2 / 2
イフルート、もしくは蛇足、ハッピーエンドルート
しおりを挟む
あの子の綺麗な心が、貴方の心の傷を癒したというのなら。
私の心の傷は、誰が癒してくださるのでしょうか。
「ルーチェ。アカリとはあくまでも聖騎士と聖女の関係だ。そこに邪な念はないと何度も言っているだろう!」
「そうですね。聖騎士として嘘がつけない貴方様がそうおっしゃるならそうなのでしょう」
「なら!」
貴方は今更、追い縋る。今更、やめてほしいと心から思う。
「心の傷を癒されたのですよね」
「…それは、そうだ。聖女であるアカリは俺の心の傷を言い当てた。そしてよく頑張りましたと、認めてくれた。俺はそれに救われた」
「だから、王国騎士から聖騎士にジョブチェンジまでして、恩返しをしている」
「…そうだ」
「邪な念はない。けれど、特別」
貴方の肩が跳ねる。
「浮気とは言いません。まっすぐで、純粋で、どこまでもひたむきな美しい想いだと称賛しましょう」
「…ルーチェ、俺はただ」
「けれどだからこそ。そこに、今更私が入り込む余地がありますか?」
「ルーチェとアカリを比較する気など俺にはない!」
貴方の言葉はいつもまっすぐで。聖騎士になる前から、嘘なんてついたことはない。だからこそ。
「では、私を愛していると言ってみせてください」
「…あ、ぁ」
続けようとしても、言葉が出てこないだろう。聖騎士は嘘はつけないのだ。
「では、アカリ様を愛していると言ってみせてください」
「…言えない」
それはそうだ!だって彼は聖騎士だから。聖女様に恋慕など許されない。絶対に。
「…では、私をいい加減解放してください。愛していないと、今貴方が証明したのですから」
「…それでも俺はお前がいい!」
「それは何故?」
地位も名誉もお金も、聖騎士にまで上り詰めた彼にはこれ以上必要ないはず。我が家は地位も名誉もお金もあるけれど、だからこそ彼にしがみつく必要もない。お互い、別れ時だ。
「誓っただろう、あの時!俺はお前を守る騎士になると!」
「今は聖女様を守る聖騎士でしょう」
「お前は俺をそばで支えてくれると言った!」
「一人で勝手に突き進んで、聖騎士にまで上り詰めたのは誰?」
彼は泣きそうな目で私を見る。
「さようなら。心から愛しています」
私が一言そう言って先に席を立つと、後ろから慟哭が聞こえた。今更何を悔やむというのか。
私は結局のところ、貴方を愛する気持ちを捨てられず独り身を貫いている。
とはいえ実家は兄が継いでおり、いつまでも頼っていてはいけないので元々興味のあったドレスのデザイナーになってみた。
五年間ほど信頼できる先生の元で住み込みで修行させていただき、最近になって昔貴方との結婚式やハネムーンのためにと貯めていた資金を使って独立した。今では修行に付き合ってくれた先生の紹介もあって結構な売れっ子である。
「あのひよっこがまさかこんなに売れっ子になるなんて。今では貴族令嬢として暮らしていた頃と変わらない生活を自分の力で送っているのでしょう?ご両親やお兄様にも認められたとか」
「はい。なんとか生計を立てることが出来るようになりました。家族も今では応援してくれています。全部先生のおかげです」
「ふふ、教え子の成長とは嬉しいものね」
先生は相変わらず優しい。そして、少しお節介だ。
「今までは触れてこなかったけど。結局、貴女は何が原因で婚約破棄してこの世界に飛び込んできたの?」
「…ここだけの話ですよ?例の…男タラシで有名なあの聖女様に、元婚約者が心を救われたとか言い出して。私を守れる男になりたいって言って王国騎士になったのに、聖女様を守りたいって言い出して努力までして聖騎士になって。聖女様はあの人の中で特別になっちゃったんです」
「あらぁ。クソじゃない。私も夫の浮気で離婚して独立したから、気持ちはわかるわ」
先生はなんだかすごく冷めた目をしている。なんだろう。
「いや、まあ、邪な念はないって言われたし浮気ではなかったのだと理解していますけどね?私我慢できなくて」
「大丈夫。わかるわ。私が呆れているのは男の方よ」
「そうですか」
先生は紅茶を優雅に飲んで、喉を潤すとまくし立てた。
