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「……え、今? えっとね、今居ないんだよね。というか、しばらく帰ってこない予定で。え? いやいや、失踪とかじゃないから。心配しないで。今日から幼馴染の人と住む場所交換しててさ」
「――フッ」
「住む場所交換しててさ」という美咲のセリフの響きが、夏弥のなかでジワジワと笑えてきていた。
ただ夏弥は、その美咲の会話を聞いていて、少し嫌な予感もしていた。
(この同居人のチェンジって、もしかして他人にバレたら結構まずいんじゃ……)
何がまずいのか、それは夏弥の中でもはっきりとはしていない。
しかし、ただでさえ気難しい思春期の高校生。
血の繋がりがあるわけでもない思春期の男女が、1LDKに同居。
そんなものは、端からみれば当然いかがわしさを極めているわけで。
そんないかがわしいトピックを、多感すぎるお年頃の女子高生が取り上げないわけもない。
夏弥は、引き戸の方をじっと見つめ、美咲の次の言葉に聞き耳を立てていた。
「うん。え……いや、それはどうだろ。名前はね、夏弥さんっていうんだけど。藤堂夏弥さん。え? ドーナツ屋さん? あ、小っちゃい頃にそんな事言ってふざけてた覚えあるけど。もう! 思い出しちゃったじゃん。とにかく、それ今度訊いてみる。うん。それでさ――」
聞き捨てならない単語が夏弥の耳に入ってくる。
「ドーナツ屋さん」と、夏弥は噛みしめるようにして小さく復唱した。
勝手に名前をあげられた事はさほど気にならなかったけれど、藤堂夏弥という自分の名前に含まれているその単語は、小さい頃に夏弥が嫌というほど耳にしてきた単語だった。
小学校に入学したばかりの桜も開く四月頃。
まだ夏弥が洋平と知り合う前のことだ。
この名前のせいで、自己紹介の時に盛大にからかわれたのである。
一人の男子が「とう、ドーナツ屋? おまえ、ドーナツ屋っていうのか!」と言い出した事で、クラス中がけたたましい笑いに包まれた。
まだ小さかった夏弥は、すぐに心細くなっていった。
春の陽の光が優しく降りそそぐ教室に、子供達の明るい声と笑顔。
外側からフラットに描写してみると、それらはすごく穏やかで魅力にあふれている。
けれど、もっとも内側に位置する夏弥の心の部分だけは、ちっとも穏やかじゃないし、本人はその周囲の雰囲気に心を押し潰されてしまいそうだった。
ただ、物語はそこで幕を引かなかった。
クラスメイト達が笑い声をあげる中、一人だけ彼をかばってくれた男の子がいたのだ。
「バカにすんなよ! ドーナツ、うまいじゃん!」
「へ?」
教室中に響き渡るその大声に、クラス中がしーんとなった。
小学校一年生の教室が、ここまで水を打ったようにしーんとなるなんて、誰も予想できなかっただろう。
それ以降、この出来事は「ドーナツ珍事件」として、ひそかに同校で語り継がれることになった。
たぶん、彼はかばってくれたのだ。
今となっては、夏弥をかばったのか、ドーナツをかばったのかわからない。
それは、彼と神のみぞ知るところだ。
ピントのズレた、的外れな言い返しだった気もする。
それでも、夏弥が子供心に生まれてはじめて感動体験をしたこと。そのことに違いはなかった。
きっかけがそのドーナツ珍事件だったかは果たして怪しい。が、彼はそれ以降、夏弥とよく話すようになった。よく遊ぶようになった。
二人は、くだらない話でふざけあう仲になった。
その後、たびたびクラスメイト達から夏弥はからかわれるのだが。
それでも、彼が居てくれたおかげで、夏弥はつつがなくありふれた小学校時代を送れたといっていいかもしれない。中学時代も以下同文。
そしてその彼は今、夏弥と同じように県立の高校へ通う身となって、バラ色のハイスクールライフを送り続けている。
