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聖女への道
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アントニーナは隣国で聖女の募集があるのを知った。
どうやら、対象は魔道士か騎士という事だった。
一度聖女を経験し、上級職の賢者やパラディンを目指す人が条件だという。
しかも、国籍不問。募集は隣国サラボナの王室だった。
魔道士のアントニーナには丁度よい話だった。
それに、いずれ賢者になれるなら、賢者になっても良い。
しかし、そのためにはシレンが与えられる。
シレンというのはシレンの山を登らなければならないのだ。
アントニーナは迷わず応募してみる事にした。
「姉ちゃん、本当に隣国へ行くの?」
心配そうに弟のアーノルドが言ってきた。
「大丈夫よ。必ず聖女になってみせるから」
「でも、シレンを乗り越えられるの?」
やはりフロリアーナも眉をひそめている。
「大丈夫。心配しないで」
「絶対に勝ってよ!」とアーノルド。
「絶対よ」とフロリアーナ。
「絶対に勝つわ! そして絶対に聖女になってみせるわ!」
聖女になるのはやはりジョルジョとマルタへの見返しの気持ち。
負けじ魂を燃やして隣国オイフィーア王国を目指すのだった。
アントニーナはお昼少し前の汽車に乗った。
道中お腹空いたら、と思い、駅で弁当を買った。
オイフィーア王国へは40分位かかる。
汽車は汽笛を鳴らし、発車した。
「必ず聖女になってやるんだから! 負けて実家に戻るなんて絶対にしない!」
アントニーナは拳を握りしめた。
車内は人でごった返していた。
かろうじて座れた位。
それもそうだ。今日は安息日。
子供が車内で歩き回っている。
実に賑やかな光景だ。
アントニーナはお弁当を広げた。
アンチョビサンドにチーズサンドだった。
「いただきます」
アントニーナはアンチョビサンドから手をつけた。
美味しい。
小さな幸せを見つけた感じがした。
そして流れゆく車窓を眺める。
大きなカーブに差し掛かり、先頭の機関車から煙が沢山吐き出されるのが見えた。
そして再び汽笛が鳴った。
アンチョビを食べ終えたら、次はチーズサンドに手を出した。
やはり美味しい。
お弁当を食べ終えると、元の紙に包み、バッグに入れた。
後で捨てるためだ。
汽車のジョイント音に合わせるように、顔を動かした。
車窓には原っぱが広がっている。
隣の駅で家族連れが乗ってきた。
何とも賑やかな。
子供がボールを落としたので、アントニーナは拾ってあげた。
しかし、お礼を言ってもらえなかった。
――そんなものね
とアントニーナは思った。
そうしたら、子供がアントニーナに向かっておもちゃを投げてきた。
しかし、母親らしき女性は注意しようとしない。
もう一人の子供は他の席に座ってしまった。
――一体何なの、この家族
アントニーナは嫌になり、他の席に移った。
そこの席では例の革命の話をしている中年男性がいた。
アントニーナは耳をそばだてて聞いていた。
「うちの国のやり方には納得いかないね。皆サラボナに逃げてしまうのもわかるよ」
地の声なのかガラガラ声の中年男性が言った。
「サラボナとこの国じゃあ税金が天と地の差だからな」
と、メガネをかけた中年男性が言った。
「わが国の国王は金にがめついと専らの有名だぞ」
「確かに税金が暴利だ」
「対してオイフィーアの女王様は欲が皆無に等しいのに」
「本当だ」
「それに王太子は虚飾の激しい人との噂もあるぞ」
アントニーナは「確かに」と思った。
しかも王太子殿下ではなく、王太子呼ばわりだ。
王太子は宝飾品が大好きで、常に身につけていた。
おまけに部屋にも高価な時計や絵画が飾られていた。
アントニーナはその王太子に婚約破棄されたのだ。
「革命を起こすとの話だが本当かどうか信じるかい?」
「さあな。あの国王の事だ。反乱軍はすぐにひっ捕らえられるさ」
「本当に革命を起こさないと住みにくい国のままだ」
「何としてでもあの首を討ち取らないと」
「国王と王太子。あの2名だ」
「しかし、王太子はミネルヴィーノ侯爵令嬢と婚約したとの噂だぞ」
アントニーナは一瞬ドキっとした。
「そのミネルヴィーノ侯爵令嬢も投獄に?」
「可哀相だけどそうなるな」
――待って! 私は王太子殿下とは婚約破棄になったのよ
となると、マルタが投獄されるということ?
