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余談
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私はルシア。
この世界で最も稀少で強力な光魔術の使い手。
だから平民でありながら、貴族学園に入学できたのだけど。
そこで好きな人ができた、ニクス様という素敵な方だ。
けれど、ニクス様は想定外の行動を見せた。
この光魔術の使い手である私を振ったのだ。
「悪いが、俺は婚約者を愛している。君とは付き合えない」
ニクス様は、私の誘惑をきっぱり拒絶したのだ。
そして婚約者を選んだ。
「ニクス様…よかったの?」
「よかったもなにも、君を愛しているのだから当然だ」
「…!」
そのやり取りは、私の心を抉った。
その後意気消沈した私の元に、家庭教師の先生が現れた。
なんでも一千年を生きる魔術師らしい。
あのニクス様の婚約者の家庭教師だったこともあるそうで。
そちらとその次の生徒に注力していたので、光魔術の使い手である私の家庭教師になるのが遅れてしまったと申し訳なさそうに謝ってきた。
でも、あのニクス様の婚約者の家庭教師はすごい人だって聞いていたから大丈夫。
「先生は人気者ですから。仕方がないですよ」
「おや、聞いていた話と違いますね」
「え?」
「光魔術の使い手だからと、調子に乗っていると聞いていましたが」
「…はっきり言いますね、ええそうですよ。でも貴方の教え子に鼻っ柱を折られたんです」
ああ、と先生は声を漏らした。
「フォルトゥーナ様の婚約者に振られましたか」
「…はい」
「ならば」
先生が突然私の手を取る。
突然のことにドキッとする。
先生は綺麗な顔で言ってのけた。
「君も私がパーフェクトレディにして差し上げますよ。そうすればどんな男だって、フォルトゥーナ様の婚約者と弟君以外イチコロです」
「そ、それは…先生、も?」
綺麗な顔に、触れる手に、ドキドキしながら言うと先生はウィンクをこちらに投げた。
「さて、それはどうでしょう」
この時から、私はパーフェクトレディへの階段を駆け上がり始めた。
そして、先生との恋の駆け引きもここから始まった。
なお私の光魔術を搾取していた両親は、先生の手で裁判にかけられて私と絶縁した。
先生のおかげでのびのび過ごせるようになって、ますます先生に惚れ込んだのは余談だ。
この世界で最も稀少で強力な光魔術の使い手。
だから平民でありながら、貴族学園に入学できたのだけど。
そこで好きな人ができた、ニクス様という素敵な方だ。
けれど、ニクス様は想定外の行動を見せた。
この光魔術の使い手である私を振ったのだ。
「悪いが、俺は婚約者を愛している。君とは付き合えない」
ニクス様は、私の誘惑をきっぱり拒絶したのだ。
そして婚約者を選んだ。
「ニクス様…よかったの?」
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「…!」
そのやり取りは、私の心を抉った。
その後意気消沈した私の元に、家庭教師の先生が現れた。
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そちらとその次の生徒に注力していたので、光魔術の使い手である私の家庭教師になるのが遅れてしまったと申し訳なさそうに謝ってきた。
でも、あのニクス様の婚約者の家庭教師はすごい人だって聞いていたから大丈夫。
「先生は人気者ですから。仕方がないですよ」
「おや、聞いていた話と違いますね」
「え?」
「光魔術の使い手だからと、調子に乗っていると聞いていましたが」
「…はっきり言いますね、ええそうですよ。でも貴方の教え子に鼻っ柱を折られたんです」
ああ、と先生は声を漏らした。
「フォルトゥーナ様の婚約者に振られましたか」
「…はい」
「ならば」
先生が突然私の手を取る。
突然のことにドキッとする。
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「君も私がパーフェクトレディにして差し上げますよ。そうすればどんな男だって、フォルトゥーナ様の婚約者と弟君以外イチコロです」
「そ、それは…先生、も?」
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「さて、それはどうでしょう」
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そして、先生との恋の駆け引きもここから始まった。
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先生のおかげでのびのび過ごせるようになって、ますます先生に惚れ込んだのは余談だ。
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