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皇帝陛下の愛娘はなんだかんだでまだ皇帝陛下が必要
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リリアージュは、悩んだもののナタナエルに手作りお菓子を作ることにした。日記帳を見た限りではナタナエルはリリアージュの手作りお菓子を食べたい様子だったからだ。
ナタナエルが子離れしようとしている邪魔にならないかと心配にもなるが、やっぱり大好きなナタナエルには喜んで欲しい。今日はニコラではなくナタナエルのためにお菓子を作る。
レオノールの教え方は的確で、今日も美味しそうなシュークリームを作ることができた。ナタナエルの元にシュークリームを運ぶ。
「パパ!」
「どうした、リリアージュ」
「パパのためにシュークリームを作ったの!よかったら食べて!」
ナタナエルは一瞬戸惑ったものの受け取ってくれた。
「ありがとう、リリアージュ。食べてもいいんだな?」
「うん!」
「いただきます」
ナタナエルは一口シュークリームを口に運ぶ。甘い。ナタナエルはその甘さを、まるでリリアージュのようだと思う。リリアージュはこんなにも自分の求めることをしてくれる。ナタナエルは、自分はリリアージュに求められているものを与えられているのかと少し不安になる。
最近は特に、子離れのために距離を置いている。リリアージュから嫌われてしまったら悲しい。しかし、そんなナタナエルの不安を吹き飛ばすのもリリアージュだった。リリアージュは期待のこもった目をナタナエルに向ける。
「ねえパパ、美味しい?」
「世界一美味しい」
「ふふ、大袈裟なんだから!」
リリアージュの微笑みに、ナタナエルはやっぱり子離れはまだ無理そうだなと思いつつも、子離れすることはリリアージュのためなのだと自分に言い聞かせる。
「ねえパパ。私ね、一生懸命に頑張って素敵な皇太子になるね!それで、すっごく素敵な女帝になるの!」
「ああ、もちろんだ。たくさんの人々を助けてきたお前なら出来るよ」
「うん!それでね、パパがもう大丈夫だって安心出来るように頑張るよ!だからね、それまで見守っていてね!」
「当たり前だ。お前はこの国の宝なのだから」
ナタナエルは思わず手を伸ばしてリリアージュの頭を撫でる。はっとしたナタナエルだったが、リリアージュがあまりにも嬉しそうに笑うのでもう白旗を揚げることにした。だって無理だ。こんなに可愛いリリアージュを前に、子離れなんて出来るものか。
ルイスが呆れたようにため息を吐くのを感じながら、ナタナエルはリリアージュを抱きしめて頬とおでこにキスをする。
「ふふ、パパ。くすぐったい」
「リリアージュ、お前は俺の…この国の宝だ。ゆっくりと成長していけばいい」
「うん。でも私、頑張るよ!」
「…そうだな。そうだった。俺はお前を応援するよ」
ナタナエルはリリアージュが真剣にこのプロスペール皇国を守っていこうとしているのを知っている。だから、ナタナエルは皇帝としてリリアージュを鍛えてやらなければいけない。ただ、最近はもうリリアージュ一人でも充分になってきたが。
「パパ。私にはまだまだパパが必要だから、ずっと側にいてね。その分、パパがリリアージュはもう大丈夫だと思えるように頑張るから」
「もちろんだ」
ルイスはこれだからこの親子は…と思ったが、これからニコラとの結婚も控えるリリアージュには大切な時間気もしれないと思い直した。
ニコラの皇配教育はまだ途中だが、それでも及第点ではある。リリアージュもニコラも十八歳。そろそろ結婚しなければならないお年頃なので、結婚の準備がそろそろ始まる。実際の結婚はまだ先だが、それでもリリアージュが新しい家族を作る前にナタナエルに甘えたいと思うのはまあ自然なことだろう。
ナタナエルもそのことに思い至ったのか、少し寂しそうに笑って言った。
「でも、急にどうした?マリッジブルーか?」
「ううん。ただ、パパに喜んで欲しくて。あと、安心して欲しくて」
「そうか。ありがとう、リリアージュ」
「うん!…でも、マリッジブルーかぁ。結婚に向けて、そろそろ色々準備が始まるもんね。ルイスはニコラが手元から離れて寂しくない?」
「寂しいに決まっていますが、妻と子供達が慰めてくれますので。お二人の幸せを、心から願っておりますよ」
「ありがとう。ルイスは大人だね」
「いえいえ」
「だがまあ、ルイスはこれからも皇配となるニコラと顔を合わせる機会はたくさんあるだろう。むしろ妻と子供達の方が寂しいんじゃないか?」
「あ、そっか。そうだよね」
「妻と子供達はニコラにたまには遊びに来いと再三言っていますね」
「ニコラは人気者だね」
「家族同然の存在ですから。リリアージュ様、ニコラをよろしくお願いしますね」
「もちろんだよ」
「しかし、お前がニコラをそこまで気に入るとはな。引き取った時にはなんとも思っていなかっただろう」
「思ったより優秀でしたので。あと、リリアージュ様をお慕いする気持ちは本物のようでしたからまあ幸せにしてやりたいなと思っているうちに、情が湧きました。おそらくニコラも私や私の家族に感謝はしてくれていますが、愛というよりは情なのでしょうね」
「そうか」
「はい」
