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39. 母娘同盟②
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次男のユーリ・ダイラスのお相手は商会を営む富豪の伯爵家の娘。二人共思い合っているがまだ婚約には至っていない。
「ユーリ様もよりによって義母上様の姪っ子に恋なさるなんて」
……どこから仕入れてくるのかその情報力。実際は魔法の力で見ているだけなのだが、それには気づかぬ王妃。
「姪っ子のキャリーは側妃と違って社交的で活発、センスもあるから流行を生み出す存在として商会にも貢献している素敵な女性なのだけれど……」
「ここでまたまた親父殿、いやダブル親父が出てくるわけですね」
キャリーの父親は側妃の兄で次期商会長として日々精進している御仁。商会長は側妃と兄の父親だ。
「お金持ちの娘だし、ダブル父親も権力にそんなに興味もないからこちらとしては大歓迎なのだけれど……。娘、妹が王宮で蔑ろにされているのに、更に孫、娘を王宮になどやれるか、と大激怒しているのよ。それに大臣たちも側妃の姪っ子などふさわしくないとか言ってるのよ……本当にうざい。金食い虫の大臣たちよりも金のなる木の方が大歓迎なのに……」
最後は金かい。エレナといい、王妃といい十分持っているくせにもっともっとと貪欲に求める。だからこそ集まるのかもしれないが。
「というか、ユーリ様の婚約が進まないのは王妃様のせいですね」
「そうね」
いやいや、自分でなんとかしてくださいな。まさか、ユーリが側妃の姪っ子ちゃんに惚れると思わないじゃないと愚痴愚痴言っている。
「あっ!あとはさっき言ってたブレッツェル家の娘3人衆のこともよろしくね。誰一人としてユーリの側妃にするつもりはないから」
「一人ぐらい側妃にしても良いと思いますが、愛人の娘とはいえ公爵家の人間なのですから」
王妃は微笑んだまま口を開かない。
「………………公爵が嫌いなんですね?」
王妃の微笑みが大輪の薔薇のように咲き誇ったものに変わった。どうやら正解のようだ。
「昔言い寄ってきたのよ。断っても断っても毎日毎日ストーカーのようにつきまとってきて……行く先行く先にいるのよ。本当にうざかったわ」
恐怖よりも、うざさが湧き上がったとは。流石王妃。
「結局私の大の親友と結婚しておいて、浮気三昧。あの子がああなってしまったのはあの男のせい」
「公爵夫人は歩けないそうですね」
「愛人の一人に階段から突き落とされてね。その愛人も一緒に転がり落ちて歩けなくなったのよ」
もっとひどい目に会えばよかったのにと聞こえたのには聞こえぬふりをしておこう。
「ザラ様のご実家への説得と愛人娘たちの排除が主ですね」
「あら、大臣たちは?」
「そちらは王妃様にお任せします。これでこれからも贅沢ができるわね……嬉しいわとでも言っておけば一発ですよ」
「銭ゲバっぽくないかしら……?」
「一国の王妃たるもの銭ゲバでなくてはなりませんよ」
「…………まあいいわ」
最後は三男ルカ・ダイラスの婚約者ルビー・ナイジェル伯爵令嬢。ちなみに祖父は侯爵にして宰相。ルリハをアリスの監視につけた御仁。宰相一家は長男が侯爵位を継ぐことになっている為、次男であるルビーの父親は祖父が持っていたもう一つの伯爵位を継いだので伯爵令嬢という身分。
「祖父が宰相だからか自分も高位貴族だと勘違いしているから少しうっとうしいのよね」
「我が愛しの旦那様の想い人ですね」
フフッと笑うアリスに王妃の目が細められる。
「ほんの少し先の未来の旦那様だけどね。あなた……とても愉しそうね」
「ええ、大好物です」
「食べたらお腹を壊すんじゃないの?」
「さあどうでしょう。食べてからのお楽しみでは?」
このお嬢様は自分に酔っている。王子に取り合いされるモテモテのお姫様?想い人と結ばれない悲恋のお姫様?悪役に想い人を無理矢理取られた悲劇のお姫様?想い人から恋人を取り返すお姫様?
