38 / 38
そして、歩き出す
しおりを挟む
冬を告げる冷気が、アルンヘルムの城都を静かに包んでいた。
雪は既に峠を越え、街路にはほのかに残る白が名残を留めている。空気は張りつめていたが、それでも今のローゼンを覆うのは、あの頃のような絶望ではなかった。
城館の一角、小さな書斎に灯る燭台の光のもと、レティシアは机に向かっていた。羊皮紙に滑らせる筆先は、礼と敬意のこもった言葉を綴っている。
宛先は、ヴァルドリア公国――中央行政局理事、ヴィクトル・ハーヴェル。
カイルとエディン、それに数名の従者たちは、ようやく情勢が落ち着いた頃にヴァルドリアから帰還した。滞在中は、従者の立場でありながらも、丁重なもてなしを受けた。
「……彼らがちゃんと良い子にしていれば良いんだけど」
レティシアは苦笑を浮かべながら、手元の文章を見直す。
今のローゼンがあるのは、ヴァルドリアとクレタリア、そして――共に支えてくれた仲間たちのおかげだ。その一つひとつに、言葉を添えて返すことが、彼女の務めだと思っていた。
インクが乾くのを待ちながら、レティシアはふと視線を窓の外に向けた。
雪が静かに降っていた。屋根の上にも、庭の植え込みにも、白い綿帽子がかぶさっていく。
彼かの国のことを、もう誰も話題にしなくなって久しかった。国としての機能を失い、兵は解散し、民は離散した。ごくわずかに残った官僚や軍人たちは、今や他国の支配下に置かれているという話だった。事実上の滅亡――それ以外に、表現のしようもなかった。
アレクシスがどうなったか、正確には誰も知らない。だが、それを問いただす者もいなかった。すでに過去は、過去として葬られようとしていた。
レティシアは小さく息を漏らし、手紙の結びに筆を走らせた。
《どうか、皆様にも温かな冬の日々が訪れますように――》
最後に印を押し終えたその時、扉が軽くノックされた。
「レティシア様!」
元気な声と共に、ミリアが勢いよく入ってくる。
凍てついた空気もどこ吹く風。頬を赤く染め、マフラーを巻いたままのその姿に、レティシアは苦笑しながら顔を上げた。
「さっき厨房から焼きたてのパンが届きまして。レティシア様にもって言われたので。温かいうちに、お持ちしようと思って!」
言いながら差し出した布包みには、ほんのりと湯気が立っていた。バターの香ばしい匂いが、部屋の冷えた空気にじんわりと広がる。
「ありがとう、ミリア」
「へへっ。こういうの、早く届けないとカイルたちが全部持ってっちゃいますから。先に確保しないと!」
冗談めかして言いながら、ミリアは机の上にパンを置き、レティシアの手元にある手紙へとさりげなく視線を移した。
「それ……ヴァルドリアへのですか?」
「ええ。遅くなったけれど、ようやく一区切りつけられた気がするの。あちらへの感謝は、ちゃんと伝えたかったから」
ミリアは嬉しそうに頷いた。
「ヴィクトル様たちも、きっと喜びます。エディンさん、ヴァルドリアでずっと真面目にしてたって話ですよ。カイルさんは……ちょっと怪しいですけど」
二人は小さく笑い合った。そんな時間が、少しずつ戻ってきている――そのことが、何よりの救いだった。レティシアはパンを一口ちぎり、湯気に手をかざしながら、そっと目を細める。
すると、ドアの向こうから、控えめなノックの音が聞こえた。
「レティシア様、入っても?」
落ち着いた声――エディンだった。
「ええ、どうぞ」
返事を聞いて扉が開くと、エディンが丁寧に頭を下げて入ってくる。その後ろには、カイルがやや雑な仕草でマフラーを外しながら続いた。
「失礼します。……お、パンの匂いがする」
入ってくるなり、カイルは鼻をひくつかせて声をあげた。
「温かいうちに持ってこないと、って思って」
ミリアが胸を張る。テーブルの上には、彼女が運んできた布包みと、ちぎられた一切れのパン。バターの香りが、まだ部屋の空気に残っていた。
「早速抜け駆けかよ。俺たちの分、残ってるよな?」
「少しくらいならね。レティシア様の分が最優先ですから」
「はいはい」と肩をすくめながらも、カイルは空いた椅子に腰を下ろした。エディンも隣に静かに座り、礼儀正しく手袋を外す。
「おふたりとも、今日はどうしたの?」