「あのクソ聖女様、男タラシで有名なのにね!第一王子殿下とせっかく結婚したのに色んな男に手を出して、挙げ句の果てには聖騎士様にまで手を出そうとして!許せないわ!女の敵よ!ころっと騙されて婚約者を捨てた男どもも含めて全員地獄に落ちればいいのよ!」
「ですよね」
先生の勢いに若干押される。
「でも結局、その聖騎士から断罪されたでしょう?聖女に相応しくないと斬り殺されたらしいじゃない。お似合いの結末よね。しかも、聖女の癖に聖女としての力に目覚めてなかったから国には影響なくて、死んでからも偽聖女だって悪評が立つし。ある意味可哀想かも?予言の力は、たしかにあったはずなのにね?」
聖女の力は確かにあるのになかなか開花せず封じられたままだけど、予言を的中させみんなの心を掴んだ聖女様。そんな予言の聖女様は、結局貴方の手で天に還った。けれど国には影響はなく。貴方は聖騎士として正しいことをした、聖女を騙る悪女を倒したと英雄扱いされ、けれど遠くから見るたびに死んだ目をしている。
「その聖騎士様、実は私の元婚約者なんですよね」
「え、嘘。彼、英雄よ?ヨリ戻せば?」
「いやですよ今更」
たしかに、彼は今聖騎士で英雄。私は売れっ子デザイナー。くっつけば少なくとも表面には幸せ間違いなしだけど。
「でも、彼から迫られたらどうするのよ」
「それは…」
断り切れる自信はない。
「どうせ独り身なんだし、考えてみたら?自分からアプローチはしなくても、向こうから来たらプロポーズを受けてやってもいいかなとか」
「…そうですね」
まあ、今更ないとは思うけど。もしまたプロポーズされたなら、今度こそ意地を張らずに受け入れてもいいかもしれない。
「今日は先生と久しぶりにお話できて楽しかったです」
「私もよ。また来てね。今度は旦那様の顔を見せてくれてもいいわよ」
「もう来ません」
「冗談よ冗談!!!」
先生とからかいあいつつ別れる。女性の使用人たちを住み込みで雇い入れつつ暮らししている今の家の玄関に、呼んでもないお客様の影を見つけてしまった。
「ルッツ様」
「ルーチェ!」
私を見つけた貴方の瞳は、普段の死んだような目とは大違い。まるで大事な星を見つけた子供のよう。
「ルーチェ!頼む、この通りだ、許してほしい!もう一度俺とやり直してくれ!」
「なぜ今更?」
「お前が好きだからだ!」
「聖女様に言い寄られて幻滅して、私しか相手がいなくなりました?」
貴方の肩がびくりと跳ねる。わかりやすい。
「…いいですよ、結婚してあげても」
「え」
「そのかわり、私は今の仕事を絶対辞めません。貴方も仕事は辞めさせません。浮気は一切許しませんし〝精神的な浮気〟も認めません。裏切れば一発アウト、その時子供がいたら親権も渡しませんし面会も許しません。子供を養っていくお金くらい、稼げますしね」
「…」
「子育てや老後の生活に使うお金は心配要りません、貯金はあります。なので自分の分の生活費だけ出してくれれば結構。あとは貯金でも散財でもお好きにどうぞ。私も適度に貯金しつつたまにぱあっと散財もします。それでよろしい?」
私がそう問えば、貴方は静かに頷いた。
「もう一度、ちゃんと信頼して愛してもらえるよう努力する」
「無駄な努力だと思いますけど」
「それでもいい」
貴方は私の前に跪き、手を取りキスをしてこう言った。
「愛してる。誰よりも、君だけを」
あの時貴方が言えなかった言葉。聖騎士である貴方がそう言うのなら、それは真実なのだろう。
「…私も、愛しています。未だに、貴方だけを」
「ルーチェ…!」
「けれど同じくらい嫌悪していて、同じくらい不信感も抱いています。なので、私のそれを払拭できるよう努力してください」
「…もちろんだ」
涙で前が歪む。嬉しいのか、悔しいのか、幸せなのか、悲しいのか、わからない。ただ、努力してくれるというなら信じよう。そう思えた。
私の心の傷は、誰が癒してくださるのでしょうか。
「ルーチェ。アカリとはあくまでも聖騎士と聖女の関係だ。そこに邪な念はないと何度も言っているだろう!」
「そうですね。聖騎士として嘘がつけない貴方様がそうおっしゃるならそうなのでしょう」
「なら!」
貴方は今更、追い縋る。今更、やめてほしいと心から思う。
