛び出してくるかも。
…仕方がない。
「本当はあんまりキューを心配させたくないんだけどね。仕方がないな」
「…兄様」
「大丈夫だよ。ただ…聖神教の聖女様とやらがオレと話しをしたいらしい」
国教についに目をつけられたかと辟易する。
だが、いつかは向き合う問題だったのだと諦めるしかない。
はたしてあちらはどう出て来るのやら。
…呼び出しを食らうのではなくあちらから来るのはちょっと意外だったけれど。
一応敬意を払うつもりはあるということか。
「キューも兄様と一緒にその人に会う」
「だめだよキュー、危ないから」
「危ないから一緒に会うの!!!」
キューはそう言ってオレの腕にしがみつく。
前世の記憶がある割に、こういうところは子供なんだよなぁ。
「うーん。兄様はキューが心配なんだけど、だめかい?」
「だめ!一緒に会う!」
「…わかった。もうそろそろ聖女殿の着く頃だ。応接間に行こう」
「うん…」
不安そうな顔でオレに縋る姿も可愛いが、この子に手を出されたらオレは何をするかわからないから…。
「お前たち、何かあればキューを優先して」
「はい、ゴッドリープ様」
そして応接間に着く。
しばらくすると聖女殿が現れた。
聖女殿はオレを見て絶句した。
まさか子供がトップとは思わなんだか。
「はじめまして。そしてごきげんよう、聖女殿」
「あ、ええ、はじめまして。ごきげんよう…あの、もしかして貴方がここの教主様ですか?」
「パラディース教では天主と呼ばれるけれど、まあそうだよ」
「こんな子供が…」
子供とか舐めてると噛まれるかもね?
なんて内心舌を出していたら、キューが言った。
「兄様は子供だけど最高にかっこいいもん」
「え、貴女は?」
「キューは兄様の妹」
「キュー、聖女殿を睨んじゃだめだよ」
キューの頭を撫でてなだめて、聖女殿に向き直る。
「聖女殿、申し訳ない。この子はキューケンと言ってオレの妹なのだが、どうにもまだまだ幼いから…」
「いえ、子供ならそれが普通では」
「兄様だってかっこよくて頭がいいだけで普通の子供だもん」
なにやら聖女殿に対してガルガルモードが発動しているキュー。
オレを守ろうとしてくれているのかな。
可愛いな。
「兄様のこと虐めたら許さないから」
「え」
「聖神教の聖女様が来るってことは宗教関係のお話でしょ。兄様を虐めたら怒るよ」
キューが怒ったところで、兄様以外は平気だよ。
むしろ微笑ましいと思うよ?
兄様は、キューに怒られたらショックで倒れるかもしれないけれど。
「そう、ですね。すみません。そうなのですね…」
「そうってなにが?」
「すみません。私はパラディース教について、悪しき宗教だと聞かされておりました。そこで、悪行を止めようとやってきたのです」
聖女殿の言うことには、教皇が国の秩序を乱す極悪人だとオレを蔑んでいるのだとか。
で、それを間に受けて乗り込んできたと。
「…ごめんなさい。そんなに妹さんから愛され、妹さんを慈しむ幼い貴方が悪行を働いているはずもありません」
「そう」
「聖神教は国教に指定されていますが、神は異教徒の存在もお許しになられています。なのに私は…」
正義感が強いご様子で。
「別にそれはいいと思う」
「キュー?」
「でも、事前に事実確認は大事。お寺から自立した人の話は聞いた?」
キューがそう言えば、聖女殿はきょとんとする。
「自立?」
「兄様は生活に困窮してる人をお寺に泊めてるの。スラム街にいた人たちとか。自立できるようになったら出て行くの」
キューの言葉にハッとする聖女殿。
「ここ数年スラム街の治安が改善したのは…」
「新興宗教だからか、手を差し伸べても断られることも多いけれどね。まあ、親の世代からそれなりに活動してるよ」
オレが答えれば、聖女殿は顔が真っ青になる。
「そんなにも国のために尽くしている方に、私はなんて非礼を働いてしまったのでしょう…!」
「まだなにもされていないよ」
「こうして迷惑をかけてしまったではないですか!」
聖女殿は真面目だなぁ。
「そんなのどうでもいいんだけれど、ひとつだけ訂正。オレは国のためではなく、オレに縋るしかない大事な教徒たちの自立と幸せのために頑張ってるんだよ。国には税金を納めるくらいしかしてない」
「…教徒たちの自立と幸せのために?」
はっとした表情になる。
今度はなんだろう。
「私は聖女なのに…聖神教と国のことしか考えてなかった…」
「兄様は根本的に善人だからね、お姉さんには真似できないと思うよ」
「こら、キュー?」
め、と軽く叱ればはーいと間延びしたお返事。
まったく、キューはなにをしても可愛いんだから。
「…私、急いで聖神教に戻ります。やることができました」
「さようなら、お姉さん」
「気をつけて帰るんだよ、聖女殿」
「はい、ありがとうございました」
それはなんのお礼なのかな?
そう聞く暇もないほど慌てて帰る姿に少し笑った。
「兄様」
「ん?」
「キューとお姉さんならどっちが好き?」
「もちろんキューだよ。ヤキモチ妬いちゃったの?」
「うん、兄様お姉さんの背中見て笑ってたから」
おやまあ。
随分可愛いヤキモチだ。
今日は特別に甘やかそうか。
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