レティシアが微笑みながら問いかけると、エディンは静かに一礼し、カイルが肩をすくめた。
「いや、たまには顔を出そうかと思ってまして。こうしてのんびりお茶を飲むのも久しぶりですし」
エディンも、手元に置かれた湯気の立つカップに視線を落としながら、穏やかに口を開いた。
「少しずつですが、街の復興も落ち着いてきました。配給所の列も短くなり、民の表情にも余裕が戻ってきています。……それもすべて、レティシア様のご尽力の賜物です」
「それは、皆がいてくれたからよ」
レティシアは照れたように微笑んだ。けれどその声には、確かな感謝が滲んでいた。
「そう言ってもらえると、報われます」
エディンは静かに頷き、そっと湯気の立つカップを口元に運ぶ。その所作は丁寧で、どこか安堵の色を帯びていた。
一方、カイルはといえば、湯飲みに口をつける前にパンをもう一切れかじり、ぼそりと呟いた。
「……でもまあ、あの時は本当に終わるかと思ったよ。街の雰囲気も、人の目も、尖ってて。崩れるって、あんなに思ったのは初めてだ」
レティシアも小さく息を吐く。あの封鎖の日々、絶望の影が城館の中まで忍び寄っていたのを、誰よりもよく知っていた。
「……あなたたちがいてくれたからよ。最後まで、信じて支えてくれたから。あの一通の手紙がなかったら本当に終わってた」
ミリアが、照れくさそうに微笑む。
「ふふっ、あの時は、もう毎日がてんやわんやでしたけどね。でも――今、こうしてみんなでパンとお茶を囲めるって、やっぱりすごいことだと思います」
「うん。何もかも、少しずつ取り戻してるって感じがするな」
カイルが、窓の外に目を向けて言った。
雪の消えた庭には、芽吹き始めた草花の緑がほんのりと覗いていた。日差しはまだ弱いが、春の足音は確かに聞こえている。
レティシアは、少し困ったように笑いながら言葉を継いだ。
「ほら、言ったじゃない。冬になったら、新しく街から人を雇うって話。私たちの手が回らなくなる前に、ちゃんと体制を整えておくって――あれ、夏の終わり頃だったかしら」
「ああ……それ!」
ミリアが思い出したように手を打つ。
「私、張り切って“先輩になるんだ!”って言ってた奴ですよねそれ!」
「そうだったな。あれ、結局どうなったんです?」
カイルがやや呆れ気味に笑いながら尋ねると、レティシアは筆を置いて肩をすくめた。
「募集はもう始めてるわ。庁舎の掲示板にも張り出してあるし、町の方にも声をかけてる。春までに、新人が少しずつ入ってくる予定よ」
「ってことは……ミリア先輩、ついに誕生ってわけか」
からかうように言うカイルに、ミリアは顔を赤らめて胸を張る。
「な、なんですかその言い方! 私、ちゃんとやりますよ! 優しくて頼れる先輩って思ってもらえるように、いまから準備してるんですから!」
「大丈夫だよ。ミリアさんなら、いつものアレ……じゃなくて、勢いだけでも何とかなりますから」
エディンの穏やかな一言に、ミリアは「ひどいですっ!」と声を上げた。だが、その顔は本気で怒っているというよりは、むしろ照れ隠しに近い。頬を赤く染めたまま、ぷいと顔を背ける。
「……本当に、皆して私をからかって……」
そんなミリアの反応に、カイルが肩をすくめた。
「分かってるって、お前は間違いなく良い手本になれる」
エディンも、にこやかに頷く。
「ええ。あなたなら、きっと後輩たちに頼られる“いい先輩”になれますよ」
レティシアも微笑を浮かべながら、ミリアの肩にそっと手を置いた。
「私も、信じているわ。あなたの背中を見て、育つ子がきっと出てくる。だから、あなたらしくいて頂戴ね」
ミリアは少しだけ驚いたように目を瞬き、それから、ゆっくりと頷いた。
「……はい!」
まっすぐな返事に、場の空気がほのかに和らいだ。
小さな書斎に広がるのは、熱い紅茶の香りと、焼きたてのパンの温もり。それは、かつて失いかけた“日常”のかたちだった。
窓の外では、冬の雲が少しずつ晴れ、陽の光が庭先に降り始めていた。
やがて誰かが立ち上がり、笑い合いながら部屋を出ていく。今日という一日が、新たな日常の続きとなるように。
レティシアは、机に残された手紙の封を確かめ、そっと胸に手を添えた。