「心の傷を癒されたのですよね」
「…それは、そうだ。聖女であるアカリは俺の心の傷を言い当てた。そしてよく頑張りましたと、認めてくれた。俺はそれに救われた」
「だから、王国騎士から聖騎士にジョブチェンジまでして、恩返しをしている」
「…そうだ」
「邪な念はない。けれど、特別」
貴方の肩が跳ねる。
「浮気とは言いません。まっすぐで、純粋で、どこまでもひたむきな美しい想いだと称賛しましょう」
「…ルーチェ、俺はただ」
「けれどだからこそ。そこに、今更私が入り込む余地がありますか?」
「ルーチェとアカリを比較する気など俺にはない!」
貴方の言葉はいつもまっすぐで。聖騎士になる前から、嘘なんてついたことはない。だからこそ。
「では、私を愛していると言ってみせてください」
「…あ、ぁ」
続けようとしても、言葉が出てこないだろう。聖騎士は嘘はつけないのだ。
「では、アカリ様を愛していると言ってみせてください」
「…言えない」
それはそうだ!だって彼は聖騎士だから。聖女様に恋慕など許されない。絶対に。
「…では、私をいい加減解放してください。愛していないと、今貴方が証明したのですから」
「…それでも俺はお前がいい!」
「それは何故?」
地位も名誉もお金も、聖騎士にまで上り詰めた彼にはこれ以上必要ないはず。我が家は地位も名誉もお金もあるけれど、だからこそ彼にしがみつく必要もない。お互い、別れ時だ。
「誓っただろう、あの時!俺はお前を守る騎士になると!」
「今は聖女様を守る聖騎士でしょう」
「お前は俺をそばで支えてくれると言った!」
「一人で勝手に突き進んで、聖騎士にまで上り詰めたのは誰?」
彼は泣きそうな目で私を見る。
「さようなら。心から愛しています」
私が一言そう言って先に席を立つと、後ろから慟哭が聞こえた。今更何を悔やむというのか。
私は結局のところ、貴方を愛する気持ちを捨てられず独り身を貫いている。
とはいえ実家は兄が継いでおり、いつまでも頼っていてはいけないので元々興味のあったドレスのデザイナーになってみた。
五年間ほど信頼できる先生の元で住み込みで修行させていただき、最近になって昔貴方との結婚式やハネムーンのためにと貯めていた資金を使って独立した。今では修行に付き合ってくれた先生の紹介もあって結構な売れっ子である。
「あのひよっこがまさかこんなに売れっ子になるなんて。今では貴族令嬢として暮らしていた頃と変わらない生活を自分の力で送っているのでしょう?ご両親やお兄様にも認められたとか」
「はい。なんとか生計を立てることが出来るようになりました。家族も今では応援してくれています。全部先生のおかげです」
「ふふ、教え子の成長とは嬉しいものね」
先生は相変わらず優しい。そして、少しお節介だ。
「今までは触れてこなかったけど。結局、貴女は何が原因で婚約破棄してこの世界に飛び込んできたの?」
「…ここだけの話ですよ?例の…男タラシで有名なあの聖女様に、元婚約者が心を救われたとか言い出して。私を守れる男になりたいって言って王国騎士になったのに、聖女様を守りたいって言い出して努力までして聖騎士になって。聖女様はあの人の中で特別になっちゃったんです」
「あらぁ。クソじゃない。私も夫の浮気で離婚して独立したから、気持ちはわかるわ」
先生はなんだかすごく冷めた目をしている。なんだろう。
「いや、まあ、邪な念はないって言われたし浮気ではなかったのだと理解していますけどね?私我慢できなくて」
「大丈夫。わかるわ。私が呆れているのは男の方よ」
「そうですか」
先生は紅茶を優雅に飲んで、喉を潤すとまくし立てた。
「あのクソ聖女様、男タラシで有名なのにね!第一王子殿下とせっかく結婚したのに色んな男に手を出して、挙げ句の果てには聖騎士様にまで手を出そうとして!許せないわ!女の敵よ!ころっと騙されて婚約者を捨てた男どもも含めて全員地獄に落ちればいいのよ!」
「ですよね」
先生の勢いに若干押される。
