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職場の忘年会に出席しないことを上司に告げると、彼は申し訳なさそうな顔をした。これまでは無難に参加してきたのに、特に理由もなく断ったことが、「もう関わりません」という私の意思表示だと伝わったのだろう。
期間の長い仕事を割り振られることが減っていたので、おそらく次の更新はない。以前ならショックだったかもしれないが、私はこれ幸いと、与えられた仕事をさっさと片付けて、毎日とある工房に通っていた。
絵付け体験をさせてもらった工房で、別の工房を紹介してもらったのだ。絵付けがとても楽しくて、二回、三回と続けて参加したら、「上絵付けもやってみますか?」と聞かれたのがきっかけだった。
上絵付けとは、高温で焼成したあと、釉薬の「上」に絵を描く方法のことで、青色や茶色中心の下絵付けよりも、使用できる色が多くなる。
ちなみに、素焼き後の素地に絵を描くのが下絵付け。使用できる絵の具は、本焼きの高温に耐えられるものに限られる。昔からある代表的な絵の具が「呉須」と呼ばれる顔料で、焼くと青色になる。白磁に呉須で装飾したものが「染付」で、八木沢さんのおじい様はこれを多く集めていた。下絵付けは、釉薬の「下」に描くので退色しにくいのが特長。
絵付けの入門ということで、最初の工房では下絵付け(染付)を教わっていた。どんどん楽しくなって、同時に芸術品として高く評価される作品が、どれだけ優れた技術で描かれたものかがよく分かった。私は、線を綺麗に引くことさえできない。
上絵付けもやってみるかと質問されたとき、私は図案を描くために持参していたスケッチブックを見せた。新宿御苑などでスケッチした花の絵を見た講師が、「こういうのが好きなら、ぴったりの先生がいる!」と連絡をとってくれた。
有田や瀬戸で長年修行した方が、自宅近くに築窯して、そこで一般向けにも陶芸教室を開いているらしい。教室は平日の昼間に開催されているので、そちらには通えないが「絵付けだけ、短時間でもいいなら教えられる」ということで、退勤後に通っている。少し距離はあるが、幸い新宿から乗り換えなしで行ける場所だ。
作業をしていると時間を忘れる。次はどんな絵にしようかなと、図案を考えるのもとても楽しい。家に一人でいると、悩んでもどうしようもないことをぐるぐる考えてしまうから、仕事以外で集中できるこの時間はありがたかった。
◆
真っ暗な部屋のどこかで電子音が鳴っている。まだ寝たい……寝かせて……と思いつつ、布団からのたりと手を出した。でも、私が止めるより先に、背後から八木沢さんが腕を伸ばして音を止めてくれた。
「すみません、僕がアラームを切り忘れていたようで」
「大丈夫ですよ、二度寝しましょ……」
今日から私も八木沢さんも年末年始のお休み。平日だから、いつも通り目覚ましが鳴ったが、幸せなことにまだまだゆっくり朝寝坊ができる。だからそう言ったのに、彼がそのまま手を重ねて指を絡めてきたから、びっくりして目が覚めた。
背中に感じていた体温がもっと近づいて、その手が腕を撫でて、肩、胸へと触れる場所を変えていく。彼の指先が触れるか触れないかの距離で先端を撫で始めた。そんなに優しく小刻みに擦られたら、気持ちいいに決まっている。
「んっ……二度寝しないんですか?」
「和咲さんは、寝ていいですよ」
そのまま戯れに指を動かし、ふにふにと弄るから、くすぐったさが次第に快感に変わっていく。彼の指に慣らされた体は如実に反応して下腹部が熱くなる。こんなことされて眠れるわけがない。柔らかかった乳首が固く勃って、愛撫も段々強引になっていった。
「こっち向いてください」
「だめ……っ、寝起きで変な顔だから……」
「そんなことないですよ、和咲さんはいつでも可愛いです」
「可愛い禁止です」
「……寝起きの和咲さんも大好きですよ」
言い方変えてきた。ずるい。
油断していたら首にキスされて全身が震えた。熱が溜まって耐えられなくなって、吐息が喘ぎ声に変わっていく。胸にしか触れられてないのに、達してしまいそう。
この姿勢だめだ、と思って逃げようとしたけれど、腕を掴まれてぽてんとひっくり返されてしまった。
「やっとこっち向いた。ほら、可愛い」
「だめって言いました! 可愛いも禁止しました!」
「そうですね、すみません」