雪は既に峠を越え、街路にはほのかに残る白が名残を留めている。空気は張りつめていたが、それでも今のローゼンを覆うのは、あの頃のような絶望ではなかった。
城館の一角、小さな書斎に灯る燭台の光のもと、レティシアは机に向かっていた。羊皮紙に滑らせる筆先は、礼と敬意のこもった言葉を綴っている。
宛先は、ヴァルドリア公国――中央行政局理事、ヴィクトル・ハーヴェル。
カイルとエディン、それに数名の従者たちは、ようやく情勢が落ち着いた頃にヴァルドリアから帰還した。滞在中は、従者の立場でありながらも、丁重なもてなしを受けた。
「……彼らがちゃんと良い子にしていれば良いんだけど」
レティシアは苦笑を浮かべながら、手元の文章を見直す。
今のローゼンがあるのは、ヴァルドリアとクレタリア、そして――共に支えてくれた仲間たちのおかげだ。その一つひとつに、言葉を添えて返すことが、彼女の務めだと思っていた。
インクが乾くのを待ちながら、レティシアはふと視線を窓の外に向けた。
雪が静かに降っていた。屋根の上にも、庭の植え込みにも、白い綿帽子がかぶさっていく。
彼かの国のことを、もう誰も話題にしなくなって久しかった。国としての機能を失い、兵は解散し、民は離散した。ごくわずかに残った官僚や軍人たちは、今や他国の支配下に置かれているという話だった。事実上の滅亡――それ以外に、表現のしようもなかった。
アレクシスがどうなったか、正確には誰も知らない。だが、それを問いただす者もいなかった。すでに過去は、過去として葬られようとしていた。
レティシアは小さく息を漏らし、手紙の結びに筆を走らせた。
《どうか、皆様にも温かな冬の日々が訪れますように――》
最後に印を押し終えたその時、扉が軽くノックされた。
「レティシア様!」
元気な声と共に、ミリアが勢いよく入ってくる。
凍てついた空気もどこ吹く風。頬を赤く染め、マフラーを巻いたままのその姿に、レティシアは苦笑しながら顔を上げた。
「さっき厨房から焼きたてのパンが届きまして。レティシア様にもって言われたので。温かいうちに、お持ちしようと思って!」
言いながら差し出した布包みには、ほんのりと湯気が立っていた。バターの香ばしい匂いが、部屋の冷えた空気にじんわりと広がる。
「ありがとう、ミリア」
「へへっ。こういうの、早く届けないとカイルたちが全部持ってっちゃいますから。先に確保しないと!」
冗談めかして言いながら、ミリアは机の上にパンを置き、レティシアの手元にある手紙へとさりげなく視線を移した。
「それ……ヴァルドリアへのですか?」
「ええ。遅くなったけれど、ようやく一区切りつけられた気がするの。あちらへの感謝は、ちゃんと伝えたかったから」
ミリアは嬉しそうに頷いた。
「ヴィクトル様たちも、きっと喜びます。エディンさん、ヴァルドリアでずっと真面目にしてたって話ですよ。カイルさんは……ちょっと怪しいですけど」
二人は小さく笑い合った。そんな時間が、少しずつ戻ってきている――そのことが、何よりの救いだった。レティシアはパンを一口ちぎり、湯気に手をかざしながら、そっと目を細める。
すると、ドアの向こうから、控えめなノックの音が聞こえた。
「レティシア様、入っても?」
落ち着いた声――エディンだった。
「ええ、どうぞ」
返事を聞いて扉が開くと、エディンが丁寧に頭を下げて入ってくる。その後ろには、カイルがやや雑な仕草でマフラーを外しながら続いた。
「失礼します。……お、パンの匂いがする」
入ってくるなり、カイルは鼻をひくつかせて声をあげた。
「温かいうちに持ってこないと、って思って」
ミリアが胸を張る。テーブルの上には、彼女が運んできた布包みと、ちぎられた一切れのパン。バターの香りが、まだ部屋の空気に残っていた。
「早速抜け駆けかよ。俺たちの分、残ってるよな?」
「少しくらいならね。レティシア様の分が最優先ですから」
「はいはい」と肩をすくめながらも、カイルは空いた椅子に腰を下ろした。エディンも隣に静かに座り、礼儀正しく手袋を外す。
「おふたりとも、今日はどうしたの?」
レティシアが微笑みながら問いかけると、エディンは静かに一礼し、カイルが肩をすくめた。
「いや、たまには顔を出そうかと思ってまして。こうしてのんびりお茶を飲むのも久しぶりですし」