「でも結局、その聖騎士から断罪されたでしょう?聖女に相応しくないと斬り殺されたらしいじゃない。お似合いの結末よね。しかも、聖女の癖に聖女としての力に目覚めてなかったから国には影響なくて、死んでからも偽聖女だって悪評が立つし。ある意味可哀想かも?予言の力は、たしかにあったはずなのにね?」
聖女の力は確かにあるのになかなか開花せず封じられたままだけど、予言を的中させみんなの心を掴んだ聖女様。そんな予言の聖女様は、結局貴方の手で天に還った。けれど国には影響はなく。貴方は聖騎士として正しいことをした、聖女を騙る悪女を倒したと英雄扱いされ、けれど遠くから見るたびに死んだ目をしている。
「その聖騎士様、実は私の元婚約者なんですよね」
「え、嘘。彼、英雄よ?ヨリ戻せば?」
「いやですよ今更」
たしかに、彼は今聖騎士で英雄。私は売れっ子デザイナー。くっつけば少なくとも表面には幸せ間違いなしだけど。
「でも、彼から迫られたらどうするのよ」
「それは…」
断り切れる自信はない。
「どうせ独り身なんだし、考えてみたら?自分からアプローチはしなくても、向こうから来たらプロポーズを受けてやってもいいかなとか」
「…そうですね」
まあ、今更ないとは思うけど。もしまたプロポーズされたなら、今度こそ意地を張らずに受け入れてもいいかもしれない。
「今日は先生と久しぶりにお話できて楽しかったです」
「私もよ。また来てね。今度は旦那様の顔を見せてくれてもいいわよ」
「もう来ません」
「冗談よ冗談!!!」
先生とからかいあいつつ別れる。女性の使用人たちを住み込みで雇い入れつつ暮らししている今の家の玄関に、呼んでもないお客様の影を見つけてしまった。
「ルッツ様」
「ルーチェ!」
私を見つけた貴方の瞳は、普段の死んだような目とは大違い。まるで大事な星を見つけた子供のよう。
「ルーチェ!頼む、この通りだ、許してほしい!もう一度俺とやり直してくれ!」
「なぜ今更?」
「お前が好きだからだ!」
「聖女様に言い寄られて幻滅して、私しか相手がいなくなりました?」
貴方の肩がびくりと跳ねる。わかりやすい。
「…いいですよ、結婚してあげても」
「え」
「そのかわり、私は今の仕事を絶対辞めません。貴方も仕事は辞めさせません。浮気は一切許しませんし〝精神的な浮気〟も認めません。裏切れば一発アウト、その時子供がいたら親権も渡しませんし面会も許しません。子供を養っていくお金くらい、稼げますしね」
「…」
「子育てや老後の生活に使うお金は心配要りません、貯金はあります。なので自分の分の生活費だけ出してくれれば結構。あとは貯金でも散財でもお好きにどうぞ。私も適度に貯金しつつたまにぱあっと散財もします。それでよろしい?」
私がそう問えば、貴方は静かに頷いた。
「もう一度、ちゃんと信頼して愛してもらえるよう努力する」
「無駄な努力だと思いますけど」
「それでもいい」
貴方は私の前に跪き、手を取りキスをしてこう言った。
「愛してる。誰よりも、君だけを」
あの時貴方が言えなかった言葉。聖騎士である貴方がそう言うのなら、それは真実なのだろう。
「…私も、愛しています。未だに、貴方だけを」
「ルーチェ…!」
「けれど同じくらい嫌悪していて、同じくらい不信感も抱いています。なので、私のそれを払拭できるよう努力してください」
「…もちろんだ」
涙で前が歪む。嬉しいのか、悔しいのか、幸せなのか、悲しいのか、わからない。ただ、努力してくれるというなら信じよう。そう思えた。
1,604
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(12件)
あなたにおすすめの小説
婚約者の心の声が聞こえるようになったが手遅れだった
神々廻
恋愛
《めんどー、何その嫌そうな顔。うっざ》
「殿下、ご機嫌麗しゅうございます」
婚約者の声が聞こえるようになったら.........婚約者に罵倒されてた.....怖い。
全3話完結
【完結】あなた方は信用できません
玲羅
恋愛
第一王子から婚約破棄されてしまったラスナンド侯爵家の長女、ファシスディーテ。第一王子に寄り添うはジプソフィル子爵家のトレニア。
第一王子はひどい言いがかりをつけ、ファシスディーテをなじり、断罪する。そこに救いの手がさしのべられて……?