その彼の名は鈴川洋平。夏弥の中でもどこか憎めない、引きちぎれない腐れ縁。
校内トップレベルに君臨する、眉目秀麗で気さくなイケメン君だ。
(懐かしいな……)
夏弥はそんなちょっとした思い出に浸り、どこか感傷的になっていた。その時だった。
ゆっくりと音を立てて、美咲の部屋の引き戸が開けられたのである。
「……」
引き戸の隙間から、美咲はちょこっとだけその綺麗な顔を出して夏弥を見つめていた。
何もしゃべらず、借りてきた猫のようにおとなしくしている。
そんな美咲に、夏弥はたまらず質問した。
「え、何?」
「もしかして聞こえてた?」
「全然」
「ふぅん……まぁいいけど」
美咲の放ったその声は忍法みたいに別物だった。
さっきまでのきゃわわなガールズトークモードはどこへ溶けたというのか。
冷たい静けさが二人のあいだに流れたかと思うと、美咲は部屋から出て夏弥のほうへ歩み寄ってくる。
「さっき、食材のビニール袋にレシート入ってたから計算しておいたの。これ、お金置いておくね?」
また事務的に美咲はそう言って、ローテーブルの上に食材費の半分を差し出してきたのだった。
「ああ。じゃあもらうね」
(俺達にとっての割り勘は、フェアに暮らすための一つのルールだ。俺と洋平が、互いに暮らしていた場所を使用すると決めた時、ルールを設けたように。俺と美咲のあいだにもルールを設けるべきだ。初めは遠慮してたけど、こっちのルールこそ大切かもしれない)
美咲はそれから、脱衣室の方へ踵を返していった。
「もう歯みがきして寝るから」
「え? もう寝るの? まだ八時過ぎだけど」
リビングの壁掛け時計に目を向け、夏弥は驚きながら言った。
「いや、本当に寝るわけないじゃん」
彼女はすげなくそう言い捨てて、目的の洗面台がある脱衣室の中へ入っていったのだった。
夏弥は一瞬、美咲が何を言っているのか理解できなかった。
ただこれは、夏弥の察しが悪かったから起きたことだ。
美咲が若干うっとうしそうにしていた態度から、夏弥はそれを汲み取る。
(普通に睡眠を取るとか、横になるって意味じゃなくて、暗に示された別の意味があったのか……?)
鈍いなりに、夏弥はそう推察する。
この場合なら「このまま朝まで顔を合わせない」「夜は静かに過ごしたいからうるさくしないで」など。裏に込められた意味は、そんな所だったのかもしれない。
(もしかして、洋平にはその言葉で通じていたから、思わず俺にもそのまま使ってこうなったって事? だとしたら俺って……)
誰が悪いというわけでもないけれど、夏弥は少しだけ悲しい気持ちになった。
こうした所で、自分は冴えないんだと痛感する。
夏弥がしょんぼりと肩を落としていると、脱衣室から再び現れた美咲が彼の視界をスタスタと横切っていく。動きにあわせ、艶のあるショートボブの茶髪が揺れていて。
美咲は、自分の部屋の引き戸の前に立ち、夏弥に背を向けて静止した。
「カッ……」
「?」
夏弥に背を向けたままの美咲が、そのまま何かを言おうとしているようだった。
「カレー。それなりだった。ごちそうさま」
「え」
美咲はそう言って、部屋の中へ戻っていってしまったのだった。
三つの言葉を無理やり繋げたようなそのセリフ。
たん、たん、たん、と手拍子でとった音みたいで、リビングには音の余韻だけが残されていた。
あまりに短い出来事で、夏弥がまともに何かを言う間もなかった。
そのまま一人取り残されたような形になった夏弥は、閉められた美咲の部屋の引き戸をただ見つめる。
「はぁ、そうか。……それなりね」
夏弥はぼんやりと美咲の言葉を反芻していた。
「それなり」という評価は決して良いものじゃないはずなのに、夏弥の気分はほっこりとしていた。それこそ、ホームドラマの結びでエンディングソングが掛かりだしたかのようだった。