エディンも、手元に置かれた湯気の立つカップに視線を落としながら、穏やかに口を開いた。
「少しずつですが、街の復興も落ち着いてきました。配給所の列も短くなり、民の表情にも余裕が戻ってきています。……それもすべて、レティシア様のご尽力の賜物です」
「それは、皆がいてくれたからよ」
レティシアは照れたように微笑んだ。けれどその声には、確かな感謝が滲んでいた。
「そう言ってもらえると、報われます」
エディンは静かに頷き、そっと湯気の立つカップを口元に運ぶ。その所作は丁寧で、どこか安堵の色を帯びていた。
一方、カイルはといえば、湯飲みに口をつける前にパンをもう一切れかじり、ぼそりと呟いた。
「……でもまあ、あの時は本当に終わるかと思ったよ。街の雰囲気も、人の目も、尖ってて。崩れるって、あんなに思ったのは初めてだ」
レティシアも小さく息を吐く。あの封鎖の日々、絶望の影が城館の中まで忍び寄っていたのを、誰よりもよく知っていた。
「……あなたたちがいてくれたからよ。最後まで、信じて支えてくれたから。あの一通の手紙がなかったら本当に終わってた」
ミリアが、照れくさそうに微笑む。
「ふふっ、あの時は、もう毎日がてんやわんやでしたけどね。でも――今、こうしてみんなでパンとお茶を囲めるって、やっぱりすごいことだと思います」
「うん。何もかも、少しずつ取り戻してるって感じがするな」
カイルが、窓の外に目を向けて言った。
雪の消えた庭には、芽吹き始めた草花の緑がほんのりと覗いていた。日差しはまだ弱いが、春の足音は確かに聞こえている。
レティシアは、少し困ったように笑いながら言葉を継いだ。
「ほら、言ったじゃない。冬になったら、新しく街から人を雇うって話。私たちの手が回らなくなる前に、ちゃんと体制を整えておくって――あれ、夏の終わり頃だったかしら」
「ああ……それ!」
ミリアが思い出したように手を打つ。
「私、張り切って“先輩になるんだ!”って言ってた奴ですよねそれ!」
「そうだったな。あれ、結局どうなったんです?」
カイルがやや呆れ気味に笑いながら尋ねると、レティシアは筆を置いて肩をすくめた。
「募集はもう始めてるわ。庁舎の掲示板にも張り出してあるし、町の方にも声をかけてる。春までに、新人が少しずつ入ってくる予定よ」
「ってことは……ミリア先輩、ついに誕生ってわけか」
からかうように言うカイルに、ミリアは顔を赤らめて胸を張る。
「な、なんですかその言い方! 私、ちゃんとやりますよ! 優しくて頼れる先輩って思ってもらえるように、いまから準備してるんですから!」
「大丈夫だよ。ミリアさんなら、いつものアレ……じゃなくて、勢いだけでも何とかなりますから」
エディンの穏やかな一言に、ミリアは「ひどいですっ!」と声を上げた。だが、その顔は本気で怒っているというよりは、むしろ照れ隠しに近い。頬を赤く染めたまま、ぷいと顔を背ける。
「……本当に、皆して私をからかって……」
そんなミリアの反応に、カイルが肩をすくめた。
「分かってるって、お前は間違いなく良い手本になれる」
エディンも、にこやかに頷く。
「ええ。あなたなら、きっと後輩たちに頼られる“いい先輩”になれますよ」
レティシアも微笑を浮かべながら、ミリアの肩にそっと手を置いた。
「私も、信じているわ。あなたの背中を見て、育つ子がきっと出てくる。だから、あなたらしくいて頂戴ね」
ミリアは少しだけ驚いたように目を瞬き、それから、ゆっくりと頷いた。
「……はい!」
まっすぐな返事に、場の空気がほのかに和らいだ。
小さな書斎に広がるのは、熱い紅茶の香りと、焼きたてのパンの温もり。それは、かつて失いかけた“日常”のかたちだった。
窓の外では、冬の雲が少しずつ晴れ、陽の光が庭先に降り始めていた。
やがて誰かが立ち上がり、笑い合いながら部屋を出ていく。今日という一日が、新たな日常の続きとなるように。
レティシアは、机に残された手紙の封を確かめ、そっと胸に手を添えた。
237
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
夫「お前は価値がない女だ。太った姿を見るだけで吐き気がする」若い彼女と再婚するから妻に出て行け!
