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1 結婚相手の家族について
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両家顔合わせの食事会。
もう、朝っぱらからうんざりよ。
「まあまあ、ヴィクトリヤ! 黄色のドレスなんて着るの!?」
「おかしいわよね、お母様!」
「黄色なんて駄目よ。ドレスはやっぱり菫色!」
菫色が素敵なのは認めるけど、髪まで菫色に染めなくてもいいのに。
婚約者ウスターシュ・マラチエの母親エクトル伯爵夫人メリンダは、ほどよい一線を越えてふくよかな貴婦人だ。若い頃は痩せていて、華奢で可愛らしい顔立ちだったのは娘のジャニスが証明している。
「本当にこんな変わった方が婚約者なんて、ウスターシュもがっかりね!」
ジャニスはウスターシュの姉。
ウスターシュと私より、3才上。母親と同じドレス。
「ヴィクトリヤ、すまない。本当にすまない。母も姉も世の中を知らないんだ」
「大丈夫よ、ウスターシュ。性格が合って趣味が合って同い年の伯爵令息と結婚できて、さらに相手の親きょうだいまで素晴らしい人だなんて御伽噺のなかにだってないもの。心得ているわ」
父親同士が政治の話をしている。
まさかエクトル伯爵の妻と娘が、ここまで摩訶不思議な母娘とは思ってもみなかった。息子の評判がすこぶる良かっただけに、盲点だわ。
「要はどれくらい我慢できるかという事と、どれくらいあしらえるかよ」
「信じてくれ、ヴィクトリヤ。僕と父にとって、君はメシアなんだ」
「やめて。そういうの重いわ」
ウスターシュとは目が合った瞬間から運命を感じていた。
彼は誠実で物静か、思慮深く公正、顔の造形や体形も心をくすぐるところがあるし、なにより科学の話ができるのがいい。近年、王都で研究が進んでいる科学はとても画期的で、新しい発見には興奮させられっぱなし。
「まあ、やだ。女が男に意見するものじゃありませんよ、ヴィクトリヤ」
「母様。ヴィクトリヤは僕の妻になる女性だ。僕が意見を聞きたいんだよ」
「あなたは優しいから。ウスターシュ、遠慮してはだめ。癖になるわ」
「黙ってくれ、ジャニス」
はあ、先が思いやられる。
「僕はヴィクトリヤに遠慮してない。尊重すべき女性だ」
「まあ! あたくしよりよその娘の肩を持つの!?」
「母様、ヴィクトリヤは〝よその娘〟じゃない。僕の妻になる女性だ」
「もう! お母様に口答えするような子じゃなかったのに!」
「ジャニス! 頼むからもう黙ってくれ!」
……忍耐が必要だけど、殺人鬼じゃないだけましね。
「ふんっ! 変なドレス!!」
「……」
忍耐が試されている。
もう、朝っぱらからうんざりよ。
「まあまあ、ヴィクトリヤ! 黄色のドレスなんて着るの!?」
「おかしいわよね、お母様!」
「黄色なんて駄目よ。ドレスはやっぱり菫色!」
菫色が素敵なのは認めるけど、髪まで菫色に染めなくてもいいのに。
婚約者ウスターシュ・マラチエの母親エクトル伯爵夫人メリンダは、ほどよい一線を越えてふくよかな貴婦人だ。若い頃は痩せていて、華奢で可愛らしい顔立ちだったのは娘のジャニスが証明している。
「本当にこんな変わった方が婚約者なんて、ウスターシュもがっかりね!」
ジャニスはウスターシュの姉。
ウスターシュと私より、3才上。母親と同じドレス。
「ヴィクトリヤ、すまない。本当にすまない。母も姉も世の中を知らないんだ」
「大丈夫よ、ウスターシュ。性格が合って趣味が合って同い年の伯爵令息と結婚できて、さらに相手の親きょうだいまで素晴らしい人だなんて御伽噺のなかにだってないもの。心得ているわ」
父親同士が政治の話をしている。
まさかエクトル伯爵の妻と娘が、ここまで摩訶不思議な母娘とは思ってもみなかった。息子の評判がすこぶる良かっただけに、盲点だわ。
「要はどれくらい我慢できるかという事と、どれくらいあしらえるかよ」
「信じてくれ、ヴィクトリヤ。僕と父にとって、君はメシアなんだ」
「やめて。そういうの重いわ」
ウスターシュとは目が合った瞬間から運命を感じていた。
彼は誠実で物静か、思慮深く公正、顔の造形や体形も心をくすぐるところがあるし、なにより科学の話ができるのがいい。近年、王都で研究が進んでいる科学はとても画期的で、新しい発見には興奮させられっぱなし。
「まあ、やだ。女が男に意見するものじゃありませんよ、ヴィクトリヤ」
「母様。ヴィクトリヤは僕の妻になる女性だ。僕が意見を聞きたいんだよ」
「あなたは優しいから。ウスターシュ、遠慮してはだめ。癖になるわ」
「黙ってくれ、ジャニス」
はあ、先が思いやられる。
「僕はヴィクトリヤに遠慮してない。尊重すべき女性だ」
「まあ! あたくしよりよその娘の肩を持つの!?」
「母様、ヴィクトリヤは〝よその娘〟じゃない。僕の妻になる女性だ」
「もう! お母様に口答えするような子じゃなかったのに!」
「ジャニス! 頼むからもう黙ってくれ!」
……忍耐が必要だけど、殺人鬼じゃないだけましね。
「ふんっ! 変なドレス!!」
「……」
忍耐が試されている。
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