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バウム領のあれこれ
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バウム領は元はただの森だったので、都会には当然のようにある上下水道なんかはない。なので、糞尿は街の汚物処理業者に頼む他なく、業者が来るまでの間は決まった場所に捨てることとなっている。また、飲み水などの生活用水は街で毎日大量購入している。農業ギルドの使う水も当然それに含まれる。もちろん最終的な儲けは黒字だが、余りにも出費が多い。
ヴィンデンブリューテはそれをどうにかしたいと考えている。冒険者ギルドと鍛治ギルド、農業ギルドに相談した。すると、冒険者達がバウム領の居住区の真ん中に井戸を掘ってくれた。そして、鍛治ギルドの作成した道具を使いポンプ一つで水が出る便利な井戸にしてくれた。農業ギルドの方で水質調査をしてくれて、生活用水として問題ないと判断された。さらに、農業ギルドの使う農地の近くにも同じように井戸を掘ってくれて、水質調査もしてくれて、とりあえず生活用水は確保できた。
さらに鍛治ギルドは、居住区にあるトイレをボットン式ではなく水を流して捨てる都会式の物に変えて、糞尿を処理し、森を流れる川へ放流するための施設を冒険者ギルドと協力して建設してくれた。これだけでも大分衛生的であるし、出費も格段に減った。
「クロクス」
「リューテ様。どうしました?」
「みんなにも言っているのだけれど、本当にありがとう。おかげで大分衛生的になったわ。それに、出費もこんなに抑えられた」
「そうですか。よかったです。俺も苦労して掘った甲斐がありますね」
「本当にクロクス達のおかげだわ。ありがとう」
「いえいえ、かえって。むしろこんないい領地に住まわせてもらってありがとうございます」
「そんな、高床式の簡素な家しか用意できてないし…」
「ああ、その事なんですけど、ちょっと相談があって」
「なにかしら?」
「基本的にはなるべく環境破壊しないように心掛けるので、居住区に木で出来た家を建設してもいいですか?」
「え?…まあ、環境破壊しないなら…」
「どうしても多少は木を切らないといけないんですが」
「ううん…でも、そうしないとみんな住みづらいわよね。わかったわ。お願い。費用はどのくらい?」
「いえ、費用はリューテ様からはいただきません。俺たちの勝手ですから。もちろんリューテ様のために立派なお屋敷も建てますよ」
「え、悪いわ…」
「いえ。冒険者ギルドと鍛治ギルドで相談しあってお金を出し合いましたから。ね?」
「…わかったわ。本当にありがとう、クロクス」
「どういたしまして!」
こうしてバウム領はさらに発展していく。
ヴィンデンブリューテはそれをどうにかしたいと考えている。冒険者ギルドと鍛治ギルド、農業ギルドに相談した。すると、冒険者達がバウム領の居住区の真ん中に井戸を掘ってくれた。そして、鍛治ギルドの作成した道具を使いポンプ一つで水が出る便利な井戸にしてくれた。農業ギルドの方で水質調査をしてくれて、生活用水として問題ないと判断された。さらに、農業ギルドの使う農地の近くにも同じように井戸を掘ってくれて、水質調査もしてくれて、とりあえず生活用水は確保できた。
さらに鍛治ギルドは、居住区にあるトイレをボットン式ではなく水を流して捨てる都会式の物に変えて、糞尿を処理し、森を流れる川へ放流するための施設を冒険者ギルドと協力して建設してくれた。これだけでも大分衛生的であるし、出費も格段に減った。
「クロクス」
「リューテ様。どうしました?」
「みんなにも言っているのだけれど、本当にありがとう。おかげで大分衛生的になったわ。それに、出費もこんなに抑えられた」
「そうですか。よかったです。俺も苦労して掘った甲斐がありますね」
「本当にクロクス達のおかげだわ。ありがとう」
「いえいえ、かえって。むしろこんないい領地に住まわせてもらってありがとうございます」
「そんな、高床式の簡素な家しか用意できてないし…」
「ああ、その事なんですけど、ちょっと相談があって」
「なにかしら?」
「基本的にはなるべく環境破壊しないように心掛けるので、居住区に木で出来た家を建設してもいいですか?」
「え?…まあ、環境破壊しないなら…」
「どうしても多少は木を切らないといけないんですが」
「ううん…でも、そうしないとみんな住みづらいわよね。わかったわ。お願い。費用はどのくらい?」
「いえ、費用はリューテ様からはいただきません。俺たちの勝手ですから。もちろんリューテ様のために立派なお屋敷も建てますよ」
「え、悪いわ…」
「いえ。冒険者ギルドと鍛治ギルドで相談しあってお金を出し合いましたから。ね?」
「…わかったわ。本当にありがとう、クロクス」
「どういたしまして!」
こうしてバウム領はさらに発展していく。
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