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クロクスという男
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クロクスという男は、Sランクの冒険者である。Sランクとは、つまり英雄レベルということである。事実、クロクスはドラゴンを討伐したことのある本物の英雄だ。しかしながら、そのドラゴンの討伐の際に片目の視力を失った。もっとも、それでも余りあるほどの金貨が報酬として払われたが…欠損を治すハイポーションを買うよりも、余生をのんびりと過ごすことを選んだ。
そんなクロクスは、痛み止め代わりに安いポーションを求めて街へ出た。そこで、どこか不思議な雰囲気の少女がポーションを安値で売っていたので即購入。その場でぐびっと飲むと、次の瞬間には視力が回復していた。
なにが起こったのかと目を白黒させるクロクスに、その少女…ヴィンデンブリューテの精霊は、ヴィンデンブリューテのことを詳細に話した。
クロクスとヴィンデンブリューテの精霊の話を聞いていた他の元冒険者達も一斉にハイポーションを求めて群がり、みんな欠損を治した。
そんな冒険者達はクロクスを始めとして、みんなヴィンデンブリューテに感謝した。そして、ヴィンデンブリューテのために尽くそうと決意した。
クロクスは次の日、有志の冒険者一同を連れてヴィンデンブリューテのバウム領に向かう。ヴィンデンブリューテの許可を得て、バウム領に拠点を構えることとなった。
早速その日から冒険者一同は行動を開始。といっても、昔のように大量の依頼を受けてこなすだけだが。そして、儲けの一部をヴィンデンブリューテに税金として毎日納めた。クロクスはSランクの依頼もガンガンこなしていくため、バウム領はすぐに金銭面では潤うことになった。
さらに、冒険者達の動きを察知した冒険者ギルドがバウム領にやってきて支部を作ることになった。そして、支部はきちんとヴィンデンブリューテに税金を納めた。他にも鍛治ギルドがやってきて支部を作り、道具屋を開いて大盛況になる。そちらの儲けもヴィンデンブリューテに税金を納めている。さらには農業ギルドもやってきて、ここなら冒険者もいるし、魔獣に農作物を荒らされることはないだろうからここで農業をさせてくださいと懇願。ヴィンデンブリューテは自然を極力壊さない範囲でという条件付きで受け入れた。農業ギルドももちろん税金を納める。いつのまにかバウム領にたくさんの人が集まって、ヴィンデンブリューテの懐はホクホクになった。
「ヴィンデンブリューテ様のおかげで居場所も見つかったし、本当に感謝しきれません。ありがとうございます、ヴィンデンブリューテ様」
「あら、一番税金を納めてもらってる貴方…クロクスでしたわよね?クロクスにそう言ってもらえると嬉しいですわ」
「名前を覚えてくださったのですか!?」
「初期メンバーは覚えていますわ。最近では人が来過ぎてちょっとずつ覚えていますけれど」
「ヴィンデンブリューテ様…貴女という方は…」
「リューテ」
「え?」
「リューテと呼んでくださいまし。一緒にこの領を盛り上げていくのに、他人行儀は寂しいですわ」
「リューテ様…貴女に生涯の忠誠を」
「ふふ。ありがとうございます」
こうしてクロクスはバウム領を改めて大切にしていくことを誓った。
そんなクロクスは、痛み止め代わりに安いポーションを求めて街へ出た。そこで、どこか不思議な雰囲気の少女がポーションを安値で売っていたので即購入。その場でぐびっと飲むと、次の瞬間には視力が回復していた。
なにが起こったのかと目を白黒させるクロクスに、その少女…ヴィンデンブリューテの精霊は、ヴィンデンブリューテのことを詳細に話した。
クロクスとヴィンデンブリューテの精霊の話を聞いていた他の元冒険者達も一斉にハイポーションを求めて群がり、みんな欠損を治した。
そんな冒険者達はクロクスを始めとして、みんなヴィンデンブリューテに感謝した。そして、ヴィンデンブリューテのために尽くそうと決意した。
クロクスは次の日、有志の冒険者一同を連れてヴィンデンブリューテのバウム領に向かう。ヴィンデンブリューテの許可を得て、バウム領に拠点を構えることとなった。
早速その日から冒険者一同は行動を開始。といっても、昔のように大量の依頼を受けてこなすだけだが。そして、儲けの一部をヴィンデンブリューテに税金として毎日納めた。クロクスはSランクの依頼もガンガンこなしていくため、バウム領はすぐに金銭面では潤うことになった。
さらに、冒険者達の動きを察知した冒険者ギルドがバウム領にやってきて支部を作ることになった。そして、支部はきちんとヴィンデンブリューテに税金を納めた。他にも鍛治ギルドがやってきて支部を作り、道具屋を開いて大盛況になる。そちらの儲けもヴィンデンブリューテに税金を納めている。さらには農業ギルドもやってきて、ここなら冒険者もいるし、魔獣に農作物を荒らされることはないだろうからここで農業をさせてくださいと懇願。ヴィンデンブリューテは自然を極力壊さない範囲でという条件付きで受け入れた。農業ギルドももちろん税金を納める。いつのまにかバウム領にたくさんの人が集まって、ヴィンデンブリューテの懐はホクホクになった。
「ヴィンデンブリューテ様のおかげで居場所も見つかったし、本当に感謝しきれません。ありがとうございます、ヴィンデンブリューテ様」
「あら、一番税金を納めてもらってる貴方…クロクスでしたわよね?クロクスにそう言ってもらえると嬉しいですわ」
「名前を覚えてくださったのですか!?」
「初期メンバーは覚えていますわ。最近では人が来過ぎてちょっとずつ覚えていますけれど」
「ヴィンデンブリューテ様…貴女という方は…」
「リューテ」
「え?」
「リューテと呼んでくださいまし。一緒にこの領を盛り上げていくのに、他人行儀は寂しいですわ」
「リューテ様…貴女に生涯の忠誠を」
「ふふ。ありがとうございます」
こうしてクロクスはバウム領を改めて大切にしていくことを誓った。
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