「何はともあれ、あの嘘つきの事だから、予定は未定だ。以前も革命起こすと豪語しては計画倒れになったではないか」
「革命はあると信じよう。俺たちの国を取り戻そう」
しばらくしてアナウンスが入った。
ついにオイフィーアについたのだ。
「ご乗車ありがとうございました。次はオイフィーア、オイフィーアです。お出口は右側です。えー、列車は乗務員交代でオイフィーアまではわたくし車掌のロダンと運転士のヒースが担当しました。次はオイフィーアです。お忘れ物のないようお支度下さい」
そうか、乗務員は平民だったのか、と改めて気づいた。なぜならば、平民には姓がないからだ。
アントニーナは荷物を持ってデッキへと向かった。
「ご乗車お疲れ様でした。サラボナに到着です」
アントニーナは下車した。そして、車内で食べた弁当をゴミ箱に捨てた。
改札を抜け、母方の叔母がいる屋敷を目指した。
春の穏やかな日差しの下、荷物を運びながら歩いた。
どうやら、対象は魔道士か騎士という事だった。
一度聖女を経験し、上級職の賢者やパラディンを目指す人が条件だという。
しかも、国籍不問。募集は隣国サラボナの王室だった。
魔道士のアントニーナには丁度よい話だった。
それに、いずれ賢者になれるなら、賢者になっても良い。
しかし、そのためにはシレンが与えられる。
シレンというのはシレンの山を登らなければならないのだ。
アントニーナは迷わず応募してみる事にした。
「姉ちゃん、本当に隣国へ行くの?」
心配そうに弟のアーノルドが言ってきた。
「大丈夫よ。必ず聖女になってみせるから」
「でも、シレンを乗り越えられるの?」
やはりフロリアーナも眉をひそめている。
「大丈夫。心配しないで」
「絶対に勝ってよ!」とアーノルド。
「絶対よ」とフロリアーナ。
「絶対に勝つわ! そして絶対に聖女になってみせるわ!」
聖女になるのはやはりジョルジョとマルタへの見返しの気持ち。
負けじ魂を燃やして隣国オイフィーア王国を目指すのだった。
アントニーナはお昼少し前の汽車に乗った。
道中お腹空いたら、と思い、駅で弁当を買った。
オイフィーア王国へは40分位かかる。
汽車は汽笛を鳴らし、発車した。
「必ず聖女になってやるんだから! 負けて実家に戻るなんて絶対にしない!」
アントニーナは拳を握りしめた。
車内は人でごった返していた。
かろうじて座れた位。
それもそうだ。今日は安息日。
子供が車内で歩き回っている。
実に賑やかな光景だ。
アントニーナはお弁当を広げた。
アンチョビサンドにチーズサンドだった。
「いただきます」
アントニーナはアンチョビサンドから手をつけた。
美味しい。
小さな幸せを見つけた感じがした。
そして流れゆく車窓を眺める。
大きなカーブに差し掛かり、先頭の機関車から煙が沢山吐き出されるのが見えた。
そして再び汽笛が鳴った。
アンチョビを食べ終えたら、次はチーズサンドに手を出した。
やはり美味しい。
お弁当を食べ終えると、元の紙に包み、バッグに入れた。
後で捨てるためだ。
汽車のジョイント音に合わせるように、顔を動かした。
車窓には原っぱが広がっている。
隣の駅で家族連れが乗ってきた。
何とも賑やかな。
子供がボールを落としたので、アントニーナは拾ってあげた。
しかし、お礼を言ってもらえなかった。
――そんなものね
とアントニーナは思った。
そうしたら、子供がアントニーナに向かっておもちゃを投げてきた。
しかし、母親らしき女性は注意しようとしない。
もう一人の子供は他の席に座ってしまった。
――一体何なの、この家族
アントニーナは嫌になり、他の席に移った。
そこの席では例の革命の話をしている中年男性がいた。
アントニーナは耳をそばだてて聞いていた。
「うちの国のやり方には納得いかないね。皆サラボナに逃げてしまうのもわかるよ」
地の声なのかガラガラ声の中年男性が言った。
「サラボナとこの国じゃあ税金が天と地の差だからな」
と、メガネをかけた中年男性が言った。
「わが国の国王は金にがめついと専らの有名だぞ」
「確かに税金が暴利だ」
「対してオイフィーアの女王様は欲が皆無に等しいのに」
「本当だ」
「それに王太子は虚飾の激しい人との噂もあるぞ」
アントニーナは「確かに」と思った。
しかも王太子殿下ではなく、王太子呼ばわりだ。
王太子は宝飾品が大好きで、常に身につけていた。
おまけに部屋にも高価な時計や絵画が飾られていた。
アントニーナはその王太子に婚約破棄されたのだ。
「革命を起こすとの話だが本当かどうか信じるかい?」
「さあな。あの国王の事だ。反乱軍はすぐにひっ捕らえられるさ」
「本当に革命を起こさないと住みにくい国のままだ」
「何としてでもあの首を討ち取らないと」
「国王と王太子。あの2名だ」
「しかし、王太子はミネルヴィーノ侯爵令嬢と婚約したとの噂だぞ」
アントニーナは一瞬ドキっとした。
「そのミネルヴィーノ侯爵令嬢も投獄に?」
「可哀相だけどそうなるな」
――待って! 私は王太子殿下とは婚約破棄になったのよ
となると、マルタが投獄されるということ?
「何はともあれ、あの嘘つきの事だから、予定は未定だ。以前も革命起こすと豪語しては計画倒れになったではないか」
「革命はあると信じよう。俺たちの国を取り戻そう」
しばらくしてアナウンスが入った。
ついにオイフィーアについたのだ。
「ご乗車ありがとうございました。次はオイフィーア、オイフィーアです。お出口は右側です。えー、列車は乗務員交代でオイフィーアまではわたくし車掌のロダンと運転士のヒースが担当しました。次はオイフィーアです。お忘れ物のないようお支度下さい」
そうか、乗務員は平民だったのか、と改めて気づいた。なぜならば、平民には姓がないからだ。
アントニーナは荷物を持ってデッキへと向かった。
「ご乗車お疲れ様でした。サラボナに到着です」
アントニーナは下車した。そして、車内で食べた弁当をゴミ箱に捨てた。
改札を抜け、母方の叔母がいる屋敷を目指した。
春の穏やかな日差しの下、荷物を運びながら歩いた。
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