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3 ルイーズ視点
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アルフレッドの執務室でアルフレッドとルイーズが語り合っている。
「本当に良いのかしら。あの子、まだ未練タラタラなんじゃないかしら?」
ルイーズはカトリーナの事を半分馬鹿にしている。
ルイーズは王立学園の2つ先輩という事になるが、カトリーナが頭脳明晰で特に哲学に秀でている事は知っている。
さらに魔法も並々ならぬ能力を持っている。
ルイーズとしてはそんなカトリーヌに嫉妬していた。
「あいつは頭はいいんだけど、背が高すぎるんだ。ましてあれでハイヒールを履くからタチが悪い。俺を立てようという気が無いことの現れだ」
ルイーズはどちらかと言えば低身長だった。
低身長がコンプレックスで誰からも相手にされない、そう思っていた矢先に出会ったのがアルフレッドだった。
アルフレッドはまさに救世主たる存在であった。
「アルフレッド。学園時代はやはりあの子の頭脳明晰に惚れたわけ?」
「そうだ。でなければあんな女を気に入る訳が無い」
アルフレッドは執務室の椅子にふんぞり返ってパイプを吸っている。
「パイプ、私も吸っていいかしら?」
「いいよ」
ルイーズはポケットの中からパイプを取り出し、火をつけた。
そして、パーっと煙を吐いた。
「ルイーズ。お前とカトリーナは大違いだな。身長から性格から。頭の良さはアトス家の血筋かな?」
「頭脳明晰。そうね、ヴェリナード家もそこそこ頭が良いのでは無いのかしら? アルファン男爵は裁判官を務めているから」
ルイーズは長い黒髪を指でクルクル巻いている。これが癖なのだ。
「あのオレンジバーミリオンの髪の色はアルファン家のものなのか?」
「そうよ。妹も確かオレンジバーミリオンの髪だったから」
ルイーズは再びパイプを手に取った。そして、息を吐いた。
外は曇っている。
春は3日の晴れ無しというけれど、まさにそれだ、とルイーズは思った。
「そう言えばアルファン男爵は裁判官を務めていたな。アルファン家って背が高いのかい?」
「そうですよ。父親も妹もとても背が高いわ」
「そうか……」
「しかし、ルイーズとカトリーヌ。同じアトス家の人間の血を引いているとは思えないな。魅力的だな、ルイーズ。お前は俺を立てる事を知っている」
ルイーズはパイプをそっと横に置いた。
そしてまた髪の毛を指で巻きはじめた。
「当たり前よ。殿方を立てるのはレディーのたしなみじゃないの。しかしそれができなかったのがカトリーヌだったのよ」
そこへドアをノックする音が聞こえてきた。
「どうぞ」
とアルフレッド。
すると、メイドが現れた。
「アルフレッド様、ルイーズ様、お茶をお召し上がり下さい」
と言って、メイドはアルフレッドとルイーズの前にカップを置き、お茶をなみなみと注いだ。
「ありがとう」とアルフレッド。
「お疲れ様」とルイーズ。
「では失礼します」
メイドは一礼すると、執務室から出ていった。
「ねぇ、アルフレッド」
ルイーズは色目遣いでアルフレッドを見た。
「どうしたの、ルイーズ」
「アルフレッドが私に惚れたのは背が低いだけ?」
ルイーズがアルフレッドと出会ったのはお茶会だった。
お茶会は伯爵以上の貴族が参加できた。
もちろんカトリーヌは男爵のため、お茶会への参加は叶わなかった。
「ルイーズ。それはきみの声にも惚れたよ。カトリーヌには出ないハイトーンボイス」
カトリーヌは声が低かった。学園時代、合唱をすればいつもアルトだった。
対してルイーズは声が高く、いつもソプラノだった。
ルイーズはこの高い声が自慢だった。
「ルイーズ! あのお茶会、今思えば男爵が招待されなくて良かったな」
「そうね。もし、男爵が招待されていたら、アルフレッドはカトリーヌから離れられなかったわね」
本当にそう思った。
男爵が公爵と結婚するなんて甘いのよ。
玉の輿なんて1,000年早い。
男爵令嬢は大人しく平民と結婚すれば良いのだ、とルイーズは思っていた。
「本当だ。あんな最低な女」
と言ってカップを口に運んだ。
「背が高すぎる。アルファン家の血は呪われているわね」
と言ってルイーズもカップを口に運んだ。
口の中に紅茶が染み渡る。
美味しい。
「ねぇ、アルフレッド」
「なんだい? ルイーズ」
「アルフレッドはカトリーヌと婚約破棄したわけだけど、私とは婚約破棄しないわよね? ちゃんと結婚してくれるわよね?」
ルイーズは打診した。
やはり、一度婚約破棄しているのだから、自分より気になる女性が現れたらあっさりと婚約破棄されないか心配だった。
「当たり前だよ、ルイーズ。カトリーヌは今思えばあいつは圏外だったな。でも、ルイーズ、きみよりいい女はこの世にはいないよ。安心しろ。俺は浮気なんかしない」
と言って笑った。
「それに。ルイーズ。きみにあげた婚約指輪の宝石は貴重なダイヤなんだ。カトリーヌにあげた指輪よりも、さらに高級なものだ」
「本当に?」
と言ってルイーズはアルフレッドを抱き締めた。
「ルイーズ。きみときたら」
アルフレッドはルイーズの顎を撫でた。
「私はアルフレッドを信じるわ。アルフレッドは絶対に他の女に乗り換えない……って」
「信用されてないなぁ、俺も」
アルフレッドは苦笑いを見せた。
「私達、永遠の愛を誓うのよね?」
「勿論さ。結婚式の日取りも決めてあるからね」
