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第5話 僕はヘタレですか?
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葉月ちゃんと二人で店を出ると、外は少し暗くなってきていた。
葉月ちゃんの家は、駅を超えて10分程歩いたところにあるタワーマンションに住んでいるらしい。玲子さんと同じで、葉月ちゃんも良いところのお嬢様なようだ。
「先輩は明日から講義に出られるんですか?」
「もう熱も下がったし、体の倦怠感も無くなったから大丈夫。さすがに、修二に任せっきりにする訳にもいかないからね」
二人で並んで歩いているが、手が触れそうで触れない距離がもどかしい。
「葉月ちゃんは学校どうなの? 楽しくやってる?」
「……はい、楽しいですよ。でもみんな受験で忙しそうです」
夕日が陰り、葉月ちゃんの顔を暗くする。
「あれ、葉月ちゃんは大学受験じゃないんだ?」
「……ええ、父の会社に就職して働く事になっています」
衝撃の事実!
葉月ちゃんが良いところのお嬢様っていうのは分かっていたけど、社長令嬢だったとは。玲子さんといい、周りにはお嬢様しかいないのか? いや、バイト先にギャルいたな。しかも2匹。セーフ!
「……もしかして、就職より大学に行きたかったり?」
これはナイーブな問題だ。俺みたいな一般人が、突っ込んで良い問題じゃないかもしれない。
でも、彼女の横顔が寂しそうだったから、聞いてしまった。もし力になれるなら、相談に乗って上げたいと思った。
「……別に大学に行きたい訳じゃないんです。ただちょっと……」
葉月ちゃんが立ち止まり、顔を下げた。
これは重い話か? 俺で受け止められるのか? 天使が落ち込んでいる。今度は俺が助ける番だ!!
葉月ちゃんの前に行き、言葉の続きを待つ。
綺麗な前髪が素敵だ。下を向いたまま、なかなか顔を上げてくれない。
夕日が当たっているからか、彼女の頬が赤く見える。何故か、こっちまでドキドキしてくる。
催促してみよう。
「……ちょっと?」
言い終わると、葉月ちゃんが顔を上げた。
葉月ちゃんと視線が重なる。期待と不安を含んだ、そんな表情に見えたが、すごく綺麗だった。
「就職しちゃったら……、もう……先輩と会えなくなっちゃいます……」
「……っ!!」
――世界が死んだ。
――息が出来ない。
葉月ちゃんが可愛すぎる! こんな不意打ち、殺しに来ているとしか思えない!
「……先輩?」
不安そうに、首を傾げて上目遣いで顔を覗き込んでくる。目が大きくて、可愛い。やっぱり天使だ!!
大きく深呼吸をして、落ち着こう。冷静になるんだ。
「それってもしかして、俺の事を……?」
情けない返答になってしまった。
でも許して欲しい。こんな可愛い女の子に告白されるシチュエーションなんて、体験したことないんだから!
不安と期待の混ざった視線を、葉月ちゃんへ向ける。
俺は年上の優しいお姉さんが好きだったはずだ。でも葉月ちゃんなら……。
「……ふふ、冗談です。さっきのお返しです」
「っ!?」
――世界が死んだ。
すっごくドキドキしたのにー!
まあ普通に考えてこんな美少女が僕の事を好きになるなんて有り得ないよねっ!
はぁ、でもちょっと期待しちゃっただけにドキドキが治まらない。
「でも先輩、あんまり女の子をドキドキさせる事、簡単に言っちゃだめですよ?」
「……え?」
葉月ちゃんが、速足で歩き出してしまった。
置いて行かれないように、歩き出す。
からかわれているのか……。女子高生に手玉に取られるなんて、ゾクゾクするね。
先を歩く葉月ちゃんが振り返り、満面の笑みで囁いた。
「言っていいのは、私にだけですからねっ!」
「え、あ……!?」
もう僕のライフはもうゼロです。完全にやられちゃいました。
何て返事をして良いのかもわからない。顔が熱く、ぼーっとしてしまう。まるで先日の高熱を出したときのようだ。
「お見送りはここで大丈夫です。今度映画に連れてって下さい。それでお見舞いの件はチャラです!」
僕は何も言えず、走り去っていく葉月ちゃんの後ろ姿を、ただただ見つめる事しか出来なかった。
でも一瞬見えた、葉月ちゃんの真っ赤な横顔が、脳裏にこびりついている。きっとあれは、夕日のせいじゃないだろう……。
立ち尽くす俺を、不審な目でみんなが見てくる。
でもしょうがないじゃないか。あの笑顔は反則だ。
やっと足が動き始めた。脳の処理を葉月ちゃんに支配され、自分の命令を聞いてくれなかったのである。
……ふと思う。
「今日の運勢、当たってたな。これが幸せを感じるという事か……」
自宅までの足は軽く、フワフワしていた。
今なら何でも出来そうな気がする。
幸せな気分で自宅へ帰り、アパートの冷蔵庫を見た瞬間、買い物をしていなかった事に気付き笑ってしまった。
鑑定能力が微妙とか言ってごめんなさい。神様、幸せをありがとうございます!