なんでも良いが彼女の話しの悪役はアリス。
そこそこの魅力を絶対的な魅力だと勘違いしているお姫様。この手は悪役を徹底的に蔑み、悪だとする。それも周りを巻き込みながら。
愉しみでしょうがない。
彼らの顔が醜く歪むのが。アリスを蔑み落ちぶれていくと思い込み、自分の勝利しか思い描かない。
その裏でアリスが何をしているかなど想像もしない愚か者。
「彼女はどのように踊ってくれるのかしら……」
恍惚とした表情に皆見惚れる。
なんと美しい表情なのか。
でも
中身の思考が邪悪なのが惜しまれてならないと思う皆だった。
「ユーリ様もよりによって義母上様の姪っ子に恋なさるなんて」
……どこから仕入れてくるのかその情報力。実際は魔法の力で見ているだけなのだが、それには気づかぬ王妃。
「姪っ子のキャリーは側妃と違って社交的で活発、センスもあるから流行を生み出す存在として商会にも貢献している素敵な女性なのだけれど……」
「ここでまたまた親父殿、いやダブル親父が出てくるわけですね」
キャリーの父親は側妃の兄で次期商会長として日々精進している御仁。商会長は側妃と兄の父親だ。
「お金持ちの娘だし、ダブル父親も権力にそんなに興味もないからこちらとしては大歓迎なのだけれど……。娘、妹が王宮で蔑ろにされているのに、更に孫、娘を王宮になどやれるか、と大激怒しているのよ。それに大臣たちも側妃の姪っ子などふさわしくないとか言ってるのよ……本当にうざい。金食い虫の大臣たちよりも金のなる木の方が大歓迎なのに……」
最後は金かい。エレナといい、王妃といい十分持っているくせにもっともっとと貪欲に求める。だからこそ集まるのかもしれないが。
「というか、ユーリ様の婚約が進まないのは王妃様のせいですね」
「そうね」
いやいや、自分でなんとかしてくださいな。まさか、ユーリが側妃の姪っ子ちゃんに惚れると思わないじゃないと愚痴愚痴言っている。
「あっ!あとはさっき言ってたブレッツェル家の娘3人衆のこともよろしくね。誰一人としてユーリの側妃にするつもりはないから」
「一人ぐらい側妃にしても良いと思いますが、愛人の娘とはいえ公爵家の人間なのですから」
王妃は微笑んだまま口を開かない。
「………………公爵が嫌いなんですね?」
王妃の微笑みが大輪の薔薇のように咲き誇ったものに変わった。どうやら正解のようだ。
「昔言い寄ってきたのよ。断っても断っても毎日毎日ストーカーのようにつきまとってきて……行く先行く先にいるのよ。本当にうざかったわ」
恐怖よりも、うざさが湧き上がったとは。流石王妃。
「結局私の大の親友と結婚しておいて、浮気三昧。あの子がああなってしまったのはあの男のせい」
「公爵夫人は歩けないそうですね」
「愛人の一人に階段から突き落とされてね。その愛人も一緒に転がり落ちて歩けなくなったのよ」
もっとひどい目に会えばよかったのにと聞こえたのには聞こえぬふりをしておこう。
「ザラ様のご実家への説得と愛人娘たちの排除が主ですね」
「あら、大臣たちは?」
「そちらは王妃様にお任せします。これでこれからも贅沢ができるわね……嬉しいわとでも言っておけば一発ですよ」
「銭ゲバっぽくないかしら……?」
「一国の王妃たるもの銭ゲバでなくてはなりませんよ」
「…………まあいいわ」
最後は三男ルカ・ダイラスの婚約者ルビー・ナイジェル伯爵令嬢。ちなみに祖父は侯爵にして宰相。ルリハをアリスの監視につけた御仁。宰相一家は長男が侯爵位を継ぐことになっている為、次男であるルビーの父親は祖父が持っていたもう一つの伯爵位を継いだので伯爵令嬢という身分。
「祖父が宰相だからか自分も高位貴族だと勘違いしているから少しうっとうしいのよね」
「我が愛しの旦那様の想い人ですね」
フフッと笑うアリスに王妃の目が細められる。
「ほんの少し先の未来の旦那様だけどね。あなた……とても愉しそうね」
「ええ、大好物です」
「食べたらお腹を壊すんじゃないの?」
「さあどうでしょう。食べてからのお楽しみでは?」
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そこそこの魅力を絶対的な魅力だと勘違いしているお姫様。この手は悪役を徹底的に蔑み、悪だとする。それも周りを巻き込みながら。
愉しみでしょうがない。
彼らの顔が醜く歪むのが。アリスを蔑み落ちぶれていくと思い込み、自分の勝利しか思い描かない。
その裏でアリスが何をしているかなど想像もしない愚か者。
「彼女はどのように踊ってくれるのかしら……」
恍惚とした表情に皆見惚れる。
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でも
中身の思考が邪悪なのが惜しまれてならないと思う皆だった。
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