「でも、ニコラはルイスの家族の一員になれて幸せだと思うな」
「そうですね」
こうして、結局はナタナエルはまだ子離れは出来ないという結論が出たのだった。
ナタナエルが子離れしようとしている邪魔にならないかと心配にもなるが、やっぱり大好きなナタナエルには喜んで欲しい。今日はニコラではなくナタナエルのためにお菓子を作る。
レオノールの教え方は的確で、今日も美味しそうなシュークリームを作ることができた。ナタナエルの元にシュークリームを運ぶ。
「パパ!」
「どうした、リリアージュ」
「パパのためにシュークリームを作ったの!よかったら食べて!」
ナタナエルは一瞬戸惑ったものの受け取ってくれた。
「ありがとう、リリアージュ。食べてもいいんだな?」
「うん!」
「いただきます」
ナタナエルは一口シュークリームを口に運ぶ。甘い。ナタナエルはその甘さを、まるでリリアージュのようだと思う。リリアージュはこんなにも自分の求めることをしてくれる。ナタナエルは、自分はリリアージュに求められているものを与えられているのかと少し不安になる。
最近は特に、子離れのために距離を置いている。リリアージュから嫌われてしまったら悲しい。しかし、そんなナタナエルの不安を吹き飛ばすのもリリアージュだった。リリアージュは期待のこもった目をナタナエルに向ける。
「ねえパパ、美味しい?」
「世界一美味しい」
「ふふ、大袈裟なんだから!」
リリアージュの微笑みに、ナタナエルはやっぱり子離れはまだ無理そうだなと思いつつも、子離れすることはリリアージュのためなのだと自分に言い聞かせる。
「ねえパパ。私ね、一生懸命に頑張って素敵な皇太子になるね!それで、すっごく素敵な女帝になるの!」
「ああ、もちろんだ。たくさんの人々を助けてきたお前なら出来るよ」
「うん!それでね、パパがもう大丈夫だって安心出来るように頑張るよ!だからね、それまで見守っていてね!」
「当たり前だ。お前はこの国の宝なのだから」
ナタナエルは思わず手を伸ばしてリリアージュの頭を撫でる。はっとしたナタナエルだったが、リリアージュがあまりにも嬉しそうに笑うのでもう白旗を揚げることにした。だって無理だ。こんなに可愛いリリアージュを前に、子離れなんて出来るものか。
ルイスが呆れたようにため息を吐くのを感じながら、ナタナエルはリリアージュを抱きしめて頬とおでこにキスをする。
「ふふ、パパ。くすぐったい」
「リリアージュ、お前は俺の…この国の宝だ。ゆっくりと成長していけばいい」
「うん。でも私、頑張るよ!」
「…そうだな。そうだった。俺はお前を応援するよ」
ナタナエルはリリアージュが真剣にこのプロスペール皇国を守っていこうとしているのを知っている。だから、ナタナエルは皇帝としてリリアージュを鍛えてやらなければいけない。ただ、最近はもうリリアージュ一人でも充分になってきたが。
「パパ。私にはまだまだパパが必要だから、ずっと側にいてね。その分、パパがリリアージュはもう大丈夫だと思えるように頑張るから」
「もちろんだ」
ルイスはこれだからこの親子は…と思ったが、これからニコラとの結婚も控えるリリアージュには大切な時間気もしれないと思い直した。
ニコラの皇配教育はまだ途中だが、それでも及第点ではある。リリアージュもニコラも十八歳。そろそろ結婚しなければならないお年頃なので、結婚の準備がそろそろ始まる。実際の結婚はまだ先だが、それでもリリアージュが新しい家族を作る前にナタナエルに甘えたいと思うのはまあ自然なことだろう。
ナタナエルもそのことに思い至ったのか、少し寂しそうに笑って言った。
「でも、急にどうした?マリッジブルーか?」
「ううん。ただ、パパに喜んで欲しくて。あと、安心して欲しくて」
「そうか。ありがとう、リリアージュ」
「うん!…でも、マリッジブルーかぁ。結婚に向けて、そろそろ色々準備が始まるもんね。ルイスはニコラが手元から離れて寂しくない?」
「寂しいに決まっていますが、妻と子供達が慰めてくれますので。お二人の幸せを、心から願っておりますよ」
「ありがとう。ルイスは大人だね」
「いえいえ」
「だがまあ、ルイスはこれからも皇配となるニコラと顔を合わせる機会はたくさんあるだろう。むしろ妻と子供達の方が寂しいんじゃないか?」
「あ、そっか。そうだよね」
「妻と子供達はニコラにたまには遊びに来いと再三言っていますね」
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「家族同然の存在ですから。リリアージュ様、ニコラをよろしくお願いしますね」
「もちろんだよ」
「しかし、お前がニコラをそこまで気に入るとはな。引き取った時にはなんとも思っていなかっただろう」
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「そうか」
「はい」
「でも、ニコラはルイスの家族の一員になれて幸せだと思うな」
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こうして、結局はナタナエルはまだ子離れは出来ないという結論が出たのだった。
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