――この力を授かった理由はわからないけど、みんなの幸せのために、この力が役に立ちますように……。
葉月ちゃんの家は、駅を超えて10分程歩いたところにあるタワーマンションに住んでいるらしい。玲子さんと同じで、葉月ちゃんも良いところのお嬢様なようだ。
「先輩は明日から講義に出られるんですか?」
「もう熱も下がったし、体の倦怠感も無くなったから大丈夫。さすがに、修二に任せっきりにする訳にもいかないからね」
二人で並んで歩いているが、手が触れそうで触れない距離がもどかしい。
「葉月ちゃんは学校どうなの? 楽しくやってる?」
「……はい、楽しいですよ。でもみんな受験で忙しそうです」
夕日が陰り、葉月ちゃんの顔を暗くする。
「あれ、葉月ちゃんは大学受験じゃないんだ?」
「……ええ、父の会社に就職して働く事になっています」
衝撃の事実!
葉月ちゃんが良いところのお嬢様っていうのは分かっていたけど、社長令嬢だったとは。玲子さんといい、周りにはお嬢様しかいないのか? いや、バイト先にギャルいたな。しかも2匹。セーフ!
「……もしかして、就職より大学に行きたかったり?」
これはナイーブな問題だ。俺みたいな一般人が、突っ込んで良い問題じゃないかもしれない。
でも、彼女の横顔が寂しそうだったから、聞いてしまった。もし力になれるなら、相談に乗って上げたいと思った。
「……別に大学に行きたい訳じゃないんです。ただちょっと……」
葉月ちゃんが立ち止まり、顔を下げた。
これは重い話か? 俺で受け止められるのか? 天使が落ち込んでいる。今度は俺が助ける番だ!!
葉月ちゃんの前に行き、言葉の続きを待つ。
綺麗な前髪が素敵だ。下を向いたまま、なかなか顔を上げてくれない。
夕日が当たっているからか、彼女の頬が赤く見える。何故か、こっちまでドキドキしてくる。
催促してみよう。
「……ちょっと?」
言い終わると、葉月ちゃんが顔を上げた。
葉月ちゃんと視線が重なる。期待と不安を含んだ、そんな表情に見えたが、すごく綺麗だった。
「就職しちゃったら……、もう……先輩と会えなくなっちゃいます……」
「……っ!!」
――世界が死んだ。
――息が出来ない。
葉月ちゃんが可愛すぎる! こんな不意打ち、殺しに来ているとしか思えない!
「……先輩?」
不安そうに、首を傾げて上目遣いで顔を覗き込んでくる。目が大きくて、可愛い。やっぱり天使だ!!
大きく深呼吸をして、落ち着こう。冷静になるんだ。
「それってもしかして、俺の事を……?」
情けない返答になってしまった。
でも許して欲しい。こんな可愛い女の子に告白されるシチュエーションなんて、体験したことないんだから!
不安と期待の混ざった視線を、葉月ちゃんへ向ける。
俺は年上の優しいお姉さんが好きだったはずだ。でも葉月ちゃんなら……。
「……ふふ、冗談です。さっきのお返しです」
「っ!?」
――世界が死んだ。
すっごくドキドキしたのにー!
まあ普通に考えてこんな美少女が僕の事を好きになるなんて有り得ないよねっ!
はぁ、でもちょっと期待しちゃっただけにドキドキが治まらない。
「でも先輩、あんまり女の子をドキドキさせる事、簡単に言っちゃだめですよ?」
「……え?」
葉月ちゃんが、速足で歩き出してしまった。
置いて行かれないように、歩き出す。
からかわれているのか……。女子高生に手玉に取られるなんて、ゾクゾクするね。
先を歩く葉月ちゃんが振り返り、満面の笑みで囁いた。
「言っていいのは、私にだけですからねっ!」
「え、あ……!?」
もう僕のライフはもうゼロです。完全にやられちゃいました。
何て返事をして良いのかもわからない。顔が熱く、ぼーっとしてしまう。まるで先日の高熱を出したときのようだ。
「お見送りはここで大丈夫です。今度映画に連れてって下さい。それでお見舞いの件はチャラです!」
僕は何も言えず、走り去っていく葉月ちゃんの後ろ姿を、ただただ見つめる事しか出来なかった。
でも一瞬見えた、葉月ちゃんの真っ赤な横顔が、脳裏にこびりついている。きっとあれは、夕日のせいじゃないだろう……。
立ち尽くす俺を、不審な目でみんなが見てくる。
でもしょうがないじゃないか。あの笑顔は反則だ。
やっと足が動き始めた。脳の処理を葉月ちゃんに支配され、自分の命令を聞いてくれなかったのである。
……ふと思う。
「今日の運勢、当たってたな。これが幸せを感じるという事か……」
自宅までの足は軽く、フワフワしていた。
今なら何でも出来そうな気がする。
幸せな気分で自宅へ帰り、アパートの冷蔵庫を見た瞬間、買い物をしていなかった事に気付き笑ってしまった。
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