その後、夏弥は脱衣室の乾燥機から、すっかり乾いていた自分の衣類を取り出して。
その衣類は、天日干ししたふとんのようにすこやかで素敵な匂いがしていた。
「――フッ」
「住む場所交換しててさ」という美咲のセリフの響きが、夏弥のなかでジワジワと笑えてきていた。
ただ夏弥は、その美咲の会話を聞いていて、少し嫌な予感もしていた。
(この同居人のチェンジって、もしかして他人にバレたら結構まずいんじゃ……)
何がまずいのか、それは夏弥の中でもはっきりとはしていない。
しかし、ただでさえ気難しい思春期の高校生。
血の繋がりがあるわけでもない思春期の男女が、1LDKに同居。
そんなものは、端からみれば当然いかがわしさを極めているわけで。
そんないかがわしいトピックを、多感すぎるお年頃の女子高生が取り上げないわけもない。
夏弥は、引き戸の方をじっと見つめ、美咲の次の言葉に聞き耳を立てていた。
「うん。え……いや、それはどうだろ。名前はね、夏弥さんっていうんだけど。藤堂夏弥さん。え? ドーナツ屋さん? あ、小っちゃい頃にそんな事言ってふざけてた覚えあるけど。もう! 思い出しちゃったじゃん。とにかく、それ今度訊いてみる。うん。それでさ――」
聞き捨てならない単語が夏弥の耳に入ってくる。
「ドーナツ屋さん」と、夏弥は噛みしめるようにして小さく復唱した。
勝手に名前をあげられた事はさほど気にならなかったけれど、藤堂夏弥という自分の名前に含まれているその単語は、小さい頃に夏弥が嫌というほど耳にしてきた単語だった。
小学校に入学したばかりの桜も開く四月頃。
まだ夏弥が洋平と知り合う前のことだ。
この名前のせいで、自己紹介の時に盛大にからかわれたのである。
一人の男子が「とう、ドーナツ屋? おまえ、ドーナツ屋っていうのか!」と言い出した事で、クラス中がけたたましい笑いに包まれた。
まだ小さかった夏弥は、すぐに心細くなっていった。
春の陽の光が優しく降りそそぐ教室に、子供達の明るい声と笑顔。
外側からフラットに描写してみると、それらはすごく穏やかで魅力にあふれている。
けれど、もっとも内側に位置する夏弥の心の部分だけは、ちっとも穏やかじゃないし、本人はその周囲の雰囲気に心を押し潰されてしまいそうだった。
ただ、物語はそこで幕を引かなかった。
クラスメイト達が笑い声をあげる中、一人だけ彼をかばってくれた男の子がいたのだ。
「バカにすんなよ! ドーナツ、うまいじゃん!」
「へ?」
教室中に響き渡るその大声に、クラス中がしーんとなった。
小学校一年生の教室が、ここまで水を打ったようにしーんとなるなんて、誰も予想できなかっただろう。
それ以降、この出来事は「ドーナツ珍事件」として、ひそかに同校で語り継がれることになった。
たぶん、彼はかばってくれたのだ。
今となっては、夏弥をかばったのか、ドーナツをかばったのかわからない。
それは、彼と神のみぞ知るところだ。
ピントのズレた、的外れな言い返しだった気もする。
それでも、夏弥が子供心に生まれてはじめて感動体験をしたこと。そのことに違いはなかった。
きっかけがそのドーナツ珍事件だったかは果たして怪しい。が、彼はそれ以降、夏弥とよく話すようになった。よく遊ぶようになった。
二人は、くだらない話でふざけあう仲になった。
その後、たびたびクラスメイト達から夏弥はからかわれるのだが。
それでも、彼が居てくれたおかげで、夏弥はつつがなくありふれた小学校時代を送れたといっていいかもしれない。中学時代も以下同文。
そしてその彼は今、夏弥と同じように県立の高校へ通う身となって、バラ色のハイスクールライフを送り続けている。
その彼の名は鈴川洋平。夏弥の中でもどこか憎めない、引きちぎれない腐れ縁。