全然謝る気のない謝罪の言葉に私が拗ねたので、八木沢さんは面白がって笑い続けていた。……結局、お休みの一日目は、お昼近くまで寝室から出してもらえなかった。
期間の長い仕事を割り振られることが減っていたので、おそらく次の更新はない。以前ならショックだったかもしれないが、私はこれ幸いと、与えられた仕事をさっさと片付けて、毎日とある工房に通っていた。
絵付け体験をさせてもらった工房で、別の工房を紹介してもらったのだ。絵付けがとても楽しくて、二回、三回と続けて参加したら、「上絵付けもやってみますか?」と聞かれたのがきっかけだった。
上絵付けとは、高温で焼成したあと、釉薬の「上」に絵を描く方法のことで、青色や茶色中心の下絵付けよりも、使用できる色が多くなる。
ちなみに、素焼き後の素地に絵を描くのが下絵付け。使用できる絵の具は、本焼きの高温に耐えられるものに限られる。昔からある代表的な絵の具が「呉須」と呼ばれる顔料で、焼くと青色になる。白磁に呉須で装飾したものが「染付」で、八木沢さんのおじい様はこれを多く集めていた。下絵付けは、釉薬の「下」に描くので退色しにくいのが特長。
絵付けの入門ということで、最初の工房では下絵付け(染付)を教わっていた。どんどん楽しくなって、同時に芸術品として高く評価される作品が、どれだけ優れた技術で描かれたものかがよく分かった。私は、線を綺麗に引くことさえできない。
上絵付けもやってみるかと質問されたとき、私は図案を描くために持参していたスケッチブックを見せた。新宿御苑などでスケッチした花の絵を見た講師が、「こういうのが好きなら、ぴったりの先生がいる!」と連絡をとってくれた。
有田や瀬戸で長年修行した方が、自宅近くに築窯して、そこで一般向けにも陶芸教室を開いているらしい。教室は平日の昼間に開催されているので、そちらには通えないが「絵付けだけ、短時間でもいいなら教えられる」ということで、退勤後に通っている。少し距離はあるが、幸い新宿から乗り換えなしで行ける場所だ。
作業をしていると時間を忘れる。次はどんな絵にしようかなと、図案を考えるのもとても楽しい。家に一人でいると、悩んでもどうしようもないことをぐるぐる考えてしまうから、仕事以外で集中できるこの時間はありがたかった。
◆
真っ暗な部屋のどこかで電子音が鳴っている。まだ寝たい……寝かせて……と思いつつ、布団からのたりと手を出した。でも、私が止めるより先に、背後から八木沢さんが腕を伸ばして音を止めてくれた。
「すみません、僕がアラームを切り忘れていたようで」
「大丈夫ですよ、二度寝しましょ……」
今日から私も八木沢さんも年末年始のお休み。平日だから、いつも通り目覚ましが鳴ったが、幸せなことにまだまだゆっくり朝寝坊ができる。だからそう言ったのに、彼がそのまま手を重ねて指を絡めてきたから、びっくりして目が覚めた。
背中に感じていた体温がもっと近づいて、その手が腕を撫でて、肩、胸へと触れる場所を変えていく。彼の指先が触れるか触れないかの距離で先端を撫で始めた。そんなに優しく小刻みに擦られたら、気持ちいいに決まっている。
「んっ……二度寝しないんですか?」
「和咲さんは、寝ていいですよ」
そのまま戯れに指を動かし、ふにふにと弄るから、くすぐったさが次第に快感に変わっていく。彼の指に慣らされた体は如実に反応して下腹部が熱くなる。こんなことされて眠れるわけがない。柔らかかった乳首が固く勃って、愛撫も段々強引になっていった。
「こっち向いてください」
「だめ……っ、寝起きで変な顔だから……」
「そんなことないですよ、和咲さんはいつでも可愛いです」
「可愛い禁止です」
「……寝起きの和咲さんも大好きですよ」
言い方変えてきた。ずるい。
油断していたら首にキスされて全身が震えた。熱が溜まって耐えられなくなって、吐息が喘ぎ声に変わっていく。胸にしか触れられてないのに、達してしまいそう。
この姿勢だめだ、と思って逃げようとしたけれど、腕を掴まれてぽてんとひっくり返されてしまった。
「やっとこっち向いた。ほら、可愛い」
「だめって言いました! 可愛いも禁止しました!」
「そうですね、すみません」
全然謝る気のない謝罪の言葉に私が拗ねたので、八木沢さんは面白がって笑い続けていた。……結局、お休みの一日目は、お昼近くまで寝室から出してもらえなかった。
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