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。
BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。
だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。
女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね?
けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。
悪役令嬢の大きな勘違い
神々廻
恋愛
この手紙を読んでらっしゃるという事は私は処刑されたと言う事でしょう。
もし......処刑されて居ないのなら、今はまだ見ないで下さいまし
封筒にそう書かれていた手紙は先日、処刑された悪女が書いたものだった。
お気に入り、感想お願いします!
婚約者はうちのメイドに夢中らしい
神々廻
恋愛
ある日突然、私にイケメンでお金持ちで、家柄も良い方から婚約の申込みが来た。
「久しぶり!!!会いたかった、ずっと探してたんだっ」
彼は初恋の元貴族の家のメイドが目的だった。
「ということで、僕は君を愛さない。がしかし、僕の愛する彼女は貴族ではなく、正妻にすることが出来ない。だから、君を正妻にして彼女を愛人という形で愛し合いたい。わかってくれ、それに君にとっても悪い話ではないだろう?」
いや、悪いが!?
婚約破棄しますので、関わらないで下さい
神々廻
恋愛
「ここでキリルはカタリナとの婚約を破棄することを宣言するッ!」
今日は国の第3王女であるエバが他国に嫁ぐため、最後のお別れをするためのパーティが開かれていた。
「お父様、私。やはり結婚したくありませんっ!私は彼と結婚したいのです!」
「わかったかカタリナ!お前が居るせいで俺とエバは一緒になれない。早く婚約破棄を認めろ!」
キリルはカタリナを睨んだ。
「私、カタリナがキリルとの婚約破棄を認めます。ですので、もう帰ってよろしいですか?」
私よりも姉を好きになった婚約者
神々廻
恋愛
「エミリー!お前とは婚約破棄し、お前の姉のティアと婚約する事にした!」
「ごめんなさい、エミリー.......私が悪いの、私は昔から家督を継ぐ様に言われて貴方が羨ましかったの。それでっ、私たら貴方の婚約者のアルに恋をしてしまったの.......」
「ティア、君は悪くないよ。今まで辛かったよな。だけど僕が居るからね。エミリーには僕の従兄弟でティアの元婚約者をあげるよ。それで、エミリーがティアの代わりに家督を継いで、僕の従兄と結婚する。なんて素敵なんだろう。ティアは僕のお嫁さんになって、2人で幸せな家庭を築くんだ!」
「まぁ、アルったら。家庭なんてまだ早いわよ!」
このバカップルは何を言っているの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
※承認不要です!
1話目で
「それはそうだ!だった彼は聖騎士」
「だった」→「だって」
if ルートはちゃんと「だって」になってます。
※承認不要です!
身勝手なのは、この女性でした~。
元恋人が好きなくせに別の人と結婚して見切りすら付けないくせに自覚してるのかしてないのか、「それ」ごと愛してくれる人に、そうしてくれるよう仕向けてるってことでしょう。残酷な女。
感想ありがとうございます。残酷ですね。
どちらの結末も、「愛の反対は憎しみではなく無関心」ですよね。
どちらのルートでも、愛も憎しみもなくならなかった二人というのが、いいと思います。
ネットのライト小説ではバッキリ、ハッピーエンド+ざまぁが多いけど、普通の小説だと女主人公が諦めて心の中では悶々としているというのはありそうですし。
感想ありがとうございます。たまにはこういうお話もアリ…だと嬉しいです!