稀代の英雄に求婚された少年が、嫌われたくなくて逃げ出すけどすぐ捕まる話

こぶじ

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後日談

【後日談12】帰宅3(セブ視点)

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 力任せに寝台の中央に引き上げて押し倒し、その口腔を味わいながら、衣服を捲り薄っすらと筋肉の乗った薄い腹に手を滑らせる。この奥まで捩じ込んで激しく突き上げて犯したい。こんな肚奥にまで私を感じて善がる場所があるのだ。何と健気なことだろう。
 口付けの合間に上衣を全て剥ぎ取り、平靴を脱がせ、私自身も旅装の騎士服を脱ぎ捨て寝台の下に放っていく。私の体躯に合わせて作らせた大振りの直剣の鞘が床に叩きつけられて派手な音を立てると、ハバトは持ち前の怯懦を発揮して身体を跳ねさせた。それを強く押さえつけて更に肌を暴いていく。
 快楽に弱いハバトの陰茎はすでに兆していて、下衣越しにそれを撫でるとか弱い嬌声を上げる。久しい行為の為か、より感度が高く好ましい。
 寝台横の収納から使い慣れた衛生潤滑油の小瓶を取り出すと、先程まで表情を蕩けさせていたハバトが不意に「あっ、待って。聞いて」と慌てた様子で、小瓶を持つ私の手を制した。
 これだけ煽られて、待てるわけがない。
 制止を無視して、抵抗するハバトの両手首を片手でまとめ上げた。ハバトでは決して振り解けない強さで拘束する。多少は暴れるかと予想していたが、想定外にハバトは身体の力を抜き、自身の自由を完全に明け渡した。それが私の征服欲を上手く満たし、少しばかりなら話を聞いてやってもいいと考えを改めた。しばしの黙考の後、腕を開放する。

「あの、俺セブさんに謝らなきゃいけないことがあるんです…」

「なんだ」

 ハバトは自身の下衣の腰紐を緩めて脱ぎ捨てると、大胆にも私の手を自身の陰茎へと導いた。ハバトの緩く勃ち上がった陰茎を手のひらで包み込むと、敏感な彼は小さく鼻にかかった吐息を吐いた。

「この奥、触って」

 微かな違和感を覚えながら、言われるがままに陰囊の下に伸ばした指先が、不意にひたりと濡れた。静かに驚きつつも、それ以上の下卑た期待感が胸の奥から込み上げてくる。
 ハバトの次の言葉を待たずに陰囊下を強く押すと、ぬるりと温かな肉間に指先が沈み、ハバトの呼吸が荒くなった。加虐心が湧いて「これは何だ」と馬鹿らしいことを聞いてしまう。そんなこと、わかりきっているというのに。
 睫毛を湿らせた薄茶色の瞳が羞恥で揺れている。

「赤ちゃん産める穴、作っちゃった」

 眉尻を下げてお得意の「ごめんなさい」を呟く。そして、徐ろに自身の両膝を持ち上げて細い脚を開いた。言うまでもなく、挿入の際の体位だ。

「…セブさんはどっちに挿れたい?」

 細やかな悪戯を白状するような控えめな声で、とろりと艶やかなに微笑む様は、私にとっては正に魔女だった。そのような誘惑をされては一溜まりもなく、理性が無様に崩れ落ちていく。

「君は、私を狂わせるつもりか?」

 頭の芯が酷く熱を持ち、どす黒い欲を孕んだ重い息を吐いた。

「セブさん、怒ってますか?」

「怒るわけがない」

「じゃあ、なんで…」

 そんな恐ろしい顔をしているのだ、と尋ねたいのだろう。愛おしい魔女の痴態に狂わされて、表情を繕う余裕など疾うに失くした。ただそれだけのことだ。

「どちらもだ」

「え……あっ、ンッ!」

 しとど濡れた膣に指を沈ませると、私の魔女はあうあうとよく啼いた。想像通り、この中も頗る敏感なようだった。

「どちらも私の為の穴なのだろう?」

 ゆっくり拓かせるように丁寧に中を掻き交ぜると、身体を震わせ嬌声をあげながら健気に何度も頷く。

「ならば、存分に好きにさせてもらおう」

 ハバトの膝裏を掴んで更に臀部を持ち上げ、恥部を全て曝け出させる。陰囊と肛門の間の僅かな隙間に慎ましやかな小振りな割れ目がある。とても狭く、心地が良さそうなそれには、非常に小さな肉芽も付いており、愛液を塗り込めるように強く押し潰すと大きく全身を跳ねさせた。ハバトが快感を拾っている間に、膣に差し込んだ指を増やして左右に押し開く。しっとりとした淫靡な肉の覗くそこに、醜悪な程に熱り立った陰茎を押し当て、ゆっくりと穿っていく。

「あ、セブ、さん、はっ、あっ、ああっ、あああ」

 柔らかい肉筒は一方ならない狭さだが、よく泥濘んで私を受け入れる。呼吸もままならず息も絶え絶えなハバトを追い込むように深く深く口付けると、苦しげにもそれに応える様は酷くいじらしく、私の欲を更に煽る。何度も「愛している」と耳元に吹き込みながら緩やかに揺さぶると、すぐにハバトは声もなく身体を強張らせて達した。膣壁は痙攣しているが、ハバトの陰茎は射精していない。
 甘く弱い絶頂を繰り返しているらしいその膣内から未だに猛っている陰茎を引き抜くと、ハバトは目に見えて安堵の息をついて表情を緩めた。素直なその反応が愛おしくて口の端が上がる。
 この程度で、終わるわけがないというのに。
 弛緩した身体をうつ伏せに転がすと、ハバトから「なに?」と戸惑いの混じった細い声が出た。それには答えず、両膝を付かせて小振りな尻を高く上げさせる。それでやっと、何をされるか理解したらしいハバトが私の名を呼んで再度待てを掛ける。

「今、中がぞわぞわしてるから、代わりに口でさせて…」

 何とも愛らしい懇願が為されるが、残念なことにそれがまた私を酷く嗜虐的にする。

「駄目だ」

 決して逃げられないように強く腰を掴んで一気に膣奥を貫くと、絹を裂くような嬌声が上がる。ハバトの手が苦しげにも寝台のシーツを掻くのを、痙攣し続ける中を無慈悲に抉りながら見下ろす。

 肥大し歪んだ醜い私の念いを満たせるのはハバトだけだ。このあられもないハバトの姿を見ることも、その身体を弄ぶことも、ハバトから許されているのは私だけだ。私の為だけにハバトはここまで自らを差し出す。
 もっと、奪ってしまいたくて堪らなくなる。君は、私に全てを奪われたとしても許すのだろう。

「…出すぞ」

 絶え間なく喘ぎながらも、私の言葉に確と頷く。腰を速めると、彼は藻掻き身体を大きく跳ねさせた。また達したらしかったが、それに構わずに強く穿ち最奥に精液を注いだ。私の射精の気配を察した私の魔女は、極小さな声で「嬉しい」とぼんやり零した。

「…子が欲しいか?」

 幼子のように何度も首肯するのが愛らしくも、私がいるだけでは物足りないのかと大いに妬ける。
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