幼馴染の親友のために婚約破棄になりました。裏切り者同士お幸せに

hikari

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アントニーナの決意

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「叔母様、こんにちは。アントニーナです。お世話になります」

「あら、アントニーナじゃない」

二人はハグをした。

薄紫色の髪に緑の瞳。高く伸びた鼻と尖ったあごは母親とそっくりだった。


クレパルディ公爵に嫁いだ叔母のニーナは母のきょうだいの3番目の妹だった。


「アントニーナ、話は姉から聞いているよ。さあ、お入り」
ニーナに促されるまま、家に入った。


「クレアー」

ニーナがそう呼ぶと小柄なメイドが現れた。

「はい」

「彼女がアントニーナだよ。部屋に案内してちょうだい」

「あ、初めまして。ニーナ叔母様の姪っ子のアントニーナです。宜しくお願いします」

「宜しくお願いしますわ」
クレアは黒髪に黒縁のメガネが似合っている。


「ではお部屋にご案内しますね」

クレアが笑うと右頬にえくぼが見えた。


「こちらです」
と言ってクレアはドアを開けた。

「ありがとうございます」

「夕食になりましたら、呼びにきますね。それまでごゆっくりとどうぞ」

と言ってクレアはドアを閉めた。



これからシレンがある。

シレンを乗り越えないと聖女にはなれない。

「負けないよ、アーノルド、フロリアーナ」

アントニーナはアーノルドとフロリアーナの肖像画を持ってきた。

――みんなが私を応援してくれるんだ!


そしてやはり心につかえるのが革命の話だった。

革命は本当に起こるのだろうか?

しかし、誰が首謀者なのだろうか?


貴族の中では革命に参加しそうな人はいなかったはず。

すると、首謀者は平民ということになるのか?


とにもかくにも革命の2文字が頭から離れなかった。


税金が高い。

サラボナへの移住。





確かにそんな話は聞いていた。


国民の数が減少している、と王太子が言っていた。


しかし、予定は未定。

それに国王は抜け目の無い人物なので、反逆者の情報は早いはずだ。



それよりも、王太子に婚約破棄された事が悔しくて、悲しくてやるせなかった。

しかも、その王太子を奪ったのが幼馴染の親友のマルタだと思うと……。


マルタが裏切るような人には思えなかった。

マルタはアントニーナがいじめられていた時にいつも助けてくれた。

そのマルタがなぜ突如人が変わったように?











「アントニーナ様、夕食の準備が整いました。今から食堂まで案内しますね」

クレアが来た。


「ありがとう、クレアさん」

アントニーナはクレアに促されるままに食堂へと入っていった。


食堂には叔母と叔父、いとこのアーサーとナンシーがいた。


「アントニーナ、久しぶり」
アーサー。

アーサーも母親譲りの薄紫色の髪をしている。

「お久しぶりね」ナンシー。
ポピンズもまた薄紫色の髪をしている。


「では全員そろったところで食事にしますか」

と叔父のアルファン。

「アントニーナ。遠慮無く何でも食べてね」と叔母のニーナ。


「はい。それではいただきます」

と言ってスープを口にした。




「ところでアントニーナ。聖女になりたいって本当なのかい?」とニーナ。

「はい。本気です」

「最終的には賢者を目指すわけだけど、賢者になるのはさらに難しいというぞ」と叔父のアルファン。

響きのあるバリトンの声。

これで歌唱力があればさらにいいかもしれない、とアントニーナは思った。

「私は賢者を目指そうとは思いません。聖女でいいんです」

「そうか。そうだよな。賢者は試験がある上に年間1人しか受からない狭き門。しかも、賢者になるためにはトーナメント戦を勝ちぬかなければならないんだ」とアルファン。

「そう……なんですか」

しかし、自分は聖女のままでも良いと思っているので、賢者への昇格はあまり意識していない。

「でも、アントニーナならシレンは乗り越えられると思うわ」とポピンズ。

「ポピンズ、ありがとう。でも、やってみないとわからないわ」

「そうだな。まずはやってみる事だ」とアルファン。


「けど、何でまた聖女になろうと思ったのかい?」

胸がドキリとした。

「それは……」

答えはそうだ。聖女になって魔法と回復魔法を使い、魔法しか使えないマルタを見返してやりたいからだ。


「実は……」

と話そうか躊躇したところ、ニーナが遮った。

「話は姉より聞いているよ。何でも王太子殿下と婚約破棄になったみたいだね」

「はい、その通りです。だから、私は魔法だけでなく、聖女としての修行もしたいと思っただけです」

「そうだったのか。しかし、聖女の道もそう甘くはないよ」

アルファンの口ひげがスープで濡れていた。

「それは覚悟しています。覚悟したからこそ家を出たのです」

「大丈夫よ。姉の娘よ。きっと乗り越えるわ」

ニーナがフォローしてくれた。


「それにしても王太子殿下もどうしてこんなに可愛い子と婚約破棄なんかするのかしら?」

ニーナが訝しんでいる。

「それはきっと王太子殿下の女の見る目が無かったのよ。王太子殿下の目は本当の節穴だったのよ」

とポピンズがいうと、一斉に笑いがどよめいた。

「でも、もういいの。王太子殿下の事なんかもうどうでもいいんです。他にいい人見つけますから」

「きっと見つかるわよ。うちの国の王太子殿下もイケメンなんだから」とポピンズ。

「塞翁が馬って言うでしょう。きっとそう思う日が来るかもしれないぞ」

アルファンが初めて笑った。

「そうですね。塞翁が馬なら最高です」
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