神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました

下菊みこと

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聖女が見たもの

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「教皇猊下、今よろしいでしょうか」

「なんだ、聖女ではないか。どうした?」

いつまで経っても私を名前で呼んでくださらない教皇猊下。

きっと、名前自体覚えていないのだろう。

「今日、ついさっきまでパラディース教に行って参りました」

「む、なにをしに行った?」

「パラディース教の教主の悪行を止めようと」

私の言葉に教皇猊下は愉快そうに笑う。

「でかした!その神から与えられし聖なる魔力で、あの憎き寺を灰にしたのだな!」

「…パラディース教の教主は、まだ幼い子どもでした」

「ああ、そうとも!生意気なクソガキだ!」

私はこの地位に就くのに何十年もかけたというのに、と言う教皇猊下はまるで俗物だ。

子どもが相手だと知っていてこんな風に言うなんて。

「パラディース教では、生活に困窮している者を寺に泊めて自立の手伝いをしているそうです」

「ああ。そうやって人々の心を惑わし信者を増やし、ついには棄民や平民だけでなく貴族社会や商人たちの間にまで広がっているのだ!」

敬愛すべき教皇猊下だけど、それはあんまりな言い方だと思う。

「私はパラディース教を灰にしたりしません」

「なに?」

「私が見たのは幼い妹を守る小さな教主の姿。そして、そんな彼を守る幼い妹の姿です。教徒たちもなに不自由なく暮らしている様子でした」

「…聖女よ、まさか奴らに肩入れするつもりか?」

「もし聖神教がパラディース教に嫌がらせをしたり対立したりするならば、私は聖女としての力を使うことを一切やめます」

教皇猊下は目を見張る。

「…くぅっ、わかった!奴らには手出しはせんっ」

「わかっていただけてよかったです。あと、教会にある莫大な資金も少しは民草のためにお使いください」

「わかった!わかった!話はそれだけだな!」

こくりと頷けば、教皇猊下は深くため息をつく。

そのため息がどんな意味かは、考えないことにした。

その後、教皇猊下のご下命で我ら聖神教の者はパラディース教を害することを禁じられた。

これであの双子が、安心して過ごせるようになればいいのだけれど。

…双子だよね?
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