どうやらそこまで話が進展しているらしい。
ルイーズはホッと胸を撫でおろした。
「本当に良いのかしら。あの子、まだ未練タラタラなんじゃないかしら?」
ルイーズはカトリーナの事を半分馬鹿にしている。
ルイーズは王立学園の2つ先輩という事になるが、カトリーナが頭脳明晰で特に哲学に秀でている事は知っている。
さらに魔法も並々ならぬ能力を持っている。
ルイーズとしてはそんなカトリーヌに嫉妬していた。
「あいつは頭はいいんだけど、背が高すぎるんだ。ましてあれでハイヒールを履くからタチが悪い。俺を立てようという気が無いことの現れだ」
ルイーズはどちらかと言えば低身長だった。
低身長がコンプレックスで誰からも相手にされない、そう思っていた矢先に出会ったのがアルフレッドだった。
アルフレッドはまさに救世主たる存在であった。
「アルフレッド。学園時代はやはりあの子の頭脳明晰に惚れたわけ?」
「そうだ。でなければあんな女を気に入る訳が無い」
アルフレッドは執務室の椅子にふんぞり返ってパイプを吸っている。
「パイプ、私も吸っていいかしら?」
「いいよ」
ルイーズはポケットの中からパイプを取り出し、火をつけた。
そして、パーっと煙を吐いた。
「ルイーズ。お前とカトリーナは大違いだな。身長から性格から。頭の良さはアトス家の血筋かな?」
「頭脳明晰。そうね、ヴェリナード家もそこそこ頭が良いのでは無いのかしら? アルファン男爵は裁判官を務めているから」
ルイーズは長い黒髪を指でクルクル巻いている。これが癖なのだ。
「あのオレンジバーミリオンの髪の色はアルファン家のものなのか?」
「そうよ。妹も確かオレンジバーミリオンの髪だったから」
ルイーズは再びパイプを手に取った。そして、息を吐いた。
外は曇っている。
春は3日の晴れ無しというけれど、まさにそれだ、とルイーズは思った。
「そう言えばアルファン男爵は裁判官を務めていたな。アルファン家って背が高いのかい?」
「そうですよ。父親も妹もとても背が高いわ」
「そうか……」
「しかし、ルイーズとカトリーヌ。同じアトス家の人間の血を引いているとは思えないな。魅力的だな、ルイーズ。お前は俺を立てる事を知っている」
ルイーズはパイプをそっと横に置いた。
そしてまた髪の毛を指で巻きはじめた。
「当たり前よ。殿方を立てるのはレディーのたしなみじゃないの。しかしそれができなかったのがカトリーヌだったのよ」
そこへドアをノックする音が聞こえてきた。
「どうぞ」
とアルフレッド。
すると、メイドが現れた。
「アルフレッド様、ルイーズ様、お茶をお召し上がり下さい」
と言って、メイドはアルフレッドとルイーズの前にカップを置き、お茶をなみなみと注いだ。
「ありがとう」とアルフレッド。
「お疲れ様」とルイーズ。
「では失礼します」
メイドは一礼すると、執務室から出ていった。
「ねぇ、アルフレッド」
ルイーズは色目遣いでアルフレッドを見た。
「どうしたの、ルイーズ」
「アルフレッドが私に惚れたのは背が低いだけ?」
ルイーズがアルフレッドと出会ったのはお茶会だった。
お茶会は伯爵以上の貴族が参加できた。
もちろんカトリーヌは男爵のため、お茶会への参加は叶わなかった。
「ルイーズ。それはきみの声にも惚れたよ。カトリーヌには出ないハイトーンボイス」
カトリーヌは声が低かった。学園時代、合唱をすればいつもアルトだった。
対してルイーズは声が高く、いつもソプラノだった。
ルイーズはこの高い声が自慢だった。
「ルイーズ! あのお茶会、今思えば男爵が招待されなくて良かったな」
「そうね。もし、男爵が招待されていたら、アルフレッドはカトリーヌから離れられなかったわね」
本当にそう思った。
男爵が公爵と結婚するなんて甘いのよ。
玉の輿なんて1,000年早い。
男爵令嬢は大人しく平民と結婚すれば良いのだ、とルイーズは思っていた。
「本当だ。あんな最低な女」
と言ってカップを口に運んだ。
「背が高すぎる。アルファン家の血は呪われているわね」
と言ってルイーズもカップを口に運んだ。
口の中に紅茶が染み渡る。
美味しい。
「ねぇ、アルフレッド」
「なんだい? ルイーズ」
「アルフレッドはカトリーヌと婚約破棄したわけだけど、私とは婚約破棄しないわよね? ちゃんと結婚してくれるわよね?」
ルイーズは打診した。
やはり、一度婚約破棄しているのだから、自分より気になる女性が現れたらあっさりと婚約破棄されないか心配だった。
「当たり前だよ、ルイーズ。カトリーヌは今思えばあいつは圏外だったな。でも、ルイーズ、きみよりいい女はこの世にはいないよ。安心しろ。俺は浮気なんかしない」
と言って笑った。
「それに。ルイーズ。きみにあげた婚約指輪の宝石は貴重なダイヤなんだ。カトリーヌにあげた指輪よりも、さらに高級なものだ」
「本当に?」
と言ってルイーズはアルフレッドを抱き締めた。
「ルイーズ。きみときたら」
アルフレッドはルイーズの顎を撫でた。
「私はアルフレッドを信じるわ。アルフレッドは絶対に他の女に乗り換えない……って」
「信用されてないなぁ、俺も」
アルフレッドは苦笑いを見せた。
「私達、永遠の愛を誓うのよね?」
「勿論さ。結婚式の日取りも決めてあるからね」
どうやらそこまで話が進展しているらしい。
ルイーズはホッと胸を撫でおろした。
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