校内トップレベルに君臨する、眉目秀麗で気さくなイケメン君だ。
(懐かしいな……)
夏弥はそんなちょっとした思い出に浸り、どこか感傷的になっていた。その時だった。
ゆっくりと音を立てて、美咲の部屋の引き戸が開けられたのである。
「……」
引き戸の隙間から、美咲はちょこっとだけその綺麗な顔を出して夏弥を見つめていた。
何もしゃべらず、借りてきた猫のようにおとなしくしている。
そんな美咲に、夏弥はたまらず質問した。
「え、何?」
「もしかして聞こえてた?」
「全然」
「ふぅん……まぁいいけど」
美咲の放ったその声は忍法みたいに別物だった。
さっきまでのきゃわわなガールズトークモードはどこへ溶けたというのか。
冷たい静けさが二人のあいだに流れたかと思うと、美咲は部屋から出て夏弥のほうへ歩み寄ってくる。
「さっき、食材のビニール袋にレシート入ってたから計算しておいたの。これ、お金置いておくね?」
また事務的に美咲はそう言って、ローテーブルの上に食材費の半分を差し出してきたのだった。
「ああ。じゃあもらうね」
(俺達にとっての割り勘は、フェアに暮らすための一つのルールだ。俺と洋平が、互いに暮らしていた場所を使用すると決めた時、ルールを設けたように。俺と美咲のあいだにもルールを設けるべきだ。初めは遠慮してたけど、こっちのルールこそ大切かもしれない)
美咲はそれから、脱衣室の方へ踵を返していった。
「もう歯みがきして寝るから」
「え? もう寝るの? まだ八時過ぎだけど」
リビングの壁掛け時計に目を向け、夏弥は驚きながら言った。
「いや、本当に寝るわけないじゃん」
彼女はすげなくそう言い捨てて、目的の洗面台がある脱衣室の中へ入っていったのだった。
夏弥は一瞬、美咲が何を言っているのか理解できなかった。
ただこれは、夏弥の察しが悪かったから起きたことだ。
美咲が若干うっとうしそうにしていた態度から、夏弥はそれを汲み取る。
(普通に睡眠を取るとか、横になるって意味じゃなくて、暗に示された別の意味があったのか……?)
鈍いなりに、夏弥はそう推察する。
この場合なら「このまま朝まで顔を合わせない」「夜は静かに過ごしたいからうるさくしないで」など。裏に込められた意味は、そんな所だったのかもしれない。
(もしかして、洋平にはその言葉で通じていたから、思わず俺にもそのまま使ってこうなったって事? だとしたら俺って……)
誰が悪いというわけでもないけれど、夏弥は少しだけ悲しい気持ちになった。
こうした所で、自分は冴えないんだと痛感する。
夏弥がしょんぼりと肩を落としていると、脱衣室から再び現れた美咲が彼の視界をスタスタと横切っていく。動きにあわせ、艶のあるショートボブの茶髪が揺れていて。
美咲は、自分の部屋の引き戸の前に立ち、夏弥に背を向けて静止した。
「カッ……」
「?」
夏弥に背を向けたままの美咲が、そのまま何かを言おうとしているようだった。
「カレー。それなりだった。ごちそうさま」
「え」
美咲はそう言って、部屋の中へ戻っていってしまったのだった。
三つの言葉を無理やり繋げたようなそのセリフ。
たん、たん、たん、と手拍子でとった音みたいで、リビングには音の余韻だけが残されていた。
あまりに短い出来事で、夏弥がまともに何かを言う間もなかった。
そのまま一人取り残されたような形になった夏弥は、閉められた美咲の部屋の引き戸をただ見つめる。
「はぁ、そうか。……それなりね」
夏弥はぼんやりと美咲の言葉を反芻していた。
「それなり」という評価は決して良いものじゃないはずなのに、夏弥の気分はほっこりとしていた。それこそ、ホームドラマの結びでエンディングソングが掛かりだしたかのようだった。
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