佐藤 美奈
恋愛
華やかな舞踏会から帰宅した公爵夫人ジェシカは、幼馴染の夫ハリーから突然の宣告を受ける。
「お前は価値のない女だ。太った姿を見るだけで不快だ!」
冷酷な言葉は、長年連れ添った夫の口から発せられたとは思えないほど鋭く、ジェシカの胸に突き刺さる。
さらにハリーは、若い恋人ローラとの再婚を一方的に告げ、ジェシカに屋敷から出ていくよう迫る。
優しかった夫の変貌に、ジェシカは言葉を失い、ただ立ち尽くす。
最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。
佐藤 美奈
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。
幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。
一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。
ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。
「犯人は追放!」無実の彼女は国に絶対に必要な能力者で“価値の高い女性”だった
佐藤 美奈
恋愛
セリーヌ・エレガント公爵令嬢とフレッド・ユーステルム王太子殿下は婚約成立を祝した。
その数週間後、ヴァレンティノ王立学園50周年の創立記念パーティー会場で、信じられない事態が起こった。
フレッド殿下がセリーヌ令嬢に婚約破棄を宣言した。様々な分野で活躍する著名な招待客たちは、激しい動揺と衝撃を受けてざわつき始めて、人々の目が一斉に注がれる。
フレッドの横にはステファニー男爵令嬢がいた。二人は恋人のような雰囲気を醸し出す。ステファニーは少し前に正式に聖女に選ばれた女性であった。
ステファニーの策略でセリーヌは罪を被せられてしまう。信じていた幼馴染のアランからも冷たい視線を向けられる。
セリーヌはいわれのない無実の罪で国を追放された。悔しくてたまりませんでした。だが彼女には秘められた能力があって、それは聖女の力をはるかに上回るものであった。
彼女はヴァレンティノ王国にとって絶対的に必要で貴重な女性でした。セリーヌがいなくなるとステファニーは聖女の力を失って、国は急速に衰退へと向かう事となる……。
もうあなた達を愛する心はありません
佐藤 美奈
恋愛
セラフィーナ・リヒテンベルクは、公爵家の長女として王立学園の寮で生活している。ある午後、届いた手紙が彼女の世界を揺るがす。
差出人は兄ジョージで、内容は母イリスが兄の妻エレーヌをいびっているというものだった。最初は信じられなかったが、手紙の中で兄は母の嫉妬に苦しむエレーヌを心配し、セラフィーナに助けを求めていた。
理知的で優しい公爵夫人の母が信じられなかったが、兄の必死な頼みに胸が痛む。
セラフィーナは、一年ぶりに実家に帰ると、母が物置に閉じ込められていた。幸せだった家族の日常が壊れていく。魔法やファンタジー異世界系は、途中からあるかもしれません。
美人な姉を溺愛する彼へ、最大の罰を! 倍返しで婚約破棄して差し上げます
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢マリアは、若き大神官フレッドとの結婚を控え、浮かれる日々を送っていた。しかし、神殿での多忙を理由になかなか会えないフレッドへの小さな不安と、結婚式の準備に追われる慌ただしさが、心に影を落とし始める。
海外で外交官の夫ヒューゴと暮らしていた姉カミーユが、久しぶりに実家へ帰省する。再会を喜びつつも、マリアは、どこか寂しい気持ちが心に残っていた。
カミーユとの再会の日、フレッドも伯爵家を訪れる。だが、その態度は、マリアの心に冷たい水を浴びせるような衝撃をもたらした。フレッドはカミーユに対し、まるで夢中になったかのように賛辞を惜しまず、その異常な執着ぶりにマリアは違和感を覚える。ヒューゴも同席しているにもかかわらず、フレッドの態度は度を越していた。
フレッドの言動はエスカレートし、「お姉様みたいに、もっとおしゃれしろよ」とマリアにまで、とげのある言葉を言い放つ。清廉潔白そうに見えた大神官の仮面の下に隠された、権力志向で偽善的な本性が垣間見え、マリアはフレッドへの信頼を揺るがし始める。カミーユとヒューゴもさすがにフレッドを注意するが、彼は反省の色を一切見せない。
お前との婚約は、ここで破棄する!
ねむたん
恋愛
「公爵令嬢レティシア・フォン・エーデルシュタイン! お前との婚約は、ここで破棄する!」
華やかな舞踏会の中心で、第三王子アレクシス・ローゼンベルクがそう高らかに宣言した。
一瞬の静寂の後、会場がどよめく。
私は心の中でため息をついた。
彼女よりも幼馴染を溺愛して優先の彼と結婚するか悩む
佐藤 美奈
恋愛
公爵家の広大な庭園。その奥まった一角に佇む白いガゼボで、私はひとり思い悩んでいた。
私の名はニーナ・フォン・ローゼンベルク。名門ローゼンベルク家の令嬢として、若き騎士アンドレ・フォン・ヴァルシュタインとの婚約がすでに決まっている。けれど、その婚約に心からの喜びを感じることができずにいた。
理由はただ一つ。彼の幼馴染であるキャンディ・フォン・リエーヌ子爵令嬢の存在。
アンドレは、彼女がすべてであるかのように振る舞い、いついかなる時も彼女の望みを最優先にする。婚約者である私の気持ちなど、まるで見えていないかのように。
そして、アンドレはようやく自分の至らなさに気づくこととなった。
失われたニーナの心を取り戻すため、彼は様々なイベントであらゆる方法を試みることを決意する。その思いは、ただ一つ、彼女の笑顔を再び見ることに他ならなかった。
幼馴染を溺愛する彼へ ~婚約破棄はご自由に~
佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢アイラは、婚約者であるオリバー王子との穏やかな日々を送っていた。
ある日、突然オリバーが泣き崩れ、彼の幼馴染である男爵令嬢ローズが余命一年であることを告げる。
オリバーは涙ながらに、ローズに最後まで寄り添いたいと懇願し、婚約破棄とアイラが公爵家当主の父に譲り受けた別荘を譲ってくれないかと頼まれた。公爵家の父の想いを引き継いだ大切なものなのに。
「アイラは幸せだからいいだろ? ローズが可哀想だから譲ってほしい」
別荘はローズが気に入ったのが理由で、二人で住むつもりらしい。
身勝手な要求にアイラは呆れる。
※物語が進むにつれて、少しだけ不思議な力や魔法ファンタジーが顔をのぞかせるかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
作者さま
昨夜というか日付が変わってから読み始め、たった今最後まで読み終わりました
どれだけ自分が恵まれた環境にいるのか、自らどの様なビジョンを持ち進めて行けるのか、上に立つ人はいつも俯瞰し、同じ目線に立ち、行動しなければ周りは付いてこないと常に我が身を知ることですね
若い人達が将来に向けて頑張る、素敵なお話をありがとうございました
次も楽しみにしております
寒暖差が大きく、今日は寒い一日の様です
風邪などお召しにならぬ様、ご自愛下さい
9話まで読みました。
婚約破棄物を読むためにこのサイトに登録しましたが、なかなか頭がお花畑王子で素敵です。王子が婚約者との婚約の背景をわかっていない。真実の愛では王国を守れない。これをどう調理するか?楽しみにしています。